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2章:妖剣を背負う男
闖入者
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「それにしても変な形の剣だな。使えるのか?」
徴収されたエルキュリエの剣を握る兵士が興味本位で鞘から抜き、赤銅色の刀身を見て目を丸くする。
「なんじゃ、こりゃ! 錆びているのか?」
「でも光沢はある。それに、刃は研がれているぜ」
「だったら支給品の剣に回しておけ。どのみち常備してある装備品も底をつき始めているし」
「それにしても、こんな非力が敵将を討つってさ」
兵士達の哄笑の渦の中で、ニールはやおら立ち上がる。
「お前ら、その剣を返せ」
ニールの殺気だった声に兵士達が一抹の違和感を覚え、振り返る。彼らはまだ、エルキュリエの剣が徐々に鞘から抜け出そうとしているのに気づいていなかった。
「ちょっと待ったぁ!!」
そこに飛び込んできたのは活気のある、甲高い声だった。思いがけない呼びかけにニールも兵士達も振り返る。
ニールの目に飛び込んできたのは、街を颯爽と吹き抜ける風に揺れる赤紫色のツインテールの髪の色。それはあたかも二年前まで共に暮らしたラキエ=アレクサンドラを彷彿とさせる、可憐な色調。しかも整った目鼻立ちに自信をありありと浮かべる勝気な表情まで面影を共有していた。
「ラキエ姉ちゃん?」
思わずニールはそう呼んでしまった。ラキエ本人とは明らかに別人の、ニールと歳の近い少女とわかっているはずだったのに。
「何だ? 嬢ちゃん」
「その剣はボクがもらい受ける!」
少女は威勢の良い言葉遣いで言い放ち、掌を前に広げた。
徴収されたエルキュリエの剣を握る兵士が興味本位で鞘から抜き、赤銅色の刀身を見て目を丸くする。
「なんじゃ、こりゃ! 錆びているのか?」
「でも光沢はある。それに、刃は研がれているぜ」
「だったら支給品の剣に回しておけ。どのみち常備してある装備品も底をつき始めているし」
「それにしても、こんな非力が敵将を討つってさ」
兵士達の哄笑の渦の中で、ニールはやおら立ち上がる。
「お前ら、その剣を返せ」
ニールの殺気だった声に兵士達が一抹の違和感を覚え、振り返る。彼らはまだ、エルキュリエの剣が徐々に鞘から抜け出そうとしているのに気づいていなかった。
「ちょっと待ったぁ!!」
そこに飛び込んできたのは活気のある、甲高い声だった。思いがけない呼びかけにニールも兵士達も振り返る。
ニールの目に飛び込んできたのは、街を颯爽と吹き抜ける風に揺れる赤紫色のツインテールの髪の色。それはあたかも二年前まで共に暮らしたラキエ=アレクサンドラを彷彿とさせる、可憐な色調。しかも整った目鼻立ちに自信をありありと浮かべる勝気な表情まで面影を共有していた。
「ラキエ姉ちゃん?」
思わずニールはそう呼んでしまった。ラキエ本人とは明らかに別人の、ニールと歳の近い少女とわかっているはずだったのに。
「何だ? 嬢ちゃん」
「その剣はボクがもらい受ける!」
少女は威勢の良い言葉遣いで言い放ち、掌を前に広げた。
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