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50 ステイとハイエルフの親睦会
しばらくして、ステイはフリーデン村に帰ってきた。
だが、村の誰もが――哀れみの眼差しで彼女を見つめた。
目は死んだ魚のように虚ろ、髪はボサボサ、頬はげっそりとこけて……。
明らかに、元気じゃなかった。
原因は、みんな知っている。
そう――ファントスだ。
ステイが魔神族の国で仕事に追われていたその間、
その張本人はのんきにフリーデン村でのんびりしていたのだ。
「いや~、この村最高だな~。ステイの話、面白いな~!」
と、嬉しそうに語るファントスの姿を見て、
村の住人たちは口を揃えて言った。
「……ステイ、頑張れ。」
ジークも久しぶりに友人に会えて嬉しかったが、
同時に、ステイの苦労を思っていた。
「ジークのおかげでこの通り元気になったよ!ありがとうな!」
と、ファントスがにっこり握手してくるたびに、
「(いや、それステイの努力もあるんだけど……)」と
ジークはちょっとだけ遠い目をしていた。
「ファントスが元気になって良かったよ!テンプルの温泉タマゴも、魔神国に行き渡るくらいには……たぶん作れると思うから。」
曖昧に答えたのは、また暴走されないようにするためだった。
◇ ◇ ◇
そして――フリーデン村に帰ってきたステイはというと、
「やっと……自由に……なれ……た……zzz」
玄関先でそのままバタンと倒れ、三日三晩眠り続けた。
そして、目を覚ました昼下がり。
ようやく元のステイに戻った。
「ふふっ。ミザエルさん達にお礼をしなきゃ!」
ステイは、魔神国から持ち帰ったいろんな贈り物を手に、
テンプルの温泉タマゴを提供してくれたハイエルフたちの村を訪れることにした。
◇ ◇ ◇
ハイエルフの村に着くと、明るい声が飛んできた。
「あれ?ステイさん、帰ってきたんですね!」
出迎えてくれたのは、ハイエルフの少女・ファーシャ。
「ファーシャちゃん、ミザエルさん達はいるかしら?」
「奥のほうにいますよ!呼んできますか?」
「ううん、大丈夫。一緒に行くから、案内してくれる?」
「もちろんですっ!」
◇ ◇ ◇
ミザエルたちと再会したステイは、持参した贈り物を並べてこう言った。
「テンプルのタマゴのお礼に、これを持ってきたの。好きなものを選んで!」
「ステイさん、そんな……わざわざしなくていいのに。助け合うのは当たり前ですよ!」
と、ミザエルは少し驚いたように笑ったが――
「ミザエルさんたちは、兄だけじゃなく国民を救ってくれたのよ。
これくらいじゃ足りないくらいだわ!」
「……そう、ですか?」
どうやらミザエル自身は、テンプルのタマゴを渡しただけだという認識だったようで、
そこまで感謝されるとは思っていなかったらしい。
「そうよ!本当に感謝してるんだから!」
そんなやりとりをしながら、ステイとハイエルフたちは笑い合い、
ささやかな親睦会は、和やかに、楽しく過ぎていったのだった。
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だが、村の誰もが――哀れみの眼差しで彼女を見つめた。
目は死んだ魚のように虚ろ、髪はボサボサ、頬はげっそりとこけて……。
明らかに、元気じゃなかった。
原因は、みんな知っている。
そう――ファントスだ。
ステイが魔神族の国で仕事に追われていたその間、
その張本人はのんきにフリーデン村でのんびりしていたのだ。
「いや~、この村最高だな~。ステイの話、面白いな~!」
と、嬉しそうに語るファントスの姿を見て、
村の住人たちは口を揃えて言った。
「……ステイ、頑張れ。」
ジークも久しぶりに友人に会えて嬉しかったが、
同時に、ステイの苦労を思っていた。
「ジークのおかげでこの通り元気になったよ!ありがとうな!」
と、ファントスがにっこり握手してくるたびに、
「(いや、それステイの努力もあるんだけど……)」と
ジークはちょっとだけ遠い目をしていた。
「ファントスが元気になって良かったよ!テンプルの温泉タマゴも、魔神国に行き渡るくらいには……たぶん作れると思うから。」
曖昧に答えたのは、また暴走されないようにするためだった。
◇ ◇ ◇
そして――フリーデン村に帰ってきたステイはというと、
「やっと……自由に……なれ……た……zzz」
玄関先でそのままバタンと倒れ、三日三晩眠り続けた。
そして、目を覚ました昼下がり。
ようやく元のステイに戻った。
「ふふっ。ミザエルさん達にお礼をしなきゃ!」
ステイは、魔神国から持ち帰ったいろんな贈り物を手に、
テンプルの温泉タマゴを提供してくれたハイエルフたちの村を訪れることにした。
◇ ◇ ◇
ハイエルフの村に着くと、明るい声が飛んできた。
「あれ?ステイさん、帰ってきたんですね!」
出迎えてくれたのは、ハイエルフの少女・ファーシャ。
「ファーシャちゃん、ミザエルさん達はいるかしら?」
「奥のほうにいますよ!呼んできますか?」
「ううん、大丈夫。一緒に行くから、案内してくれる?」
「もちろんですっ!」
◇ ◇ ◇
ミザエルたちと再会したステイは、持参した贈り物を並べてこう言った。
「テンプルのタマゴのお礼に、これを持ってきたの。好きなものを選んで!」
「ステイさん、そんな……わざわざしなくていいのに。助け合うのは当たり前ですよ!」
と、ミザエルは少し驚いたように笑ったが――
「ミザエルさんたちは、兄だけじゃなく国民を救ってくれたのよ。
これくらいじゃ足りないくらいだわ!」
「……そう、ですか?」
どうやらミザエル自身は、テンプルのタマゴを渡しただけだという認識だったようで、
そこまで感謝されるとは思っていなかったらしい。
「そうよ!本当に感謝してるんだから!」
そんなやりとりをしながら、ステイとハイエルフたちは笑い合い、
ささやかな親睦会は、和やかに、楽しく過ぎていったのだった。
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