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120話『はるとの挑戦と、ひなののナゾ解きごっこ』
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「ねえママ、今日ひなのと“ナゾとき大会”するから、問題出して!」
朝から元気いっぱいのひなのが、キラキラした目で麻衣にお願いしてきた。
「えっ、なぞとき大会? いつの間にそんなのが……」
「ひなのが“今日やるの!”って。ルールはひなのが考えたんだってさ」
と、悠翔がやや困り顔で解説してくれる。
「よし、じゃあママも参加するよー」
「やったー! ひなの探偵、まいりますっ!」
元気いっぱいの“ひなの探偵”に、麻衣と悠翔も思わず笑ってしまう。
家族で過ごすゆっくりとした休日。なぞときごっこは、意外にも本格的だった。
---
最初のお題は、ひなのがぬいぐるみの下に隠したメモ。
「『つくえのなかの あおいふくろ ひらくと なにかがでる』……あれ? あおいふくろって……」
「それ、ママの非常食セットじゃない! 開けちゃダメー!」
「えーっ! なんでぇ~?」
「なぞときはほどほどにね~」
2問目は悠翔が出題。
「“いつもは静か、でもパパがいるとにぎやかになる場所はどこでしょう?”」
「え? どこどこ?」
「……リビング?」
「ブッブー。正解は『おふろ』! パパ、歌うもん!」
「それは言うなって!」
家族の笑い声が、風通しのいいリビングに響く。
---
午後、散歩に出たときも、ひなのはひらめいたように
「“ふしぎなはこから いろんなこえが きこえてくるよ なんでしょう?”」
「それスマホでしょ」
「せいかーい! ひなの、やさしいでしょ?」
「いやいや、簡単すぎるでしょ」
その帰り道、近くの公園でふと悠翔が言った。
「なんかさ、こういう日、ずっと続けばいいのにって思う」
「うん。なんもないのに楽しい日って、いいよね」
麻衣は二人の横顔を見ながら、小さく頷いた。
(そうだね。こういう何気ない時間が、いちばん特別かもしれない)
---
夜、夕食後。
「今日の優勝者は……ひなの探偵です!」
「やったー! ごほうびは?」
「……うーん。じゃあ、ママの特製プリンにしようか」
「やったー!!」
悠翔が「え、俺も!」と叫ぶのを聞いて、雄一が笑いながらキッチンへ。
「パパもお手伝いしようか?」
「うーん……混ぜるのだけお願いね」
夜が深まる頃、ベランダに出た麻衣はそっと空を見上げる。
スキルがあってもなくても。
ちょっとした遊び、家族の笑い声、それだけで、今日という日は十分すぎるほど幸せだ。
「また明日も、いい日になりますように」
風に吹かれて、やさしい気持ちが胸に広がる。
そしてその願いは、きっと、誰かと静かにつながっている――
---
朝から元気いっぱいのひなのが、キラキラした目で麻衣にお願いしてきた。
「えっ、なぞとき大会? いつの間にそんなのが……」
「ひなのが“今日やるの!”って。ルールはひなのが考えたんだってさ」
と、悠翔がやや困り顔で解説してくれる。
「よし、じゃあママも参加するよー」
「やったー! ひなの探偵、まいりますっ!」
元気いっぱいの“ひなの探偵”に、麻衣と悠翔も思わず笑ってしまう。
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最初のお題は、ひなのがぬいぐるみの下に隠したメモ。
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「“いつもは静か、でもパパがいるとにぎやかになる場所はどこでしょう?”」
「え? どこどこ?」
「……リビング?」
「ブッブー。正解は『おふろ』! パパ、歌うもん!」
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家族の笑い声が、風通しのいいリビングに響く。
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午後、散歩に出たときも、ひなのはひらめいたように
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「いやいや、簡単すぎるでしょ」
その帰り道、近くの公園でふと悠翔が言った。
「なんかさ、こういう日、ずっと続けばいいのにって思う」
「うん。なんもないのに楽しい日って、いいよね」
麻衣は二人の横顔を見ながら、小さく頷いた。
(そうだね。こういう何気ない時間が、いちばん特別かもしれない)
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夜、夕食後。
「今日の優勝者は……ひなの探偵です!」
「やったー! ごほうびは?」
「……うーん。じゃあ、ママの特製プリンにしようか」
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そしてその願いは、きっと、誰かと静かにつながっている――
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