異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ

文字の大きさ
2 / 107

第2話「洗濯無双の村デビュー!? 異世界ママ、初仕事です!」

しおりを挟む
「ハルさん! うちのじいちゃんの服、なんとかなりますかねえ!?」

 

「ハルさん! この子のよだれかけが……! あ、もう治ってる!?」

 

「ハルさん……この鍋、洗っても取れない汚れが……」

 

「まかせてください!」

 

ええ、そう。私は今――

村の洗濯担当になってます!

 

目覚めてから数日。

ティアちゃんの紹介で村の人たちにあいさつ回りをしてたら、「あら~綺麗な方!」「えっ主婦? うちも娘がね~」と、みんなめちゃくちゃフレンドリー。まさかの田舎の“ご近所トーク力”が異世界でも通用するなんて思わなかった。

 

で、軽い気持ちで「洗濯くらいなら得意ですよ~」って言ったら、気づけば村人全員が洗濯物を持って集まってくる事態に。

でも……やってみたら、案外楽しかった。

 

「洗濯魔法~、いっけーい!」

 

私が手を広げると、ぽわんと淡い光が広がる。その中に入った洗濯物は――

あら不思議。汚れがすべて消え、しみ抜きまでバッチリ、ふわふわでほのかにラベンダーの香りつき。どんなに汚れていても関係なし。伝説の柔軟剤かってレベル!

 

「うちの爺さん、魔獣と戦った血まみれの服だったのに……新品みたいだ!」

「子どものミルク臭さが……取れてる……!」

「え、これ“神”じゃない……?」

 

いやいや、そんなに持ち上げられると困っちゃうんだけど……!

でも正直、主婦歴20年の私からしたら、ボタン一つで全部きれいになるなんて、神より神ですこの魔法。

 

ティアちゃんが言うには、この“洗濯魔法”は本来“生活魔法”というジャンルで、魔法使いの試験にも出ないほど地味な魔法らしい。でも私は思う。

地味な魔法? 家事なめんな。

 

◇ ◇ ◇

 

そんなある日。

「ハルさん、よかったら今日の集会で晩ご飯、作ってもらえませんか?」

 

村の女性に声をかけられた私は、二つ返事で引き受けた。

え? 料理? もちろん得意です!

五人の子どもを育ててきたんだよ!?
予算500円で5人を満足させるレジェンド主婦だよ!?

 

「よーし、今日は異世界風肉じゃがだー!」

 

レシピはない。でも鍋がある。野菜と肉っぽい素材もある。よし、いける。

で、仕込み中に気づいたんだけど――

包丁が、ない。

 

「……まさか、全部手でちぎれっていうのか……?」

 

うーんと悩んでいたら、ティアちゃんが申し訳なさそうに差し出してくれたのが、「木製の刃物」。……ナイフですらない!?

 

「いやもう、スキルでどうにかしよ……」

 

 \料理強化・発動/

 

不思議な光が私の手に宿る。……よし!
これで切れる! 切れるどころか、スパッとプロの手さばき!

どこからともなく包丁の音が聞こえた気さえする!

 

そして炊き上がった異世界肉じゃが(風)。

芋(ぽいもの)ホクホク。肉(獣肉)は柔らかジューシー。

何より、料理強化スキルのせいで、食べた人たちに謎の効果が――

 

「なんか……身体が軽い!」
「視力上がった!?」
「胃腸が整った気がする!」

 

……すごい。

うちの子どもたちにもこれ、使いたかったよ。

特に次男、偏食だったからね……。

 

でも、今はもう……あの子たち、どうしてるかな。

元気でいるといいな……。

 

◇ ◇ ◇

 

翌日。

村の周辺で、「魔物が出た」という話が入ってきた。

 

「えっ、魔物!? 私、洗濯と料理しかできないんですけど!?」

 

「ハルさん……! でも、あなたの“説教スキル”がありますよね!?」

 

「いや、それ本当に武器になるの!?」

 

半信半疑で現場に行くと――そこには、熊みたいな大きさのイノシシっぽい魔物が、村の畑を踏み荒らしていた。

わ、わ、こわ!!

