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第30話 鍛冶場・一次試験——耐塩枠に風を通す
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朝の鍛冶場は、鉄の匂いと潮の名残。
火床は赤く、ハンマーの音が短い。
バルドが腕を組む。
「真鍮枠、今日で“形”は出す」
「了解。段取りは三つ。片付け→仮組→通風」
床の油膜を重曹で割り、光磨布で縦に一枚。
きゅっ。
足が利く。火も呼吸する。
【清浄度:23→58/行動 -6%】
ノラが図面を広げた。
「理論上、枠は“真鍮+樹脂封止”。風紋石はレンズの後段に」
「現実上も。揺れは後段で殺す」
バルドが真鍮を焼き、曲げ、叩く。
私は背金で仮固定し、耐塩樹脂を薄く回す。
樹脂が“とろみ”から“張り”になる一瞬を、〈熱整流〉で軽く支える。
「乾かして、風。斜め上に逃がす」
【清浄度:58→74】
天井の梁で、黒い影がぱさぱさ鳴った。
煤コウモリだ。火の匂いで寄ってくる。
「洗って落とす。——微温湯の霧→縦拭き→上抜き」
霧で煤の静電気を削り、梁を縦に一枚。
きゅっ。
落ちた煤は横で片側へ寄せ、吸い上げて捨てる。
【清浄度:74→92/紙粉・煤落下 -60%(短時間)】
カイルが槍の石突きで通路を守る。
「頭上クリア。……へっ、我慢」
「ナイス克己」
仮組した枠に、レンズ欠片をはめる。
後段に風紋石(小)。
コアは高純度魔石、並列に燃焼安定石。
私は最後に光磨布で縦を一度。
きゅっ。
レンズの芯が澄む。
「通すよ。横→上の二段」
風路扇を水平に。
糸みたいな風が立ち、後段で揺れが静まる。
【清浄度:92→100】
【風量:基準比 +32%/風圧変動 ±2%(安定域)】
【逆流率 -78%(短時間)】
バルドが目を細める。
「糸が太った。いい」
「数字も太い」
その時、作業台の下で金具がころり。
古い刻印の入った小さなスタンプだ。
丸い面に「防蝕」の逆文字。
ノラが息を呑む。
「“耐蝕印章プレート”。理論上、樹脂封止の寿命が上がる」
「発掘、ありがとう」
――――
【発掘判定】
清浄度:100/整理度:A/タグ精度:A → レア⭐︎
【発見】
・耐蝕印章プレート(小)(品質A-/封止の劣化率 -15%)
――――
封止部にプレートを軽圧印。
樹脂の表面張力がすっと締まる。
【封止寿命 推定 +18%】
鍛冶場の奥で、白い粉がぱっと舞った。
袋の口が“偶然”ほどけた顔をしている。
「封緘粉。——順番で勝つ。落とす→拭く→風」
霧で静電気を殺し、縦で切り、横で寄せて、上で捨てる。
〈逆流検知〉が淡く点滅して止む。
【清浄度:100→110(短時間)】
【記録封緘:妨害粉 1件(写し添付)】
バルドが低く笑った。
「粉よりお前らの段取りのほうが早い」
「“必要十分”だけやってます」
一次試験。
枠をダクト前に仮設して、三条件で計測——平風・屋台煙・潮霧。
いずれも風紋は細く、揺れは小さい。
港の幌が、ぱん、と気持ちよく張った。
【一次試験ログ】
風量 +30~33%(平均 +31.6%)
風圧変動 ±2~3%(安定)
臭気層 -2段階(体感)
逆流検知 0件/妨害粉 1件(無害化)
ギルバート卿が現れ、数字だけを見る。
「常設の条件を告げる。逆流時のみ閉鎖/封止は耐塩印付き/記録は日次」
「受領。——二次試験、明日朝に」
「立ち会う」
カイルが肩を回した。
「通路、片付いた。……へっ、我慢」
「名誉(くしゃみ)も我慢でなく“ゼロ”を目指して」
――――
【作業結果(鍛冶場・一次試験)】
清浄度:23→110(短時間)/所要 26分
方式:片付け→仮組→通風(横→上+風紋石・後段)
発掘:耐蝕印章プレート(小)
妨害:封緘粉 1件(無害化・記録封緘)
――――
視界にお知らせが灯る。
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:28
体力:166/166 魔力:136/136 運:38(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv5
新規:〈封止調律〉(樹脂硬化の“張り”を微風で最適化/耐久+)
既存:光磨布/〈泥落とし〉〈風紋表示〉〈熱整流〉〈発掘補正〉〈問答整理〉〈筆跡照合〉〈透読〉〈封緘解析〉〈撤収導線〉〈逆流検知〉〈現場放送〉〈会場設計〉〈夜間案内〉〈案内標生成〉〈群衆整理〉〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 62%/煤は苦手)
私は光を縦に一度だけ通した。
鍛冶場の空気が、薄く明るく返る。
「二次試験は潮が強い時間で。横→斜上の三段まで試す」
ノラが頷く。
「理論上、安定域が広がる」
バルドが火ばさみを置く。
「枠は今日のうちに“もう一枚”曲げておく」
カイルが外を指す。
「港の旗、今日もぱん」
「ぱん、いい音」
