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第8話 港町の空気は、塩と魚と湿気
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潮の匂いが鼻をくすぐる。
「到着。塩、魚、湿気——三拍子」
「理論上は食欲が出るはず……なのに出ない」ノラが眉をしかめる。
「原因は配分。おいしいはずが“過多”で台無し」
「俺のくしゃみは塩対応で出るのか?」
「塩対応は態度。鼻は正直。——宿と情報、まとめて取るよ」
港門の手前、“風待ち亭”。昼前なのに空席が目立つ。
女将が腕を組む。
「魚臭が抜けなくてねえ。焼けば焼くほど店が負ける」
「ミニ掃除、三手で味方にします。宿代、少しだけまけて」
「結果次第。数字でね」
「現状確認。敵は三つ。生臭(アミン)/湿気/動線の混線」
「三つも」
「三つなら上等。——段取り、出します」
一手目、風路。
「入口→天窓へ“上抜き”一本」
風路扇を胸の高さから仰ぎ、梁に沿って細い風の線路を作る。煙と蒸気が上へ逃げ、視界が軽くなる。
二手目、区分け。
「生は青、焼きは赤、器具は黄、危険物は黒」
仕分けタグを厨房の口に貼り、動線を“左回り一方通行”に。
カイルが槍の柄で邪魔な樽を寄せる。
「通路、確保。……へっ——我慢」
「えらい。港は静音が正義じゃないけど、今はね」
三手目、拭く→乾かす。
まな板の表面を横拭き、台の油膜を薄く切る。
きゅっ。
【清浄度:26→58/被弾 -4%/行動 -6%】
天井梁から、白いもやが人型になって降りてきた。
「来た、“ナマグサーン”」
「名前の適当さよ」
「適量の反対が適当。——配分で倒す」
汚滅桶に酢水と柑橘皮、香草を落とし、湯気でなじませる。
「薄めの“消臭湯”。善玉は殺さない濃度で」
霧を扇の風に乗せ、天井のもやへ押し上げる。
もやがしぼみ、鼻の奥の棘が抜ける感覚。
【清浄度:58→81/会心 +3%】
「踏ん張り効く!」カイルの足が軽い。
「仕上げ、“上から下へ”縦拭きで通す。三、二、一」
梁の結露を布で受け、壁面を縦に通し、床は最後。
きゅっ、きゅっ。
【清浄度:81→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/臭気発生率 -50%(短時間)】
「……空気、軽い」ノラが胸いっぱい吸う。
女将が鼻を鳴らし、ぱっと顔を上げた。
「匂いが“料理の手前”で止まった。これよ、これ!」
「数字、締めます」
――――
【作業結果】
清浄度:26→100/所要 7分
会心:+3%/被弾:-8%/行動:-12%
動線:左回り一方通行/生と加熱を分離
臭気:主成分アミン濃度 体感-2段階
――――
「約束どおり、宿代まけるよ。それと情報——」女将が身を寄せる。
「港の大ダクト、最近“公社の下請け”が塞いでったのさ。『潮風逆流対策』って名目でね。塞いでから、うちが負け始めた」
「風の地図を抜いて、道を塞いだ……理由は“匂いの利権”?」
「理論上は可能」
「現実上も濃厚。——下見、行こう」
視界にお知らせ。
――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:8
体力:124/124 魔力:94/94 運:20
固有スキル〈お片付け〉Lv3
新規:〈消臭調合〉(対象臭に応じた“必要十分”レシピを自動提案/酢・香草・柑橘・炭の配分ガイド)
既存:〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
装備:雑巾“一枚”/手箒/風路扇/汚滅桶
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 62%/魚油だいすき)
――――
「“消臭調合”、来た。港向けの鍵」
「俺の名誉(くしゃみ)も守れる?」
「守る。香りの出口は上、湿気は横、塩は拭いて落とす」
ポンポンが「おいしい」と胸元で跳ねた。
「魚油、たべる?」
「食べて。ただし“必要十分”で」
女将が店先に札を出す。「本日、空気うまい」
わたしたちは波止場へ向かう。潮風が頬を叩き、遠くでダクトの鉄板が低く鳴いた。
