32 / 92
第3章
酒は飲んでも飲まれるな。
しおりを挟む
「俺達のレオナルドー!未来の勇者~!!」
いや、俺が倒したというか...なんというか...
昨日は伯父の屋敷に泊まって
今日は午後にケニーの所へ謝りに行った。
仕事は明後日からでいいから
今夜の飲み会には必ず来るようにと言われた。
.....そして今こんな状況だ。
俺達のバグの件は少し話題になっていたようで
伯父が地元紙の取材に対して適当に話を盛ったために
更にややこしい事になっていた。
一連の出来事を包み隠さず説明したものの.....
職場の同僚だけでなく他のお客さんまで
一緒になって俺のことを持ち上げる。
「でもお前がトドメを刺したんだろ?」
「すげぇじゃねえか!さすが俺が鍛えただけあ...」
ケニーがウィッドの話を遮り、グラスを持って立ち上がる。
「はい、じゃあもう一回乾杯するよ~!」
「俺達のレオナルドー!未来の勇者~!!」ガシャーン
その後何度もこれを聞かされた。
(.....みんな結構酔っ払ってきたな)
明日はケニーの店が定休日であることもあり
次々と酒が運ばれて来た。
カレンは相変わらずお肉を頬張って満足気だ。
酔ったウィッドが調子に乗って大声で煽る。
「運営なんざクソっくらえだろ!」「そうだそうだー!」
「俺が今から乗り込んでメタメタにしてだなあ、そんでー」
「やっちまえー!」「詫び石よこせ~!!」
パンパンッ!
「はいはい。ウチは面倒起こしたら即クビだからね?」
ケニーの一言で一気に盛り下がる男衆。
そもそも運営が何処にいるかなんて誰も知らない。
「ちぇっ。ケニーだって連絡が来たときゃ今から運営にー」
ゴンッ....「つぅぁ...」
そこまで言うと、ケニーがテーブルの下から脛を蹴った。
口は災いの元とはこのような事をいう。
その後よく分からない余興が始まった。
広げられた横断幕にはこう書かれている。
“第1回レオナルド生還記念ガチャ大会”
「うおぉぉぉぉぉぉぁぁぁ!!!!!」
(なんなんだ、この盛り上がり様は)
(しかも第1回って...)
簡単に言えばみんなでガチャして盛り上がりたいだけで
俺が帰ってきた事とは何も関係がない。
なんだか雑に扱われている気がするのは気のせいだろうか...
先陣を切って配送担当のクレイが召喚陣に石を投げる。
ブヲン....シュルシュルシュルン...
“チェーンメイル”
迷惑に繋がっていく噂話の類ではない。
ただの鎖でできた鎧である。
「なんだよお前っ!ウケ狙いかよ!」
一同ドッと盛り上がるが、俺は飲んでいないからか
イマイチ笑いのツボがわからない。
「おいおいレオナルド~!ノリが悪りぃじゃねえか~」
「次引けよぉ~つぎぃ~!」
「残念ながら俺はパスで。昨日の今日で石がないからね」
それを聞いてウィッド達は残念そうな顔をしたが
すぐにターゲットはケニーへと移った。
「俺たちのボスだからな?勿論大当りだろうよ!」
「ウォォォォー!!」「イイぞケニーやれー!!!」
絶対に煽るだけ煽って笑い飛ばすつもりだろう。
それでも果敢に挑戦を受けるケニー。
“Grand Challenge System Assign”
ブウォン...シュワン...キィーン...シャァーン...
(何だ!?赤い光なんて見た事がないぞ?)
ヴゥ...ヴゥオウヴゥアーゴォォォッッッ!!!!!
こ...これは俺でも知ってる。
かなりレアで人気のある魔獣 “ヴィノナライガー”
人が3人乗っても大丈夫なほどの大きさで性格は従順。
シュルシュルシュル.....
カレンの時と同じ様にレベル1サイズまで縮んで
大型犬の様な可愛い見た目へと変わった。
ライガーの頭をポンポンと撫でながら
ケニーは“どうだ”とばかりにニヤリと笑う。
結果は最終的にケニーの独り勝ちとなり
ボスの威厳を見せつけられたところで
今日の宴はお開きとなった。
ウゥ....わんわんわん!わん!
