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2章: 騎士団長の娘
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ダンジョンの特別授業から数日後、エスマイアがイシルを自室に呼び出した。
「とりあえず、特別授業の件お疲れ様でした」
「どうも」
「あなたが選んだ四人の学生のうち、三人が今日、退学届けを出しに来ました」
無論、誰かと言えばアシェリー以外の三人である。
手筈通りダンジョンの入り口で目を醒ました彼らは、自分達がいかに危険な魔族に遭遇したかと思い知らされ、九死に一生を得た命だからと、もう冒険者稼業はしたくないと泣きながら理事長に訴えたそうだ。
殊に幅を利かせていたイベルナは己の醜態を露呈したことが評判となり、学院内での居心地が悪くなって、友人たちに挨拶も告げず、ある日の早朝に馬車を手配して実家に逃げ帰ったという。
幸いにして彼らはそれなりに財力に余裕のある貴族だったので、他の道はいくらでもあったし、敢えてリスキーな仕事をする理由も動機も最初からなかったわけである。
どのみち成績の危うい学生ばかりだから、そう遠くない将来にこうなることは目に見えていた。
仮に卒業したとしても、その後も危険なモンスターと遭遇する機会はいくらでもあるのだ。
ハルスのような未来を選ばなかっただけ、あるいは幸運だったのかもしれない。
「初めての特別授業は大成功でしたね。一点を除けば」
「アシェリーのことですか?」
「そうですね。彼女にだけあなたの正体を明かしたのは少しがっかりです。ダンジョンに潜むモンスターの正体があなただとわかれば、この特別授業の意味がなくなってしまうのですよ? それも最初から堂々と」
「彼女のことなら大丈夫です。僕の正体は秘密にすると約束してくれましたから」
「随分信用しているのですね?」
「約束を守る人間は誰に対しても正直です。自分自身に対しても含めて」
アシェリーはその後も順調に学院の課程を修了し、冒険者としてグランフェルトとしての姓も失うことなく夢に踏み出した。
無論、イシルの仕事はこれで終わりではない。
様々な思いを胸に、冒険者として学院に集まる学生は次から次へとやってくる。
思いがけず選んだイシルの仕事はまだまだ続きそうだ。
「とりあえず、特別授業の件お疲れ様でした」
「どうも」
「あなたが選んだ四人の学生のうち、三人が今日、退学届けを出しに来ました」
無論、誰かと言えばアシェリー以外の三人である。
手筈通りダンジョンの入り口で目を醒ました彼らは、自分達がいかに危険な魔族に遭遇したかと思い知らされ、九死に一生を得た命だからと、もう冒険者稼業はしたくないと泣きながら理事長に訴えたそうだ。
殊に幅を利かせていたイベルナは己の醜態を露呈したことが評判となり、学院内での居心地が悪くなって、友人たちに挨拶も告げず、ある日の早朝に馬車を手配して実家に逃げ帰ったという。
幸いにして彼らはそれなりに財力に余裕のある貴族だったので、他の道はいくらでもあったし、敢えてリスキーな仕事をする理由も動機も最初からなかったわけである。
どのみち成績の危うい学生ばかりだから、そう遠くない将来にこうなることは目に見えていた。
仮に卒業したとしても、その後も危険なモンスターと遭遇する機会はいくらでもあるのだ。
ハルスのような未来を選ばなかっただけ、あるいは幸運だったのかもしれない。
「初めての特別授業は大成功でしたね。一点を除けば」
「アシェリーのことですか?」
「そうですね。彼女にだけあなたの正体を明かしたのは少しがっかりです。ダンジョンに潜むモンスターの正体があなただとわかれば、この特別授業の意味がなくなってしまうのですよ? それも最初から堂々と」
「彼女のことなら大丈夫です。僕の正体は秘密にすると約束してくれましたから」
「随分信用しているのですね?」
「約束を守る人間は誰に対しても正直です。自分自身に対しても含めて」
アシェリーはその後も順調に学院の課程を修了し、冒険者としてグランフェルトとしての姓も失うことなく夢に踏み出した。
無論、イシルの仕事はこれで終わりではない。
様々な思いを胸に、冒険者として学院に集まる学生は次から次へとやってくる。
思いがけず選んだイシルの仕事はまだまだ続きそうだ。
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