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4章: 再来
釈明
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「テッセラ卿、なぜ、このような仕打ちを受けなければならないのですか! ボクはケルセイス家の騎士、フェミア=ケルセイスです。不肖の兄に代わり、王国への忠誠と名誉の回復のために、この戦場に・・・・・・」
「黙れ!」
無情の鉄拳制裁が再度フェミアを苛んだ。
「お前が戦場でエルキュリエの剣を使う所を見た者がいるのだ。エルキュリエの剣は我がグラウツ王国の国宝。七年前にラキエ王女が追放の際に持ち出して以来、所在不明となっていた。一体その剣をどこで手に入れたのだ? そして、エルキュリエは今、どこにある?」
「・・・・・・知らない。エルキュリエなんて、ボクは本当に知らないんだ! 信じてよ!」
嘆願するフェミアの身体を、両脇の兵士達は手加減なしに痛めつける。
「もう止めて!」
目を背けたくなったセルマが叫んだ。セルマを王女と知る兵士達はさすがに手を止めたが、フェミアの方は苦痛のあまり意識を失いかけている。はだけた肩からは包帯の白が覗いていた。戦場で負傷したのだろう。本来ならば手当こそ必要なはずなのに、テッセラ卿は一体何を考えているのかわからない。そもそも彼がここまで余裕を失った表情を見せるのは初めてだ。
「お前が嘘をついているかどうかは訊かなくてもわかる。入れ」
「黙れ!」
無情の鉄拳制裁が再度フェミアを苛んだ。
「お前が戦場でエルキュリエの剣を使う所を見た者がいるのだ。エルキュリエの剣は我がグラウツ王国の国宝。七年前にラキエ王女が追放の際に持ち出して以来、所在不明となっていた。一体その剣をどこで手に入れたのだ? そして、エルキュリエは今、どこにある?」
「・・・・・・知らない。エルキュリエなんて、ボクは本当に知らないんだ! 信じてよ!」
嘆願するフェミアの身体を、両脇の兵士達は手加減なしに痛めつける。
「もう止めて!」
目を背けたくなったセルマが叫んだ。セルマを王女と知る兵士達はさすがに手を止めたが、フェミアの方は苦痛のあまり意識を失いかけている。はだけた肩からは包帯の白が覗いていた。戦場で負傷したのだろう。本来ならば手当こそ必要なはずなのに、テッセラ卿は一体何を考えているのかわからない。そもそも彼がここまで余裕を失った表情を見せるのは初めてだ。
「お前が嘘をついているかどうかは訊かなくてもわかる。入れ」
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