異世界タクシー(個人)始めました

Tkata

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アリファは如何にして異世界へとたどり着いたのか?

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「女神様の祠で祈りを捧げていたの。」
 アリファは手のなかのパンを持て余しているかのように少しずつちぎりながら口にする。その小さな欠片を食べ終えると話を続けた。
「妹の病気が治りますように、ってね…」

 アリファは妹のイリファと2人で暮らしている。両親は盗賊に殺害され亡くなってしまった。つい最近の出来事らしい。近所の親戚が何かと面倒を見てくれてはいるが何から何まで面倒をみてもらうわけにはいかない、と考えたアリファは食い扶持の為、街の警備団の仕事をすることで、なんとか2人で生計を立てている。
 警備団の仕事は盗賊や魔物から街を守るのが主たる仕事で、危険だが給金は悪くない。
 イリファは数年前から手足が徐々に動かなる奇妙な病に侵されていて、今や歩くこともままならずベッドから起き上がることさえも難しくなってきた。
 その病は[石化病]と呼ばれアリファの故郷では風土病として恐れられている。治療法は確立しておらず有効な薬も存在していない。病状が悪化すると死に至ることもあるという。
 この病に罹った多くの人は自然に治癒するのだがイリファは病状が悪化するばかりで快復の兆しが見えない。
 このままではイリファは死んでしまう、不憫な妹の為にアリファは女神様に縋る気持ちで毎夜、祠にお祈りしていた。
 街の伝説によると夜空に浮かぶ5つの月のうち3つが沈むと同時に2つの太陽のうち1つが昇ってくるタイミングで祠に髪の毛を捧げると祈りが叶うというものがある。
 このタイミングは数年に一度しか訪れない。しかもいつ起きるのかといった予測も不可能らしく、このチャンスを逃さない為には毎夜、夜明け前に祠に参るしか方法がない。
 アリファは祈り続けた。
 夜明け前に、1人で家を抜け出し妹の為に懸命に祈った。
 空を眺め5つの月を数え続け、その時を待った。
 もう何十回、何百回祈りを捧げたのだろうか、伝説は伝説なのだろうか…と諦めかけたその時だった。
 3つ目の月が沈んだと同時に太陽が1つ姿を現した。すると一人でに祠の扉が開き眩いばかりの光がアリファをつつみ込み声が聞こえた。
「貴女の望み、叶えましょう。しかしそれには代償が必要です。これから私が与える試練に耐えうることが条件です。」
 アリファは咄嗟に応えた。
「なんでも!なんでもします!耐えてみせる!妹の病が治るなら!」
「しかと聞きました。貴女が試練に耐えぬいたと私が認めたとき、病が治る薬を授けます。よろしいですね?」
 アリファにとっては是非もなかった。
「どのような艱難辛苦でもお与え下さい!」

「で、片山さんと出会ったあっちの世界での道端まで記憶が飛ぶの。」
 一気に話して喉が渇いたのかアリファは勢い良くワインを飲んだ。
「え?終わり?その試練ってなんやったん???」
 片山は唐突に終わりを迎えた話に肩透かしを食らってしまった。
「片山さんと出会う直前に頭の中に女神様の声がしたの、『試練は終わった。これより片山タクシーというものが迎えにくるので元の世界におかえりなさい』ってね。それで、この薬がポケットに入っていた。」
 アリファは懐から瓶を1つ取り出して片山に見せた。
 この瓶をみて片山は2回目の肩透かしを食らった。
「これ?この薬…ってその辺に売ってるビタミン剤やん…ほんまかいな」
「そうなの?ビタミン?ってよく分かんないけど兎に角薬なんでしょ?」
アリファのその問いに頷いた片山だったが『ほんまにこれで治るんかいな…』と半信半疑どころか一信九疑位の気持ちであった。口をついて出そうな疑いをワインで流し込んだ。


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