俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第5章

信頼関係を構築したい。

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「水を張った水槽に塩を2カップと.....」

買ってきた水槽と鳥かご。
鳥かごは組み立て式だけどカレンが今やってる。

水槽は俺の担当。
色々手順が複雑で説明書を片手に悪戦苦闘。
明日は仕事があるから今夜中に完成させたい。

どの分野にもオタクというものは存在する。
水属性、魔獣、小さい、飼育、で検索したら
かなり詳しく載っているログを見つけた。

この人は研究者じゃなくてただの魔術師だけど
詳しすぎて上級院の講義にも呼ばれる事があるらしい。

様々な水属性の魔獣、魔物の欄から
調べたいドラゴンのページを開く。

カチ...
“ 水性ドラゴンの飼育方法 ”

1、まずは水槽に2/3ほど水を入れます。
 (入れすぎると外へ飛び出す可能性があり危険)

2、餌は基本的に魔力以外は不要ですが
魔力切れや水質が落ちると衰弱死するので注意。
(不在時は魔石のカケラを入れると良いでしょう)

3、海系のドラゴンは淡水でも飼育できますが
塩を入れると元気に泳ぎ回ります。

“ 性格は温厚で他の魚とも飼いやすいので ”
“ ぜひステキなアクアリウムを作ってみてくださいね!”


「あとはコレとコレをここに...よし。」

一緒に買ってきたウミサンゴと流木も配置。
結構それらしくなってきた。
あとはシードラを中に入れたら完成。

”ポッケ“からそっと掴んで取り出し
アクアリウムの中へと放つ。

ゴシュゥ...ゴシュゥ...

尻尾をクルッとウミサンゴに絡めるシードラ。
気に入っているのか楽しそうだ。
そろそろあっちも.....

「レオ、やっと出来たよー!」
「ちょっと時間かかっちゃったぁー」

向こうの方が大変だったみたいだけど
無事に組み立て終わったようだ。

ピピッ...ピピッ...
“ポッケ”から例のアイツを取り出す。

「もう逃げちゃだめだよー?」

カレンが格子を開けて籠の中へ入れたあと
俺が魔術を使ってロックをかける。

魔封っシール!」

カチャン...

これでもう逃げられまいっ!
一瞬“チッ”て舌打ちが聞こえたのは気のせいか。

鳥獣系マニアのログに書いてあったのは
グリフォンの性格は “傲慢”・ワガママ・気難しい”
だから自分の主人と認めないと従わないそうだ。

でもガチャで来た個体はマスターを傷つけない。
これは契約魔法か何かの効力であるため
自然界の上級だったならこうはいかないだろう。

「よろしくな、グリフォン」

カプッ....
「うがぁああああ!!!」

人差し指の先を思い切り噛みやがった。
攻撃...しないはずでしたよね?

「レオ、いまのは甘噛みらしいよー」
(.....絶対に本気噛みだったけど)

いささか心配ではあるが
時間をかけて仲良くなろうと思う。

ピピッ...ピピッ...
(見た目は可愛いのに気難しいのか...)

俺はさっきの一撃で怖くなってしまったが
カレンは付きっきりで話しかけている。
自分や俺のことを紹介したり
この前行ったお祭りや母さんのことも。

「でね、光がパァ~ってなったの!」

わかっているのかいないのか。
それはロングリフォンに聞かなきゃ無理だけど
ジッと黙って彼女の言うことを聴いていて
なんだか微笑ましい。

「カレン、明日仕事だから俺はもう寝るよ」
「うん、私はもう少しお話してから」
「程々にね。おやすみ」


♢翌日の朝「オ...オハヨウ...ゴ...」

俺は朝から耳を疑った。

「レオ!おはようございます」
「いまの聞いたー?」

(.......................しゃべったぁ!?)

そう、俺じゃない。アイツが喋ったのだ。
徹夜で教えて朝までに覚えたらしい。
ログにもあったけれど、頭は凄く良い。

「ピピッ...オ...オハヨウ...ゴ...」

中途半端に“ゴ...”から先が言えないのはご愛嬌。
それでもロングリフォンは得意げな表情をして
俺の驚く顔を嬉しそうに眺めていた。
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