武器屋の看板娘に転生したつもりでしたが、図らずも最強の剣士として戦うことになりそうです

序章: The god for someone is present

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　その日、店に訪れたのは珍しい客層だった。
　正確には、客ではなかった。
「チハル＝クレーヒル、この家の者で間違いないな？」
「娘に何の用で？」
　その日、見計らったようにチハルに代わって店番に出た父親が不審そうに聞いた。
　チハルは店の奥で武器を磨いているが、その珍客の姿は目についた。
　王国の兵士だ。
　それも地方を巡回する田舎兵士ではなく、宮廷に詰めるエリート部隊の一団だろう。
　武器から軍服に至るまで、瀟洒な装飾が施されている。
　この店には、武器を買い求めるのとは全く違う理由だろう。
　そもそも武器を、日用品ではなく装飾品と考えている連中が、武器屋に来るはずがない。
「国法に基づき、王都への召喚命令が出ている。三日以内に、宮廷へ出頭することだ」
「待って下さい！　娘はまだそんな歳では！」
「嘘をつくな！　教会の洗礼記録を調べた結果、今年で十五歳になるだろう！」
「・・・・・・ですが、ウチの娘はそんな美人でもなく、所かまわず武器を振り回すお転婆です！　きっと宮仕えなんか向きやしません」
「適性は我々が判断する。それがあると判断すれば、八年間、近衛兵としての労役を課するまで」
「無論、労役中は給金が出るほか、運が良ければ貴族待遇に昇格することも有り得るぞ。良い話だとは思わないか？」
「いえ、しかし・・・・・・」
「これ以上煩わせれば、貴様を罪人として告発する！」
「待って下さい！」
　チハルが一触即発の所で躍り出た。
「ほう、美人ではないと言っておきながら・・・・・・」
　兵士達はチハルの姿に息をのむ。
「変わった髪と眼の色だが、中々整った顔立ちだ」
「あの、私に何の用でしょうか？」
　チハルが恐る恐る聞いた。