でも、周りの村人たちは盾も槍も持ってるけど、びびって動けてない。

しょうがない。こうなったら――

 

「こらあああああっ!! いい加減にしなさーーーい!!」

 

説教スキル・全開発動!

……するとどうだろう。

魔物が、ピタッと動きを止めて、耳をぺたんと伏せて――

ぷるぷる震えて、ぽとっ、と地面に倒れた。

 

「え……倒れた……?」

「今のって……精神ダメージ……!?」

「“母の叱責”って、こんなに効くのか……」

 

え、なにそれ。

子ども叱るのと同じノリで魔物が倒れるって、どうなの。

……でも、勝った。

なんか勝った!!

 

◇ ◇ ◇

 

その晩。

村では“説教だけで魔物を倒した女”として、私はちょっとした英雄扱いになっていた。

子どもたちには「ママ、ちょっとうるさい」って言われてたのにねぇ。
それが今じゃ「救世主」って……人生って、わかんないもんだなあ。

 

でも――悪くない。

こっちの世界、けっこう楽しいかも。

 

「よーし、明日は収納スキルの練習してみようかなー! 荷物が全部しまえたら、買い物も楽だし♪」

 

異世界ママ、次なる戦いは――片付けです!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!

梅丸みかん
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。※書籍化に伴い「転生少女は異世界でお店を始めたい」から「転生少女は異世界で理想のお店を始めたい 猫すぎる神獣と一緒に、自由気ままにがんばります!」に改題いたしました。

SE転職。~妹よ。兄さん、しばらく、出張先(異世界)から帰れそうにない~

しばたろう
ファンタジー
ブラック企業で倒れたSEが、 目を覚ますと――そこは異世界だった。 賑やかなギルド、個性豊かな仲間たち、 そして「魔法」という名のシステム。 元エンジニアの知識と根性で、男は再び“仕事”を始める。 一方、現実世界では、 兄の意識が戻らぬまま、妹が孤独と絶望の中で抗っていた。 それでも彼女は、心ある人々に支えられながら、 科学と祈りを武器に、兄を救う道を探し続ける。 二つの世界を隔てる“システム”の謎が、やがて兄妹を結びつける。 異世界と現実が交錯するとき、物語は再起動する――。 《「小説家になろう」にも投稿しています》

『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』

チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。 家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!? 主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。

【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby
ファンタジー
【全話投稿済み】  私、山下星良(せいら)はファンタジー系の小説を読むのが大好きなお姉さん。  好きが高じて真剣に考えて作ったのが『異世界でやってみたい50のこと』のリストなのだけど、やっぱり人生はじめからやり直す転生より、転移。転移先の条件として『★剣と魔法の世界に転移してみたい』は絶対に外せない。  そして今の身体じゃ体力的に異世界攻略は難しいのでちょっと若返りもお願いしたい。  更にもうひとつの条件が『★出来れば日本の乙女ゲームか物語の世界に転移してみたい(モブで)』だ。  これにはちゃんとした理由があって、必要なのは乙女ゲームの世界観のみで攻略対象とかヒロインは必要ないし、もちろんゲームに巻き込まれると面倒くさいので、ちゃんと「(モブで)」と注釈を入れることも忘れていない。 ──そして本当に転移してしまった私は、頼もしい仲間と共に、自身の作ったやりたいことリストを消化していくことになる。  いい年の大人が本気で考え、万全を期したハズの『異世界でやりたいことリスト』。  なんで私が転移することになったのか。謎はいっぱいあるし、理想通りだったり、思っていたのと違ったりもするけれど、折角の異世界を楽しみたいと思います。 ---------- 覗いて下さり、ありがとうございます! 2025.4.26 女性向けHOTランキングに入りました!ありがとうございます(๑•̀ㅂ•́)و✧ 7時、13時、19時更新。 全48話、予約投稿しています。 ★このお話は旧『憧れの異世界転移が現実になったのでやりたいことリストを消化したいと思います~異世界でやってみたい50のこと』を大幅に加筆修正したものです(かなり内容も変わってます)。

ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~

うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」 探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。 探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼! 単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。 そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。 小さな彼女には秘密があった。 彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。 魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。 そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。 たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。 実は彼女は人間ではなく――その正体は。 チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。

処理中です...