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4章: 最後の防衛線を築くも

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「助けてくれたら、ね? 何でもするから!」
 丁度そこへ、エルフの女が吐いた苦し紛れの一言が、俺のよこしまな欲望に火をつけた。
 何でもするという女の言葉ほど、男を興奮させるものはない。
 たとえるなら、一生使いきれない位の金袋を積まれたような気分だ。
 あんなことやこんなこと、あらゆる妄想が次々と浮かんでは消えていく。
 熟考の後、俺は一つの指示を出した。
「仲間を集めろ」
「え?」
「その辺の民家やら茂みに隠れているエルフを全員俺の前に連れて来い。一人残らずだ」
「そうすれば、助けてくれますか?」
「考えてやってもいい」
 俺が何を考えているかなど、とうに想像がついているだろうに、それでも痛い目にないとわかっただけでも、エルフの女は忠実に指示に従った。
 程なくして、生き残っているエルフが集落の中央に集められた。
「私達、どうなるんだろう」
 どの双眸にも不安の色が差している。
 たった一人に征服された村。
 いつ見ても滑稽だ。
 向こうを見れば、既に俺に気絶させられたエルフは誰一人として目を覚ましていない。
 本当に、誰も殺してはいないのだが、森の賢者にしてはあまりにも間抜けすぎる地獄絵図だ。
 全員の前に立った俺は全員に向かって叫んだ。
「お前達にチャンスをやろう。従った者は見逃してやる」
 その場の全員がどよめいた。
 この絶望的な状況で、助けに来るエルフさえいない状況で希望が見えたのだ。
「な、何をすればいいですか?」
「俺の言う通りのことをすればいい。ただし、躊躇ったり、逆らったりした奴はその場で脱落だ。あちらでのびている他の連中と地面で雑魚寝することになるだろう」
「どうする?」
「それだけで助かるなら・・・・・・」
「皆騙されちゃダメよ!」
 顔を見合わせ、決断を話し合う中、一人のエルフが立ち上った。
「コイツは里の侵略者よ! 絶対に従っていいことなんかないわ! それに、姉様達は里のために命懸けで戦って、散っていた。皆の思いを無駄にしないためにも、私達がここで屈しては駄目よ!!」
――ほう、なるほど
 中には屈強な精神の持ち主がいるものだと感心しながら、俺には少しの遊び心があった。
「最初の命令だ。その女を誰か黙らせろ」
「へん! 誰があなたの命令に従うものですか! 私達の結束は固くて・・・・・むぅ!!」
 自信たっぷりに抗議するその口を、後ろから仲間が塞いだ。
 それでもエルフの女は抵抗を続ける。
 見かねた仲間の一人が
「ごめんね!」
 肘鉄を喰らわせて気絶させた。

 辺りはすっかり静かになった。
「よし、それでは早速、俺からの指示をやろう」
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