俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第1章

必ず好きとは限らない。

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凄まじい光は束になり
中央でゆらゆらと虹色に光っていた。
虹色なんて初めて見る。

「これはまた...うんうん、凄そうだぞ!」
姿はまだ見えないが、とてつもないオーラだ。
間違いなく大きな魚を引き当てた。

「見たか!レオナルド、これが触媒の力ー」
「いや、俺の研ぎ澄まされた精神力だろっ」

全身の血が騒ぐ。
光の束は花火のように四方に飛び散り
“その姿”が露わになった。

眩く輝く柔らかなブロンドの髪
艶やかな肌と豊かな胸
厚いくちびる...
思わず息を呑む。
これが女神級なのか...

シュィンッ!
その瞬間、女神は一回り小さくなり
たわわな胸も小さくなり...
美しいドレスも白いワンピースに変わった。

「...えぇっと」

うまく事態がのみこめない。
女神...というか少女な精霊が目を開くと
俺を見るなり深い溜息と共に手を差し出してきた。

「...どうもヨロシク」

どう見てもやる気のなさそうな顔だ。
さっきの女神とこの反抗期的な年齢程の少女
面影は確かにあるけど一体...

「レオナルド、これはまだ初期装備だからね?」
「さっきのはもっと成長した後の姿だろう」

そうだった。
女神級の精霊が出たからといって
最初から最強な訳がない。
武器も衣装も与えなければこの通りだし
レベルもあげないとこの姿のままか。
少し残念だ...

精霊が徐に口を開く。
「なんだ残念って顔しないでほしいです」
「私も残念なので」

俺もそんな顔していたなら悪かったが
はっきり“残念”って言われた...

これは女神の特徴的な性格。
恐ろしく極端なのだ。
傷つきやすかったり
怒りっぽかったり
天然だったりと様々だが
共通するのは頑固で嫉妬深い所か。

とりあえず俺の女神様は寝起きで機嫌が悪い。
そんな険悪なムードに伯父が機嫌を取ろうと
触媒に使ったケーキを差し出した。

「よかったらどーぞっ。甘くて美味しいぞぉ!」
精霊と言えども初対面にそのテンションは流石だ。

「甘いもの...好きじゃない」

そうなのか...
定説とは当てにならないものだ。

「お花はどうかなぁ???」

ブンブンと首を横に振る。
何をやってもご機嫌斜めな娘に
戸惑う父親のようでなんだか可笑しい。

「この部屋いやな香り」
...俺の焚いたアロマオイルか!?
すべてが逆効果だったようだが
ガチャの結果はオーライだ。

「まあまあ、あっちでお茶でも飲もうか」
部屋を移ると少し落ち着いて、精霊は椅子に座った。
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