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3章: 新しい聖女
魔物との遭遇
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「魔導士さん、どうなんだ?」
ヤルスが話しかけた先で、エリーチェも同じように石を一つ一つ手に取りながら難しい顔をしている。ふと、ヤルスが尋ねた。
「おい・・・・・・お前、魔晶石を探したことってあるのか?」
「えっ!?」
エリーチェが驚いて振り返る。大きく見開いた瞳は落ち着く所を見出せずにいる。
「いや、だから魔晶石を探したことあるのかって」
「・・・・・・うん、本で魔力を秘めた石だってことは知っているよ。だからこうして魔力を感じ取れば普通の石とは違うって――」
エリーチェの説明はどこか危うい。そんなことはヤルスにも明らかだった。
「探したことがあるのか、ないのかって聞いているんだよ!」
「・・・・・・ないです」
エリーチェが白状すると、ヤルスは大きくため息をついて頭を抱えた。
「そんなことだろうと思ったよ! お前が魔晶石を見つけられないんじゃ、話が違うじゃないか! 言っておくが、契約の話は解消だ! ここまでの路銀も諦めてさっさと帰れ! この役立たずのインチキ魔導士が!!」
本気になって怒鳴りつけるヤルスの気持ちもわからないでもないが、エリーチェも彼の悪態で顔を引きつらせる。
「ちょっと! いくら何でも言い過ぎなんじゃないの! ここまで来るのに魔物に出会っていたら、アタシの魔法で守ることだって出来たんだよ! アンタの方こそ何の取り柄もないくせに偉そうじゃないの?」
「ふ、二人とも、喧嘩は」
セシルが止めようにも、これまで争いと無縁に生きてきた聖女には仲裁の言葉などすぐには思いつかなかった。そうしている間にも両者の確執はヒートアップしていく。
「言いやがったな! お前ちょっとかわいいからって、図に乗るなよ! 俺は殴りたい衝動を抑え込むのに必死なんだ、コラ!!」
「こっちこそ、アンタなんか灰にしてやりたい気分よ。いっそここでケリを・・・・・・」
気炎を吐いていたエリーチェが仰ぎ顔になったまま硬直した。
「何だ、お前! 間抜け面しやがって」
「あ、あれ・・・・・・あれ」
うわごとの様に震える唇から断続的に単語が発せられる。
「後ろに何かあるのかって・・・・・・」
後顧したヤルスの表情も同じように固まった。彼が背にしていた真ん丸の大岩。その真上には四本の節足を張り巡らせた巨大な昆虫が大きく上体を立ち上げていた。その前脚は他の足よりひと際太く、婉曲した先端には無数の鋸歯が並んでいる。セシルが神殿の本で読む限り、一番近い表現で言えば巨大なカマキリだ。
「ま、魔物おぉ!!」
三人は一斉に叫ぶと同時に、本能的に走り出していた。
ヤルスが話しかけた先で、エリーチェも同じように石を一つ一つ手に取りながら難しい顔をしている。ふと、ヤルスが尋ねた。
「おい・・・・・・お前、魔晶石を探したことってあるのか?」
「えっ!?」
エリーチェが驚いて振り返る。大きく見開いた瞳は落ち着く所を見出せずにいる。
「いや、だから魔晶石を探したことあるのかって」
「・・・・・・うん、本で魔力を秘めた石だってことは知っているよ。だからこうして魔力を感じ取れば普通の石とは違うって――」
エリーチェの説明はどこか危うい。そんなことはヤルスにも明らかだった。
「探したことがあるのか、ないのかって聞いているんだよ!」
「・・・・・・ないです」
エリーチェが白状すると、ヤルスは大きくため息をついて頭を抱えた。
「そんなことだろうと思ったよ! お前が魔晶石を見つけられないんじゃ、話が違うじゃないか! 言っておくが、契約の話は解消だ! ここまでの路銀も諦めてさっさと帰れ! この役立たずのインチキ魔導士が!!」
本気になって怒鳴りつけるヤルスの気持ちもわからないでもないが、エリーチェも彼の悪態で顔を引きつらせる。
「ちょっと! いくら何でも言い過ぎなんじゃないの! ここまで来るのに魔物に出会っていたら、アタシの魔法で守ることだって出来たんだよ! アンタの方こそ何の取り柄もないくせに偉そうじゃないの?」
「ふ、二人とも、喧嘩は」
セシルが止めようにも、これまで争いと無縁に生きてきた聖女には仲裁の言葉などすぐには思いつかなかった。そうしている間にも両者の確執はヒートアップしていく。
「言いやがったな! お前ちょっとかわいいからって、図に乗るなよ! 俺は殴りたい衝動を抑え込むのに必死なんだ、コラ!!」
「こっちこそ、アンタなんか灰にしてやりたい気分よ。いっそここでケリを・・・・・・」
気炎を吐いていたエリーチェが仰ぎ顔になったまま硬直した。
「何だ、お前! 間抜け面しやがって」
「あ、あれ・・・・・・あれ」
うわごとの様に震える唇から断続的に単語が発せられる。
「後ろに何かあるのかって・・・・・・」
後顧したヤルスの表情も同じように固まった。彼が背にしていた真ん丸の大岩。その真上には四本の節足を張り巡らせた巨大な昆虫が大きく上体を立ち上げていた。その前脚は他の足よりひと際太く、婉曲した先端には無数の鋸歯が並んでいる。セシルが神殿の本で読む限り、一番近い表現で言えば巨大なカマキリだ。
「ま、魔物おぉ!!」
三人は一斉に叫ぶと同時に、本能的に走り出していた。
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