明日は“常設”へ、もう一歩。
拭いて、乾かして、風。
数字で街を、一枚ずつ強くする。
-------
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火床は赤く、ハンマーの音が短い。
バルドが腕を組む。
「真鍮枠、今日で“形”は出す」
「了解。段取りは三つ。片付け→仮組→通風」
床の油膜を重曹で割り、光磨布で縦に一枚。
きゅっ。
足が利く。火も呼吸する。
【清浄度:23→58/行動 -6%】
ノラが図面を広げた。
「理論上、枠は“真鍮+樹脂封止”。風紋石はレンズの後段に」
「現実上も。揺れは後段で殺す」
バルドが真鍮を焼き、曲げ、叩く。
私は背金で仮固定し、耐塩樹脂を薄く回す。
樹脂が“とろみ”から“張り”になる一瞬を、〈熱整流〉で軽く支える。
「乾かして、風。斜め上に逃がす」
【清浄度:58→74】
天井の梁で、黒い影がぱさぱさ鳴った。
煤コウモリだ。火の匂いで寄ってくる。
「洗って落とす。——微温湯の霧→縦拭き→上抜き」
霧で煤の静電気を削り、梁を縦に一枚。
きゅっ。
落ちた煤は横で片側へ寄せ、吸い上げて捨てる。
【清浄度:74→92/紙粉・煤落下 -60%(短時間)】
カイルが槍の石突きで通路を守る。
「頭上クリア。……へっ、我慢」
「ナイス克己」
仮組した枠に、レンズ欠片をはめる。
後段に風紋石(小)。
コアは高純度魔石、並列に燃焼安定石。
私は最後に光磨布で縦を一度。
きゅっ。
レンズの芯が澄む。
「通すよ。横→上の二段」
風路扇を水平に。
糸みたいな風が立ち、後段で揺れが静まる。
【清浄度:92→100】
【風量:基準比 +32%/風圧変動 ±2%(安定域)】
【逆流率 -78%(短時間)】
バルドが目を細める。
「糸が太った。いい」
「数字も太い」
その時、作業台の下で金具がころり。
古い刻印の入った小さなスタンプだ。
丸い面に「防蝕」の逆文字。
ノラが息を呑む。
「“耐蝕印章プレート”。理論上、樹脂封止の寿命が上がる」
「発掘、ありがとう」
――――
【発掘判定】
清浄度:100/整理度:A/タグ精度:A → レア⭐︎
【発見】
・耐蝕印章プレート(小)(品質A-/封止の劣化率 -15%)
――――
封止部にプレートを軽圧印。
樹脂の表面張力がすっと締まる。
【封止寿命 推定 +18%】
鍛冶場の奥で、白い粉がぱっと舞った。
袋の口が“偶然”ほどけた顔をしている。
「封緘粉。——順番で勝つ。落とす→拭く→風」
霧で静電気を殺し、縦で切り、横で寄せて、上で捨てる。
〈逆流検知〉が淡く点滅して止む。
【清浄度:100→110(短時間)】
【記録封緘:妨害粉 1件(写し添付)】
バルドが低く笑った。
「粉よりお前らの段取りのほうが早い」
「“必要十分”だけやってます」
一次試験。
枠をダクト前に仮設して、三条件で計測——平風・屋台煙・潮霧。
いずれも風紋は細く、揺れは小さい。
港の幌が、ぱん、と気持ちよく張った。
【一次試験ログ】
風量 +30~33%(平均 +31.6%)
風圧変動 ±2~3%(安定)
臭気層 -2段階(体感)
逆流検知 0件/妨害粉 1件(無害化)
ギルバート卿が現れ、数字だけを見る。
「常設の条件を告げる。逆流時のみ閉鎖/封止は耐塩印付き/記録は日次」
「受領。——二次試験、明日朝に」
「立ち会う」
カイルが肩を回した。
「通路、片付いた。……へっ、我慢」
「名誉(くしゃみ)も我慢でなく“ゼロ”を目指して」
――――
【作業結果(鍛冶場・一次試験)】
清浄度:23→110(短時間)/所要 26分
方式:片付け→仮組→通風(横→上+風紋石・後段)
発掘:耐蝕印章プレート(小)
妨害:封緘粉 1件(無害化・記録封緘)
――――
視界にお知らせが灯る。
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:28
体力:166/166 魔力:136/136 運:38(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv5
新規:〈封止調律〉(樹脂硬化の“張り”を微風で最適化/耐久+)
既存:光磨布/〈泥落とし〉〈風紋表示〉〈熱整流〉〈発掘補正〉〈問答整理〉〈筆跡照合〉〈透読〉〈封緘解析〉〈撤収導線〉〈逆流検知〉〈現場放送〉〈会場設計〉〈夜間案内〉〈案内標生成〉〈群衆整理〉〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 62%/煤は苦手)
私は光を縦に一度だけ通した。
鍛冶場の空気が、薄く明るく返る。
「二次試験は潮が強い時間で。横→斜上の三段まで試す」
ノラが頷く。
「理論上、安定域が広がる」
バルドが火ばさみを置く。
「枠は今日のうちに“もう一枚”曲げておく」
カイルが外を指す。
「港の旗、今日もぱん」
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