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第一章
出会い
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普段それなりにまじめに働いているからか上司からにこやかに午後からの有給がもらえた僕は、あわてて自宅へとかけた。こんな真夏に女の子一人外で待たせて倒れさせたりなんてしてしまったらひどく申し訳ないという思いがあったからだ。ふと携帯を見ると父さんからメールで一言『すまない』という言葉と、写真が一枚送られてきていた。本当に申し訳なと思っているのなら事前に伝えるくらいのことはしておいてほしいもだと思ったが、今そんなことを言っても仕方がない。写真を確認すると所との黒髪ショートの少し目の鋭い女の子の写真だった。どうやら久玲奈ちゃんの顔写真のようだ。
「結構きれいな顔してるんだな。」
アイドルの様とまではいかなくてもすごく整った顔をしている。高校の頃のクラスの子の顔を全員覚えているわけではないけれどここまできれいな子はいなかったんじゃないかと思う。こんな耕地の親戚にいたのかとすこしおどろいてしまう。
「とと、こうしてる場合じゃないよな。」
家までさほど距離があるわけではないがもたもたしているわけにもいかない。それにしてもそろそろ夏も終わるというのになんでこんなに暑いのか。うちの会社がクールビズを推奨しててよかったと初めて思った。
家の近くの河川敷に差し掛かったころ、ちょうど太陽は真上に来ていた。夏休みという事もあってか部活動をしている学生たちで溢れかえっていた。僕も学生の時は部活に明け暮れるというほどでもなかったけれど友達とわいわいできるくらいには楽しんでいたと思う。今の生活も悪くはないとは思うけれど戻りたいと思うのは少しわがままだろうか?
そんな数年前のことに爺臭くも思いをはせているといつの間にか僕の住んでいるマンションの前まで来ていた。入り口付近の植木の前に久玲奈ちゃんらしきが子が結構な大きさの袋を二つ持って立っていた(もしかしたら。
「始めまして。君が久玲奈ちゃんでいいのかな?」
あまりの暑さからか、少し頬を上気させていたその子は小さく頷き
「急なことにも関わらず受け入れていただいてありがとうございます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」
学生時代に最近の若い子は礼儀がなってないって愚痴っていたコンビニの店長に聞かせてあげたいような礼儀のいい挨拶をしてお辞儀をした彼女は不思議と写真よりもきれいに見えた。
「こっちこそ父さんたちが引き受けてくれたのにごめんね。まさか男と一緒に屋根の下で暮らすことになるとは思わなかったでしょう?」
彼氏彼女でもないのにこんな事態になるなんてとても気まずいに決まっている。ほんとなら資金を貰うだけもらって一人暮らしをしたいに違いない。
「そんなことないです。私みたいないらない子、拾ってくれただけでありがたいんです。」
親族の間で引き取る人を相談していたのを聞いていたんだろうか?親もいなくなってきっと心細かったのかもしれない。
「とりあえず、部屋入っちゃおう。暑いし冷房の効いた部屋ででもこれからのこと話そう。」
そう言って僕は入り口の扉にカギをかざした。メモリー認証だか何だかが埋め込まれていてそれがないと入り口すら入れない仕組みになっている。慌てて帰ってきた理由はそこにあったりする。十階建ての建物の6階の一角、そこが僕の部屋になっている。幸いエレベーターはついているので階段で上り下りするという地獄みたいな話はないからうれしい限りである。
「・・・お邪魔します。」
まさかこんなことが起こるとは思っていなかったけれど、普段掃除しておいてよかった。と心の底から思いつつエアコンの冷房のボタンを押した。ピッという音と共に吐き出される冷たい空気を少し浴びて僕は彼女に問いかけた。
「何か飲む?・・・って言ってもコーヒーかお茶しかないけど。」
「では、お茶をお願いします。」
冷蔵庫にあった緑茶は冷えすぎているんじゃないかと思うくらいに冷えていた。これなら氷を入れる必要もないだろう。
「はい、冷たいからあまり一気に飲まないほうがいいかも。」
こくん、と頷いた彼女はチビチビとお茶を飲み始める。・・・それにしても困った。何を話したらいいのかがさっぱり分からない。会話は苦手なほうではないけれど、女子と話すことなんて学生時代は必要最低限にしてたからどんな話をしたらいいのかもわからない。
「学校とかは、転校になってるのかな?その辺の話詳しく聞きそびれちゃったんだけど。」
「はい。一応転校という形で遥さんの両親に手続きは終わらせていただいています。」
「そっか。ならよかった。何か欲しいものとかない?生活用品叱り、文房具叱り。今日金曜日だし僕も会社、月曜日までは休みだから、その間に買っておこうよ。」
「・・・目下のところ特に必要なものは思いつきませんのでお構いなく。」
「そう・・・。」
さて、どうしたものか全く会話が進まない。今まで女の子と話さなければいけない環境なんかにいたことがなかった。今からずっとこんな空気がずっと続くのはきつい。
「あの・・・。」
しばらくして久玲奈ちゃんが初めて自分から僕に話しかけたセリフは僕の予想だにしていないものだった。
「私のことはいないと思っててくれていいですから。」
まだまだ涼しくならない部屋の中、言い放たれたその言葉に僕は唖然とするのだった。
「結構きれいな顔してるんだな。」
アイドルの様とまではいかなくてもすごく整った顔をしている。高校の頃のクラスの子の顔を全員覚えているわけではないけれどここまできれいな子はいなかったんじゃないかと思う。こんな耕地の親戚にいたのかとすこしおどろいてしまう。
「とと、こうしてる場合じゃないよな。」
家までさほど距離があるわけではないがもたもたしているわけにもいかない。それにしてもそろそろ夏も終わるというのになんでこんなに暑いのか。うちの会社がクールビズを推奨しててよかったと初めて思った。
家の近くの河川敷に差し掛かったころ、ちょうど太陽は真上に来ていた。夏休みという事もあってか部活動をしている学生たちで溢れかえっていた。僕も学生の時は部活に明け暮れるというほどでもなかったけれど友達とわいわいできるくらいには楽しんでいたと思う。今の生活も悪くはないとは思うけれど戻りたいと思うのは少しわがままだろうか?
