俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

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第3章

酒は飲んでも飲まれるな。

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「俺達のレオナルドー!未来の勇者~!!」

いや、俺が倒したというか...なんというか...

昨日は伯父の屋敷に泊まって
今日は午後にケニーの所へ謝りに行った。
仕事は明後日からでいいから
今夜の飲み会には必ず来るようにと言われた。

.....そして今こんな状況だ。

俺達のバグの件は少し話題になっていたようで
伯父が地元紙の取材に対して適当に話を盛ったために
更にややこしい事になっていた。

一連の出来事を包み隠さず説明したものの.....
職場の同僚だけでなく他のお客さんまで
一緒になって俺のことを持ち上げる。

「でもお前がトドメを刺したんだろ?」
「すげぇじゃねえか!さすが俺が鍛えただけあ...」

ケニーがウィッドの話を遮り、グラスを持って立ち上がる。

「はい、じゃあもう一回乾杯するよ~!」
「俺達のレオナルドー!未来の勇者~!!」ガシャーン

その後何度もこれを聞かされた。


(.....みんな結構酔っ払ってきたな)
明日はケニーの店が定休日であることもあり
次々と酒が運ばれて来た。
カレンは相変わらずお肉を頬張って満足気だ。

酔ったウィッドが調子に乗って大声であおる。

「運営なんざクソっくらえだろ!」「そうだそうだー!」
「俺が今から乗り込んでメタメタにしてだなあ、そんでー」
「やっちまえー!」「詫び石よこせ~!!」

パンパンッ!
「はいはい。ウチは面倒起こしたら即クビだからね?」

ケニーの一言で一気に盛り下がる男衆。
そもそも運営が何処にいるかなんて誰も知らない。

「ちぇっ。ケニーだって連絡が来たときゃ今から運営にー」
ゴンッ....「つぅぁ...」

そこまで言うと、ケニーがテーブルの下から脛を蹴った。
口は災いの元とはこのような事をいう。


その後よく分からない余興が始まった。
広げられた横断幕にはこう書かれている。

“第1回レオナルド生還記念ガチャ大会”
「うおぉぉぉぉぉぉぁぁぁ!!!!!」

(なんなんだ、この盛り上がり様は)
(しかも第1回って...)

簡単に言えばみんなでガチャして盛り上がりたいだけで
俺が帰ってきた事とは何も関係がない。
なんだか雑に扱われている気がするのは気のせいだろうか...

先陣を切って配送担当のクレイが召喚陣に石を投げる。

ブヲン....シュルシュルシュルン...
“チェーンメイル”

迷惑に繋がっていく噂話のたぐいではない。
ただのくさりでできたよろいである。

「なんだよお前っ!ウケ狙いかよ!」

一同ドッと盛り上がるが、俺は飲んでいないからか
イマイチ笑いのツボがわからない。

「おいおいレオナルド~!ノリが悪りぃじゃねえか~」
「次引けよぉ~つぎぃ~!」

「残念ながら俺はパスで。昨日の今日で石がないからね」

それを聞いてウィッド達は残念そうな顔をしたが
すぐにターゲットはケニーへと移った。

「俺たちのボスだからな?勿論大当りだろうよ!」
「ウォォォォー!!」「イイぞケニーやれー!!!」

絶対に煽るだけ煽って笑い飛ばすつもりだろう。
それでも果敢に挑戦を受けるケニー。

“Grand Challenge System Assign”

ブウォン...シュワン...キィーン...シャァーン...
(何だ!?赤い光なんて見た事がないぞ?)

ヴゥ...ヴゥオウヴゥアーゴォォォッッッ!!!!!

こ...これは俺でも知ってる。
かなりレアで人気のある魔獣 “ヴィノナライガー”
人が3人乗っても大丈夫なほどの大きさで性格は従順。

シュルシュルシュル.....
カレンの時と同じ様にレベル1サイズまで縮んで
大型犬の様な可愛い見た目へと変わった。

ライガーの頭をポンポンと撫でながら
ケニーは“どうだ”とばかりにニヤリと笑う。

結果は最終的にケニーの独り勝ちとなり
ボスの威厳を見せつけられたところで
今日のうたげはお開きとなった。

ウゥ....わんわんわん!わん!
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