俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第6章

隣の芝は青く見える。

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♢一泊して朝

昨日風呂に入らずに寝てしまったから
とりあえずシャワーを浴びた。

「レオ、早く朝食バイキング行こうよー」
「うん、ちょと待ってて」

起きたばかりなのに急かされて食堂に向かう。
バイキング形式というものが気に入ったらしい。
昨日も山盛りの肉を食べていたが

「あれ.....昨日みたいなお肉がないよ」
「朝食はこんなだよ。昨日は夕飯だったからね」

朝は沢山のフルーツや数種類の焼きたてパン。
俺には十分豪華な朝ごはんだけれど
カレンはボンゴリのウィンナーだけを皿に盛って
朝から肉食を貫いていた。


「方向同じだから乗ってかない?」
「ありがとう。助かるよ」

昨日知り合いになったレイナ。
俺と同じく冒険者志望。
伯父と同じウィザーライドを持っている。
(格好いいなぁ...羨ましい)

「でも凄いよね!ウェザーにロングリフォンなんて」

俺はガチャ運がない方だと思っていたけれど
他の人から見るとそうでもないらしい。
無い物ねだりというやつか。


♢レオナルドの自宅

三十分ほどの飛行で家に到着。
せっかくだからと中へ上がってもらった。

お湯を沸かしてドラゴンティーを淹れる。
その間レイナはアクアリウムに釘付け。

「すごいよ~ミニシードラもいるの!?」
「いいなぁ...うち海の側だから飼えるのにな」

彼女は海沿いの町に住んでいるそうだ。
山の中出身の俺からすると格好良く思うけれど
海は海なりの大変さがあるらしい。

「ずっとお魚ばかりなの。この辛さわかる?」
「わかるー!生きてけないよー」

激しく同意のカレン。
それ以外にも潮風でベタベタとか
海が荒れると大変だとか色々あるらしい。

「でも綺麗なの。キラキラして穏やかな時は」

シードラを眺めながら微笑むレイナ。
いつか行ってみたいと思った。

コト...
「はい、ドラゴンティーをどうぞ」
「ありがとう。このお茶初めて飲むわ」

この辺りでは比較的ポピュラーなお茶であるが
向こうでは見かけないらしい。
とても気に入った様子だったから
まだ未開封のお茶をお土産にと渡した。

「またログにも遊びに行くからね」
「うん、俺も覗いてみる」

(またフレンドが一人増えたな)

あとで三人で撮った自撮りをメールで送ったら
レイナから美しい海の写真が返ってきた。
同じ世界とは思えないほど綺麗で
彼女が離れられないのも仕方がないと思う。


♢その日の午後

「おかえりなさい。どうでしたか?」

レベルの確認をしにフィオが家まで来てくれた。

「6位入賞だったから賢者の石を貰ったよ」
「グリフォンにあげちゃったけど」

素振りや魔法など一通り確認するフィオ。
俺はレベル35くらいまで上がったらしい。


「カレンさんはどうでしょうか」
「なんかねー、ビリビリ出来るようになったかも」

経験値のせいか、そういう地脈の上に居たからか
雷撃系の攻撃魔法を覚えたというがー

偉大なる雷光グランボルト

ズダァァァン...
物置小屋が一撃で破壊された。
まだコントロールが効かないようだ。

「ごめんなさいレオ...」
「使ってなかったから気にしなくていいよ」
「少し練習が必要だね」


最後にロングリフォン。

「十分大きいですね...もう乗ってみましたか?」
「いや、まだ怖くて乗れてない」

すごく試し乗りしたそうなフィオ。
彼女だけでは主従契約の関係で乗れないから
一人乗りサイズでキツキツだけれど
カレンと一緒に飛ばしてみた。

バサバサ...ピピッ...ヴィアッァァ!
ヒュウーン...スザァッァアン...ぐるんぐるん

「凄いですっ!旋回も滑空もスムーズにいきます」
「うわぁー!二回転したよー」

楽しそうにアクロバティック飛行をするフィオ。
一緒に乗っていたら泣き叫んでいたと思う。

「はい、素晴らしい成長でした(凄く笑顔)」
「もう少し大きくなればダンジョンにも行けますね」

移動距離のかかるダンジョンへの冒険旅行...
それは俺にとって夢のような話だ。

.....とは言ってもまだコイツを大きくしなきゃだし
俺の乗り物酔いも克服が必要。

「それでは今までの訓練に飛行訓練も加えましょう」
「あそこまで手荒には飛ばしませんので(笑顔)」

フィオの笑顔がこんなに怖いと思ったことはない。
俺は明日から始まるというその特訓に
戦々恐々とするばかりだった。
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