-------
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「到着。塩、魚、湿気——三拍子」
「理論上は食欲が出るはず……なのに出ない」ノラが眉をしかめる。
「原因は配分。おいしいはずが“過多”で台無し」
「俺のくしゃみは塩対応で出るのか?」
「塩対応は態度。鼻は正直。——宿と情報、まとめて取るよ」
港門の手前、“風待ち亭”。昼前なのに空席が目立つ。
女将が腕を組む。
「魚臭が抜けなくてねえ。焼けば焼くほど店が負ける」
「ミニ掃除、三手で味方にします。宿代、少しだけまけて」
「結果次第。数字でね」
「現状確認。敵は三つ。生臭(アミン)/湿気/動線の混線」
「三つも」
「三つなら上等。——段取り、出します」
一手目、風路。
「入口→天窓へ“上抜き”一本」
風路扇を胸の高さから仰ぎ、梁に沿って細い風の線路を作る。煙と蒸気が上へ逃げ、視界が軽くなる。
二手目、区分け。
「生は青、焼きは赤、器具は黄、危険物は黒」
仕分けタグを厨房の口に貼り、動線を“左回り一方通行”に。
カイルが槍の柄で邪魔な樽を寄せる。
「通路、確保。……へっ——我慢」
「えらい。港は静音が正義じゃないけど、今はね」
三手目、拭く→乾かす。
まな板の表面を横拭き、台の油膜を薄く切る。
きゅっ。
【清浄度:26→58/被弾 -4%/行動 -6%】
天井梁から、白いもやが人型になって降りてきた。
「来た、“ナマグサーン”」
「名前の適当さよ」
「適量の反対が適当。——配分で倒す」
汚滅桶に酢水と柑橘皮、香草を落とし、湯気でなじませる。
「薄めの“消臭湯”。善玉は殺さない濃度で」
霧を扇の風に乗せ、天井のもやへ押し上げる。
もやがしぼみ、鼻の奥の棘が抜ける感覚。
【清浄度:58→81/会心 +3%】
「踏ん張り効く!」カイルの足が軽い。
「仕上げ、“上から下へ”縦拭きで通す。三、二、一」
梁の結露を布で受け、壁面を縦に通し、床は最後。
きゅっ、きゅっ。
【清浄度:81→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/臭気発生率 -50%(短時間)】
「……空気、軽い」ノラが胸いっぱい吸う。
女将が鼻を鳴らし、ぱっと顔を上げた。
「匂いが“料理の手前”で止まった。これよ、これ!」
「数字、締めます」
――――
【作業結果】
清浄度:26→100/所要 7分
会心:+3%/被弾:-8%/行動:-12%
動線:左回り一方通行/生と加熱を分離
臭気:主成分アミン濃度 体感-2段階
――――
「約束どおり、宿代まけるよ。それと情報——」女将が身を寄せる。
「港の大ダクト、最近“公社の下請け”が塞いでったのさ。『潮風逆流対策』って名目でね。塞いでから、うちが負け始めた」
「風の地図を抜いて、道を塞いだ……理由は“匂いの利権”?」
「理論上は可能」
「現実上も濃厚。——下見、行こう」
視界にお知らせ。
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【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:8
体力:124/124 魔力:94/94 運:20
固有スキル〈お片付け〉Lv3
新規:〈消臭調合〉(対象臭に応じた“必要十分”レシピを自動提案/酢・香草・柑橘・炭の配分ガイド)
既存:〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
装備:雑巾“一枚”/手箒/風路扇/汚滅桶
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 62%/魚油だいすき)
――――
「“消臭調合”、来た。港向けの鍵」
「俺の名誉(くしゃみ)も守れる?」
「守る。香りの出口は上、湿気は横、塩は拭いて落とす」
ポンポンが「おいしい」と胸元で跳ねた。
「魚油、たべる?」
「食べて。ただし“必要十分”で」
女将が店先に札を出す。「本日、空気うまい」
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