私、事務ですけど？

苛烈なる転職活動

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　今の仕事に不満があり、転職を考え始めている社会人の皆さん、そして、これから社会に参画しようという中高生や大学生の皆さんに先輩として一つ忠告させて頂きたい。
　求人の多さに、決して油断することのないように。
　転職サイトに登録すると、最初の内はメールボックスを整理しきれないほどのいい話が舞い込んでくる。
　不況と言われながら雇用情勢ってまだ明るいな、なんて決して思ってはいけない。
　多くの場合、そういう企業には人が集まらない理由があるからだ。
　例えば今、人材不足が最も顕著と言われるのがIT業界のエンジニア職。
　試算は色々だが、現在でさえ数十万人が不足している。
　一方でIoTやDXと、数年前にはなかったはずの業界用語が次々と話題に上り、どの企業も活発に人材獲得に動き出している。
　それがたとえ、プログラミングやネットワーク管理の知識のない素人だとしても、寛容な場合がほとんどだ。
　そうした企業で働けば、ITスキルが身に付いて今後その会社を辞めることになったとしても引く手あまたかもしれない。
　求職者達はそう感じてしまうかもしれないが、それは大きな落とし穴だ。
　企業が未経験者にも門戸を広げているのは、未経験という理由で初任給を格安にできるからに他ならない。
　未経験者でも採用するが、一人前のエンジニアに育たなかった場合は容赦なく切り捨てられる。
　能力に個人差あるとはいえ、数か月の間に大半が脱落するのが現状だ。
　代わりの人材は、募集を出せば次々と集まってくる。
　だからどの企業も、大量募集を掛けておきながら篩にかける時は容赦がない。
　こんなことを繰り返しているうちに、使い捨て前提で求人数だけが青天井に上昇していく。
　GAFAのような巨大ITプラットフォーマーがあるわけでもない、日本では振興のIT業界にそれだけの受け皿があるわけでもなく。
　雇用統計を所管する中央省庁の方々はこの現状を把握しているのかと、時々疑問に思うことがある。