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第一章 私はまだ、ゾンビで居たいんです!!
07 昔馴染みの証明
「お前が俺の質問に対して、正直に応えてくれれば何もしない」
だとしても、はっきり言って趣味が悪い。
十年の間に何があったのか知らないけれど、フェリクス様はこんなやり方をする人じゃなかったはずだ。
「それで、知っていることを全て話し終えたら、どうするつもりです?」
「悪いようにはしないと約束するよ」
そう言うフェリクス様は、わざとらしく目を伏せて、手元のフォークを弄んでいる。
なるほど、どうやら今のあなたは随分と……取り繕っているらしい。
あなたがそう振る舞いたいのだったら、こちらだって考えがある。
「……フェリクス・アルムガルト。1110年、11月13日生まれ」
「? 俺は質問すると言ったはずだが……」
「アレムガルト伯爵家の次男坊でありながら7歳の誕生日パーティーで年上の令嬢からキスを強要されたことがトラウマになり、貴族社会からドロップアウト」
「な!?」
だったら、その仮面がどのくらい持つか、一つ見せてもらおうじゃないか!
私は何故かあなた個人のことを知り尽くしていますからね。
ええ! 大した自慢にもならないのに、な、ぜ、か!
「9才の誕生日パーティー目前になって両親に泣きつき修道院入りを果たした後は、その勤勉さと突出した才気によって、当時としては異例の12歳にしてテレージア教会の聖騎士として認められるに至る……」
「っ……ふん。良く調べているようだが――」
「が、しかし! 貴族家と教会の親睦を深めるという聖騎士として当然の義務を立て続けに拒否! パーティーへの出席はもちろんのこと、各種催事も貴族社会が関わるとなった途端に駄々をこねて拒否に拒否!」
「はあ!?」
「あら、全部あなたがその口で私に教えてくれたことですよ? その後本家にチクられて嫌がらせのように公爵令嬢の護衛騎士に強制任命されたことまで含めてね!」
私が畳み掛けてやると、フェリクス様はとうとう耐え切れないといったようにナイフとフォークを取り落とした。
そのまま席を立ち上がって両手を私へ向け伸ばすフェリクス様の表情は、随分と人間味を帯びてきている。もう少しだ。
「遅れて護衛術士に任命された私との手合わせで顔面に一撃食らって伸びたのは、それから一ヶ月後のことでしたか? そのまま私のズルの証拠を掴むためとかいって、お嬢様との水浴びを覗きに来――もごっ!?」
「それ以上喋るな!!」
私の口を強く塞ぎながら、ビリビリと部屋中に響く怒声を上げるフェリクス様。
すっかり感情的になったフェリクス様の表情は、怒りと羞恥に満ちて赤くなっていた。
目を覚ます前は随分と見慣れた表情だったけど、今はもう懐かしい。
記憶は連続しているはずなのに、彼の背丈と顔立ちが、時の流れを感じさせる。
「……尋問は終わりだ。あんたはたしかに、エルカで間違いないらしい」
叫んで落ち着いてしまったのか、彼の顔から昔の表情が消えていく。
正直テーブルに叩き付けられても仕方ないと思っていたけれど、そうはならなかった。
怒りの色は跡形もなく、彼は私を銀皿に戻して、視界の外へ去っていく。
「昔みたいに、エルカ姉と呼んでくれてもいいんですよ」
最後に茶化しを入れてみたけれど、返事はないまま足音が響く。
ドアの開く音がしてそのまま勢い良く閉められる直前に……聞き間違えでなければ、彼は一言呟いていた。
「二度とごめんだ」
……どういう意味だろうか。
だとしても、はっきり言って趣味が悪い。
十年の間に何があったのか知らないけれど、フェリクス様はこんなやり方をする人じゃなかったはずだ。
「それで、知っていることを全て話し終えたら、どうするつもりです?」
「悪いようにはしないと約束するよ」
そう言うフェリクス様は、わざとらしく目を伏せて、手元のフォークを弄んでいる。
なるほど、どうやら今のあなたは随分と……取り繕っているらしい。
あなたがそう振る舞いたいのだったら、こちらだって考えがある。
「……フェリクス・アルムガルト。1110年、11月13日生まれ」
「? 俺は質問すると言ったはずだが……」
「アレムガルト伯爵家の次男坊でありながら7歳の誕生日パーティーで年上の令嬢からキスを強要されたことがトラウマになり、貴族社会からドロップアウト」
「な!?」
だったら、その仮面がどのくらい持つか、一つ見せてもらおうじゃないか!
私は何故かあなた個人のことを知り尽くしていますからね。
ええ! 大した自慢にもならないのに、な、ぜ、か!
「9才の誕生日パーティー目前になって両親に泣きつき修道院入りを果たした後は、その勤勉さと突出した才気によって、当時としては異例の12歳にしてテレージア教会の聖騎士として認められるに至る……」
「っ……ふん。良く調べているようだが――」
「が、しかし! 貴族家と教会の親睦を深めるという聖騎士として当然の義務を立て続けに拒否! パーティーへの出席はもちろんのこと、各種催事も貴族社会が関わるとなった途端に駄々をこねて拒否に拒否!」
「はあ!?」
「あら、全部あなたがその口で私に教えてくれたことですよ? その後本家にチクられて嫌がらせのように公爵令嬢の護衛騎士に強制任命されたことまで含めてね!」
私が畳み掛けてやると、フェリクス様はとうとう耐え切れないといったようにナイフとフォークを取り落とした。
そのまま席を立ち上がって両手を私へ向け伸ばすフェリクス様の表情は、随分と人間味を帯びてきている。もう少しだ。
「遅れて護衛術士に任命された私との手合わせで顔面に一撃食らって伸びたのは、それから一ヶ月後のことでしたか? そのまま私のズルの証拠を掴むためとかいって、お嬢様との水浴びを覗きに来――もごっ!?」
「それ以上喋るな!!」
私の口を強く塞ぎながら、ビリビリと部屋中に響く怒声を上げるフェリクス様。
すっかり感情的になったフェリクス様の表情は、怒りと羞恥に満ちて赤くなっていた。
目を覚ます前は随分と見慣れた表情だったけど、今はもう懐かしい。
記憶は連続しているはずなのに、彼の背丈と顔立ちが、時の流れを感じさせる。
「……尋問は終わりだ。あんたはたしかに、エルカで間違いないらしい」
叫んで落ち着いてしまったのか、彼の顔から昔の表情が消えていく。
正直テーブルに叩き付けられても仕方ないと思っていたけれど、そうはならなかった。
怒りの色は跡形もなく、彼は私を銀皿に戻して、視界の外へ去っていく。
「昔みたいに、エルカ姉と呼んでくれてもいいんですよ」
最後に茶化しを入れてみたけれど、返事はないまま足音が響く。
ドアの開く音がしてそのまま勢い良く閉められる直前に……聞き間違えでなければ、彼は一言呟いていた。
「二度とごめんだ」
……どういう意味だろうか。
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