いや、俺が倒したというか...なんというか...
昨日は伯父の屋敷に泊まって
今日は午後にケニーの所へ謝りに行った。
仕事は明後日からでいいから
今夜の飲み会には必ず来るようにと言われた。
.....そして今こんな状況だ。
俺達のバグの件は少し話題になっていたようで
伯父が地元紙の取材に対して適当に話を盛ったために
更にややこしい事になっていた。
一連の出来事を包み隠さず説明したものの.....
職場の同僚だけでなく他のお客さんまで
一緒になって俺のことを持ち上げる。
「でもお前がトドメを刺したんだろ?」
「すげぇじゃねえか!さすが俺が鍛えただけあ...」
ケニーがウィッドの話を遮り、グラスを持って立ち上がる。
「はい、じゃあもう一回乾杯するよ~!」
「俺達のレオナルドー!未来の勇者~!!」ガシャーン
その後何度もこれを聞かされた。
(.....みんな結構酔っ払ってきたな)
明日はケニーの店が定休日であることもあり
次々と酒が運ばれて来た。
カレンは相変わらずお肉を頬張って満足気だ。
酔ったウィッドが調子に乗って大声で煽る。
「運営なんざクソっくらえだろ!」「そうだそうだー!」
「俺が今から乗り込んでメタメタにしてだなあ、そんでー」
「やっちまえー!」「詫び石よこせ~!!」
パンパンッ!
「はいはい。ウチは面倒起こしたら即クビだからね?」
ケニーの一言で一気に盛り下がる男衆。
そもそも運営が何処にいるかなんて誰も知らない。
「ちぇっ。ケニーだって連絡が来たときゃ今から運営にー」
ゴンッ....「つぅぁ...」
そこまで言うと、ケニーがテーブルの下から脛を蹴った。
口は災いの元とはこのような事をいう。
その後よく分からない余興が始まった。
広げられた横断幕にはこう書かれている。
“第1回レオナルド生還記念ガチャ大会”
「うおぉぉぉぉぉぉぁぁぁ!!!!!」
(なんなんだ、この盛り上がり様は)
(しかも第1回って...)
簡単に言えばみんなでガチャして盛り上がりたいだけで
俺が帰ってきた事とは何も関係がない。
なんだか雑に扱われている気がするのは気のせいだろうか...
先陣を切って配送担当のクレイが召喚陣に石を投げる。
ブヲン....シュルシュルシュルン...
“チェーンメイル”
迷惑に繋がっていく噂話の類ではない。
ただの鎖でできた鎧である。
「なんだよお前っ!ウケ狙いかよ!」
一同ドッと盛り上がるが、俺は飲んでいないからか
イマイチ笑いのツボがわからない。
「おいおいレオナルド~!ノリが悪りぃじゃねえか~」
「次引けよぉ~つぎぃ~!」
「残念ながら俺はパスで。昨日の今日で石がないからね」
それを聞いてウィッド達は残念そうな顔をしたが
すぐにターゲットはケニーへと移った。
「俺たちのボスだからな?勿論大当りだろうよ!」
「ウォォォォー!!」「イイぞケニーやれー!!!」
絶対に煽るだけ煽って笑い飛ばすつもりだろう。
それでも果敢に挑戦を受けるケニー。
“Grand Challenge System Assign”
ブウォン...シュワン...キィーン...シャァーン...
(何だ!?赤い光なんて見た事がないぞ?)
ヴゥ...ヴゥオウヴゥアーゴォォォッッッ!!!!!
こ...これは俺でも知ってる。
かなりレアで人気のある魔獣 “ヴィノナライガー”
人が3人乗っても大丈夫なほどの大きさで性格は従順。
シュルシュルシュル.....
カレンの時と同じ様にレベル1サイズまで縮んで
大型犬の様な可愛い見た目へと変わった。
ライガーの頭をポンポンと撫でながら
ケニーは“どうだ”とばかりにニヤリと笑う。
結果は最終的にケニーの独り勝ちとなり
ボスの威厳を見せつけられたところで
今日の宴はお開きとなった。
ウゥ....わんわんわん!わん!
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる