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初めての乗客
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人気のない郊外の夜道に人影が見えた。
フロントライトに照らされた、ブロンドの長い髪に白いワンピースの女性は遠くからでも目立つ。一目で予約の乗客だとわかった。
クルマを左側に寄せて停車させると片山はハンドル下にある電動ドアのスイッチを右手で操作した。
「お待たせしました。」
そう挨拶するや否や
「カタヤマタクシーさん…ですよね?」
開いた左側後部座席のドアから1人の女性が恐る恐る乗り込みながら片山に尋ねた。
「そうですよ。念の為ご予約のお名前、頂戴してもかまいませんか?」
乗せ間違い防止の為に予約のお客様には必ずお伺いするのが決まりだ。
「アリファ、アリファ=ベルタ」
間違いない。例のお客様だ…。ついにこの時が来てしまった。
「行き先は…アエートリで間違いないです?」
「ええ、間違いないわ。ただ…」
アリファはそう言って少しうつむいてしまった。
「ただ?」
「本当に帰れるのかしら?この竜車のような乗り物で?」
『竜車?がどのようなものかさっぱりわからへんし帰れるのか??それはこっちが教えてほしい位やわ!』と心でぼやきながらも不安な気持ちは片山にもわかる。
『何しろ初めての異世界へのお客様なんやから…そもそもアエートリってどこやねん?』
出発準備をしてるふりをしてあれこれ考えていると車載ホルダーに据え付けているスマートフォンの画面がマップに自動で切り替わりアエートリまでの道順を導き出した。
その案内によると現在地から1日と3時間、距離にしてざっと1000kmと表示されている。
『1000km!?しかも泊まり?泊まる用意なんかしてきてないで。しかも充電がな…』
片山は泊まりは仕方ないにしてもこの購入したばかりでお気に入りの電動自動車の走行距離が気になって仕方ない。このような長距離をこのクルマで走ったことがない。
インパネに目をやると充電は満タンだが走行可能距離は625kmと表示されている。目的地までに少なくとも1回は充電しないといけない計算になる。異世界に充電スタンドがあるとは思えない。『まいったな、どうするんや?こういうときは???』
思案中の片山の心中を察したのかまたもやスマートフォンがヘルプ画面に切り替わる。
[充電について][運賃について][宿泊場所について]というボタンがある!
『お、至れり尽くせりやんか!ちゅうか前もって教えといてほしいわ、まったく』
ふとルームミラー越しに後部座席から不安そうな視線をこちらに向けているアリファに気づいた。ここは正直に話すべきか?どうしようか?
「大丈夫ですよ!と言いたいところなんですが…何しろ私も初めてなんですよ、異世界にお客様をお連れするのが」
少し自嘲気味に笑顔を作って後ろを振り向くと泣き出しそうな顔のアリファと目が合ってしまった。
無言で見つめ合う2人、おまけにフロントガラスに水滴がつきはじめた。
フロントライトに照らされた、ブロンドの長い髪に白いワンピースの女性は遠くからでも目立つ。一目で予約の乗客だとわかった。
クルマを左側に寄せて停車させると片山はハンドル下にある電動ドアのスイッチを右手で操作した。
「お待たせしました。」
そう挨拶するや否や
「カタヤマタクシーさん…ですよね?」
開いた左側後部座席のドアから1人の女性が恐る恐る乗り込みながら片山に尋ねた。
「そうですよ。念の為ご予約のお名前、頂戴してもかまいませんか?」
乗せ間違い防止の為に予約のお客様には必ずお伺いするのが決まりだ。
「アリファ、アリファ=ベルタ」
間違いない。例のお客様だ…。ついにこの時が来てしまった。
「行き先は…アエートリで間違いないです?」
「ええ、間違いないわ。ただ…」
アリファはそう言って少しうつむいてしまった。
「ただ?」
「本当に帰れるのかしら?この竜車のような乗り物で?」
『竜車?がどのようなものかさっぱりわからへんし帰れるのか??それはこっちが教えてほしい位やわ!』と心でぼやきながらも不安な気持ちは片山にもわかる。
『何しろ初めての異世界へのお客様なんやから…そもそもアエートリってどこやねん?』
出発準備をしてるふりをしてあれこれ考えていると車載ホルダーに据え付けているスマートフォンの画面がマップに自動で切り替わりアエートリまでの道順を導き出した。
その案内によると現在地から1日と3時間、距離にしてざっと1000kmと表示されている。
『1000km!?しかも泊まり?泊まる用意なんかしてきてないで。しかも充電がな…』
片山は泊まりは仕方ないにしてもこの購入したばかりでお気に入りの電動自動車の走行距離が気になって仕方ない。このような長距離をこのクルマで走ったことがない。
インパネに目をやると充電は満タンだが走行可能距離は625kmと表示されている。目的地までに少なくとも1回は充電しないといけない計算になる。異世界に充電スタンドがあるとは思えない。『まいったな、どうするんや?こういうときは???』
思案中の片山の心中を察したのかまたもやスマートフォンがヘルプ画面に切り替わる。
[充電について][運賃について][宿泊場所について]というボタンがある!
『お、至れり尽くせりやんか!ちゅうか前もって教えといてほしいわ、まったく』
ふとルームミラー越しに後部座席から不安そうな視線をこちらに向けているアリファに気づいた。ここは正直に話すべきか?どうしようか?
「大丈夫ですよ!と言いたいところなんですが…何しろ私も初めてなんですよ、異世界にお客様をお連れするのが」
少し自嘲気味に笑顔を作って後ろを振り向くと泣き出しそうな顔のアリファと目が合ってしまった。
無言で見つめ合う2人、おまけにフロントガラスに水滴がつきはじめた。
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