『スキル〈お片付け〉で世界最強!? 掃除するだけで経験値25倍生活』

チャチャ

文字の大きさ
4 / 79

第4話 厨房の消毒は“必要十分”

しおりを挟む
「次は“疫病寸前の厨房”。祭りの煮込みで腹を壊した客が続出。消毒担当が暴走中」
リサが依頼札をトン。
「暴走……って、どのくらい?」
「“原液こそ正義”。鼻がもげる」
「それは正義じゃなくて兵器」
「数字、忘れんなよ」
「了解。拭く→乾かす→風。今日は“配分”が鍵」

街の大食堂。戸を開けた瞬間、鼻に刺すツンとした匂い。
「現状確認。原因は三つ。原液濃度、換気不足、動線混乱」
「三つも敵がいるのか」
「多い日もある。——責任者の方、いらっしゃいます?」

髭の料理長が胸を張る。
「消毒は多いほど効く! 心がけは“たっぷり”だ!」
「心はたっぷり、液は“薄めて”。必要十分が正義です」
「は?」
「塩と同じ。旨味は匙で生きる。……床、ぬるいですね」

足元でぺたぺた、泡が勝手に増殖。泡スライムの亜種“消毒泡”。
「濃すぎると、泡まで元気になる。ある意味、栄養」
「消毒が餌!?」
「配分を正せば敵じゃない。段取りいきます」

「一手目——風路。油と蒸気、外へ一本化」
風路扇を細く構え、窓から戸口へ風の“線路”を引く。
「二手目——中和。原液プール、薄めて回収」
汚滅桶の“中和湯”を霧状に撒き、床のぬるぬるを落とす。ポンポンが「たべる」と泡を吸う。
「三手目——区分け。生と加熱を分ける。タグ、出ます」
手の中に色札がぱっと生まれた。

【解放:サブスキル〈仕分けタグ〉(生=青/加熱=赤/器具=黄/危険物=黒)】
「青は“生”、赤は“加熱”。黒は“原液—触るな”。混ぜるな、危険」
「……分かりやすい」料理長が小声になる。

奥の釜がごぼごぼ揺れ、白い人影が立ち上がった。
「来た、“匂いだまり”の化け——臭気ゴースト」
「名称、怖い!」
「怖がるより段取り。——拭く→乾かす→風」

釜の縁は油膜、台は原液やけ。
雑巾で横拭き。きゅっ。
扇で風を当て、湿気を二度下げる。
【清浄度:29→61/被弾 -5%/行動 -6%】
「踏ん張り効いてきた!」
「床は中立。裏切ったのは原液。犯人は……濃度」

臭気ゴーストが通路に逃げる。
「カイル、通路確保。突く→戻る→突く、短距離で切って」
「了解! ……へっくし!」
「その合図、ちょうどいい」

原液の溜まりを中和しながら追い込み、調理台の端に“風の袋小路”を作る。
「今、縦拭き。三、二、一」
きゅっ、きゅっ。
ゴーストがしぼみ、蒸気が晴れる。
【清浄度:61→80/会心 +3%/被弾 -8%】
「仕上げ——配分を正す」

ミナは汚滅桶に香草と酢水を落とし、軽く混ぜた。
「除菌はこの濃さ。強すぎると善玉が過労死して、翌日ニオイが逆流します」
「善玉……いるのか」
「います。料理の香りも“味方”。殺しすぎは“味の敵”」
料理長が帽子を取る。
「……すまん。やりすぎだった」

「最後に“風”。香りの出口を上に」
扇を上段に仰ぐと、匂いは梁へ、そこから外へ抜ける。
【清浄度:80→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/湧きポイント停止】
「客席の空気、軽い!」
「数字、締めます」

――――
【作業結果】
清浄度:29→100/所要 9分
会心:+3%/被弾:-8%/行動:-12%
原液プール:ゼロ/動線:生と加熱を分離
――――

「登録に反映。……あ、上がったね」リサ。
視界にステータスが開く。

――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:4
体力:116/116 魔力:86/86 運:19
固有スキル〈お片付け〉Lv2
新規:〈除菌配分〉(対象と汚染度に応じた“必要十分”希釈を自動提案)
既存:〈仕分けタグ〉/風路扇(送風路形成)/汚滅桶(中和)
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 48%)
――――

料理長が深く頭を下げる。
「今日の煮込みは薄めでいこう。味と衛生、両立する」
「それが正義。必要十分で、世界はきれいになる」

掲示板に新しい札。——「禁書図書庫の整頓」。
ノラという名が端にメモされている。
「次は紙の海。散らかし魔と、仲良くなれるといいですね」
「理論上は可能、って言われそう」
「その時は“置き場どこ?”で返します」

-------
📖ここまで読んでくださってありがとうございます!
もし少しでも「面白い」と思ってもらえたら、
お気に入り登録・応援ポチっとしてもらえると励みになります✨
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~

呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件【書籍化決定!】

木ノ花
ファンタジー
【第13回ネット小説大賞、小説部門・入賞!】 マッグガーデン様より、書籍化決定です! 異世界との貿易で資金を稼ぎつつ、孤児の獣耳幼女たちをお世話して幸せに! 非日常ほのぼのライフの開幕! パワハラに耐えかねて会社を辞め、独り身の気楽な無職生活を満喫していた伊海朔太郎。 だが、凪のような日常は驚きとともに終わりを告げた。 ある日、買い物から帰宅すると――頭に猫耳を生やした幼女が、リビングにぽつんと佇んでいた。 その後、猫耳幼女の小さな手に引かれるまま、朔太郎は自宅に現れた謎の地下通路へと足を踏み入れる。そして通路を抜けた先に待ち受けていたのは、古い時代の西洋を彷彿させる『異世界』の光景だった。 さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。 最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。 ※まったり進行です。

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

処理中です...