そんな数年前のことに爺臭くも思いをはせているといつの間にか僕の住んでいるマンションの前まで来ていた。入り口付近の植木の前に久玲奈ちゃんらしきが子が結構な大きさの袋を二つ持って立っていた(もしかしたら。
「始めまして。君が久玲奈ちゃんでいいのかな?」
あまりの暑さからか、少し頬を上気させていたその子は小さく頷き
「急なことにも関わらず受け入れていただいてありがとうございます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」
学生時代に最近の若い子は礼儀がなってないって愚痴っていたコンビニの店長に聞かせてあげたいような礼儀のいい挨拶をしてお辞儀をした彼女は不思議と写真よりもきれいに見えた。
「こっちこそ父さんたちが引き受けてくれたのにごめんね。まさか男と一緒に屋根の下で暮らすことになるとは思わなかったでしょう?」
彼氏彼女でもないのにこんな事態になるなんてとても気まずいに決まっている。ほんとなら資金を貰うだけもらって一人暮らしをしたいに違いない。
「そんなことないです。私みたいないらない子、拾ってくれただけでありがたいんです。」
親族の間で引き取る人を相談していたのを聞いていたんだろうか?親もいなくなってきっと心細かったのかもしれない。
「とりあえず、部屋入っちゃおう。暑いし冷房の効いた部屋ででもこれからのこと話そう。」
そう言って僕は入り口の扉にカギをかざした。メモリー認証だか何だかが埋め込まれていてそれがないと入り口すら入れない仕組みになっている。慌てて帰ってきた理由はそこにあったりする。十階建ての建物の6階の一角、そこが僕の部屋になっている。幸いエレベーターはついているので階段で上り下りするという地獄みたいな話はないからうれしい限りである。
「・・・お邪魔します。」
まさかこんなことが起こるとは思っていなかったけれど、普段掃除しておいてよかった。と心の底から思いつつエアコンの冷房のボタンを押した。ピッという音と共に吐き出される冷たい空気を少し浴びて僕は彼女に問いかけた。
「何か飲む?・・・って言ってもコーヒーかお茶しかないけど。」
「では、お茶をお願いします。」
冷蔵庫にあった緑茶は冷えすぎているんじゃないかと思うくらいに冷えていた。これなら氷を入れる必要もないだろう。
「はい、冷たいからあまり一気に飲まないほうがいいかも。」
こくん、と頷いた彼女はチビチビとお茶を飲み始める。・・・それにしても困った。何を話したらいいのかがさっぱり分からない。会話は苦手なほうではないけれど、女子と話すことなんて学生時代は必要最低限にしてたからどんな話をしたらいいのかもわからない。
「学校とかは、転校になってるのかな?その辺の話詳しく聞きそびれちゃったんだけど。」
「はい。一応転校という形で遥さんの両親に手続きは終わらせていただいています。」
「そっか。ならよかった。何か欲しいものとかない?生活用品叱り、文房具叱り。今日金曜日だし僕も会社、月曜日までは休みだから、その間に買っておこうよ。」
「・・・目下のところ特に必要なものは思いつきませんのでお構いなく。」
「そう・・・。」
さて、どうしたものか全く会話が進まない。今まで女の子と話さなければいけない環境なんかにいたことがなかった。今からずっとこんな空気がずっと続くのはきつい。
「あの・・・。」
しばらくして久玲奈ちゃんが初めて自分から僕に話しかけたセリフは僕の予想だにしていないものだった。
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