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第16話 祭の計画会議、紙の海に風を通す
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許認可庁の大会議室。机と椅子と書類の波。
議長席にはマダム・コルネ、対面に公社のギルバート卿。
脇でリサが腕を組んでいる。「数字、忘れんな」
「忘れない。今日は“計画の三手”。分ける→通す→見せる」
「開会する。王都大掃除祭について審議」コルネ。
「危険である。却下が妥当」ギルバート。
「危険なのは出口のない風。——段取り、出します」
一手目、分ける(ゾーニング)。
「会場を“通過/観覧/作業”で三分。動線は右回り一方通行」
〈仕分けタグ〉で色を示し、〈群衆整理〉で通路幅を出す。
「止まりたい人は黄、進む人は赤。作業は青。仮置き一時間、過ぎたら移住税」
「税制が急だな」カイルが小声でツッコむ。
「冗談。……半分本気」
二手目、通す(排気計画)。
〈風路設計図〉を卓上に投影。
「屋台の煙は横抜き太線で路肩へ、臭気は上抜き細線で梁へ。旗は“見せ風”で揺らすけど、料理の匂いは“手前で止める”」
ノラが頷く。「理論上、快適」
「現実上も、昨日証明済み」リサが肩で笑う。
三手目、見せる(案内標)。
〈案内標生成〉で“進む←/止まる□/ごみ出し→”の札を自動印字。
「誰が見ても一発で分かる道標を置く。風は見えないから、見える矢印で補う」
ギルバートが杖で机をコツコツ。「数字は?」
「試算、置きます」
――――
【計画試算(予行時)】
滞留率:-40%想定/転倒事故リスク:-30%(体感)
臭気層厚:-2段階(屋台帯)/掃除動線:-12%(移動コスト)
必要人員:案内4班×6名/清掃3班×6名/記録1班×3名
――――
「予行でもう一段、上げる。拭く→乾かす→風は現地で実行」
「反対だ。屋台は火を使う」
「火気厳禁の帯を作る。着火は“上抜き”が通ってから。数字で合図」
「群衆が暴発したら」
「案内標+矢印+声で“黄帯に退避”。ルートは三本用意、色も音声も合わせる」
コルネが腕を組む。「公開審査の結果から、条件付き許可でどう?」
卿は唇を尖らせる。「条件を列挙せよ」
「①予行演習を当日朝に実施(15分)
②記録は記録封緘で即時保存
③公社は監視のみ、作業指揮は清掃士側
④“塞板”は安全固定を優先、閉鎖は“逆流検知時のみ”」
沈黙。旗のない部屋で、紙がぱらりと鳴る。
「……よかろう。失敗すれば即時中止だ」
「成功させます。必要十分で」
リサが肘で小突く。「で、数字、貼っとき」
「貼る。あと一枚、光磨布」
私は会議机の縁を縦拭き。きゅっ。紙の滑りが良くなり、書記が思わず笑う。
【清浄度:28→64/行動 -6%】
「紙が進むと、会議も進む」
「理論上は効率化、現実上も」ノラ。
視界にお知らせ。
――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:15
体力:140/140 魔力:110/110 運:25(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv4
新規:〈会場設計(ゾーニング)〉(通過/観覧/作業の三帯を自動提案/事故リスク予測)
既存:光磨布/〈案内標生成〉〈群衆整理〉〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 59%/紙は食べない主義)
――――
会議散会。廊下の角で、若い職人がそっと耳打ちした。
「夜中、公社倉庫で封緘粉の搬入があるって……気をつけて」
「ありがとう。粉は上抜きで落とす。——予行は夜明け前、先に一枚、空気を軽くする」
「俺は器材運ぶ」カイルが槍を肩に。
「理論上は寝不足、現実上も」ノラがあくび。
「寝る時間は拭いて作る。三手で余裕を出そう」
-------
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議長席にはマダム・コルネ、対面に公社のギルバート卿。
脇でリサが腕を組んでいる。「数字、忘れんな」
「忘れない。今日は“計画の三手”。分ける→通す→見せる」
「開会する。王都大掃除祭について審議」コルネ。
「危険である。却下が妥当」ギルバート。
「危険なのは出口のない風。——段取り、出します」
一手目、分ける(ゾーニング)。
「会場を“通過/観覧/作業”で三分。動線は右回り一方通行」
〈仕分けタグ〉で色を示し、〈群衆整理〉で通路幅を出す。
「止まりたい人は黄、進む人は赤。作業は青。仮置き一時間、過ぎたら移住税」
「税制が急だな」カイルが小声でツッコむ。
「冗談。……半分本気」
二手目、通す(排気計画)。
〈風路設計図〉を卓上に投影。
「屋台の煙は横抜き太線で路肩へ、臭気は上抜き細線で梁へ。旗は“見せ風”で揺らすけど、料理の匂いは“手前で止める”」
ノラが頷く。「理論上、快適」
「現実上も、昨日証明済み」リサが肩で笑う。
三手目、見せる(案内標)。
〈案内標生成〉で“進む←/止まる□/ごみ出し→”の札を自動印字。
「誰が見ても一発で分かる道標を置く。風は見えないから、見える矢印で補う」
ギルバートが杖で机をコツコツ。「数字は?」
「試算、置きます」
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【計画試算(予行時)】
滞留率:-40%想定/転倒事故リスク:-30%(体感)
臭気層厚:-2段階(屋台帯)/掃除動線:-12%(移動コスト)
必要人員:案内4班×6名/清掃3班×6名/記録1班×3名
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「火気厳禁の帯を作る。着火は“上抜き”が通ってから。数字で合図」
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「案内標+矢印+声で“黄帯に退避”。ルートは三本用意、色も音声も合わせる」
コルネが腕を組む。「公開審査の結果から、条件付き許可でどう?」
卿は唇を尖らせる。「条件を列挙せよ」
「①予行演習を当日朝に実施(15分)
②記録は記録封緘で即時保存
③公社は監視のみ、作業指揮は清掃士側
④“塞板”は安全固定を優先、閉鎖は“逆流検知時のみ”」
沈黙。旗のない部屋で、紙がぱらりと鳴る。
「……よかろう。失敗すれば即時中止だ」
「成功させます。必要十分で」
リサが肘で小突く。「で、数字、貼っとき」
「貼る。あと一枚、光磨布」
私は会議机の縁を縦拭き。きゅっ。紙の滑りが良くなり、書記が思わず笑う。
【清浄度:28→64/行動 -6%】
「紙が進むと、会議も進む」
「理論上は効率化、現実上も」ノラ。
視界にお知らせ。
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【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:15
体力:140/140 魔力:110/110 運:25(↑)
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既存:光磨布/〈案内標生成〉〈群衆整理〉〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
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「夜中、公社倉庫で封緘粉の搬入があるって……気をつけて」
「ありがとう。粉は上抜きで落とす。——予行は夜明け前、先に一枚、空気を軽くする」
「俺は器材運ぶ」カイルが槍を肩に。
「理論上は寝不足、現実上も」ノラがあくび。
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