自転車嫌いの下剋上 ~娘を轢き殺したJKをお仕置きするには手段を選んでいられません~

自慰煽情のアリア

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序章: なぜあの時、言わなかったのか

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 朝の空気はどこか甘ったるく、陽射しがまだ眠気を引きずっているような時間帯。神戸市の住宅街――一軒の家の玄関に、サラリーマンの健一が立っていた。ネクタイをゆるく締め直しながら、ひと息ついたその時。

「おとーさん待ったぁーっ!!」

スリッパのまま全力疾走してきたのは、ランドセルを背負った小学5年生の娘・陽菜(ひな)。勢いよく玄関マットを滑って、軽く回転しながら健一の腕の中へダイブ。

「おいおい、朝からターン決めるな。ヒロインの登場かよ」

「だって見送りするの忘れてたんだもん! パパ今日もお仕事がんばってねっ!」



健一は笑いながら、陽菜の頭をくしゃっと撫でる。

「ありがとな。陽菜も、ちゃんと左右見てから道路渡るんだぞ。車はな、たまにステルスモード入ってっから」

「ステルス車ってそんなのある!? 絶対見逃すじゃん! 三回ぐらい確認するー!」

健一は娘の真剣な顔につい吹き出してしまい、ネクタイを指で軽く整える。

「よし、それなら安心だ。じゃあパパも、満員電車と戦ってくるかね」

娘がふざけて敬礼をし、健一は片手を軽く上げて返す。彼女が門の方へと駆け出す背中を見送ったあと――健一は少しだけ空を見上げた。

「さて。今日も家族のために、行ってくるか」

「さて、今日も一日がんばるぞ…って、陽菜」

 健一の目線が娘の後ろ姿に止まる。

「お前、スカート。裾がランドセルに引っかかってるぞ」

「え、うそ!? ちょっと待って……うわ、ほんとだー!」

 青のプリーツスカートは膝上まであったが、ランドセルの止め金具に引っ掛かって、尻までたくし上げられていた。

 清潔感のある、白の布地が娘のこじんまりとした尻を緩く覆う。



 幼少期はよく目にした光景だが、小学校五年にもなると陽菜は次第に恥じらいを覚えて健一の視線を気にするようになった。

 が、どこかお茶目な娘は家族の前だからなのか、度々こんな油断した姿をさらしてしまう。

 そして、久し振りに見せた痴態は一段と色気を匂わせていた。

 ジュニア物のショーツとはいえ、目が釘付けになる。

 陽菜がくるりと振り返って慌ててスカートを直すと、ふくれっ面になって言い返す。

「もー、パパそういうときは“かわいいけど危ないよ”って言ってくれなきゃ!」

「そんな前置きしてたら、スカートずり上がったまま学校着くぞ。先生に心配されるわ」

「うー……じゃあ今度はかわいいって言ってから注意してねっ」

 健一は思わず吹き出し、娘のスカートの裾が無事に整ったのを確認してから、軽く肩をぽんと叩いた。

「よし。じゃあ行ってこい。車には気をつけてな。さっきの自転車くらいのスピードで来る車もあるからな」

「わかってるよー。ちゃんと左右三回チェックするから! じゃあねパパ!」

 娘が元気に走り出し、健一はその背中をしばらく目で追う。

 ほんの些細なことでも、声をかけてあげること。それが親としてできる、確かな一歩なのだ。


そんな、何気ない朝。だが健一にとっては、それが何よりのエネルギー補給だった。

玄関の扉が同時に開き、健一と陽菜が並んで家の敷地を踏み出した。ほんのり涼しい朝風が二人の頬をなでる。

「今日も元気に――」

そう言いかけた瞬間、風を切って目の前を横切る影。シャーっと乾いたタイヤの音。リボンの揺れるポニーテール――セーラー服姿の女子高生が、自転車で通り過ぎた。

すぐそばをかすめるように通った彼女のスピードに、陽菜が思わずぴくりと肩をすくめる。

「おいおい…速すぎだろ…」

健一が眉をひそめ、娘の手をそっと引き寄せる。そして、しゃがんで目線を合わせた。

「陽菜。今の見たろ? 車もこんな風に、急に飛び出してくることがある。道路を渡るときは、絶対に左右確認するんだぞ。二回じゃ足りないかもな」

「…うん。びっくりしたけど、わかった。ちゃんと見るね」

娘の真剣な表情に、健一はホッと安堵しながら微笑んだ。

「よし、じゃあ元気に行ってらっしゃい。パパも会社で、敵(上司)と戦ってくる」

「うん!パパがんばってーっ!」

陽菜が手を振って駆け出し、健一はその後ろ姿をしばらく見送ってから、ゆっくりと玄関の扉を閉める。

思えばあの時、なぜ自転車ではなく車と行ったのだろう。

その日のうちに自分の言葉を後悔することを、この時の健一はまだ知らなかった。
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