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第一章 爆速出世街道!蛮族を屠り、陰謀を砕き、巨人の王に認められるまで
第17話 二人の師。怪力娘。もふもふの知恵と閃光の技に揉まれる日々の始まり
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剣士ローレンに案内され、カミーユはビスタニオ子爵を捕らえる。
子爵は口喧しく騒いだため、カミーユはローレンに頼み、当身で子爵の気を失わせた。
カミーユはすぐに地下の牢獄へ行き、女性たちを外に連れ出す。
カミーユは彼女たちと話し、心身が落ち着くまで、カミーユの館で彼女たちを保護することにした。
女泥棒のユマは、気付くとどこかへ行方をくらませていた。
カミーユは子爵を小脇に抱え、女性たちを連れ、歩き出す。
剣士ローレンもそれに続いた。
カミーユは何故かと剣士に問う。
今は無職で今夜寝る場所もない。お前のせいだ。と答えられる。
全くその通りだったので、カミーユはこの剣士も連れて帰ることにした。
「フローラ、フローラ。戻りました」
館の門の前で声を張る。
どたどたという音が聞こえ、門が開いた。
「お帰りなさいませ。カミーユ様」
従者は、精一杯の笑顔で主人を迎える。
カミーユは右腕で従者を抱きしめる。
左手は、ビスタニオ子爵を吊るしているからだ。
「あの、こちらの方々は」
しばし抱かれ、フローラはカミーユの連れて来た女たちと、剣士を見やる。
「私の客人です。フローラ。他の者たちにもそう伝えてください」
フローラは頷く。
「皆様、ようこそ、カミーユ・ロラン男爵家へ。どうぞお寛ぎください」
フローラは流石な者で、早くも、古い屋敷を人が住めるように整えていた。
「フローラ。見違えるようです。本当に、よく頑張りましたね」
カミーユは立派になった館を見やり、フローラの手柄を賛辞した。
フローラは嬉しそうに、カミーユに抱きついた。
主人を迎えたフローラと家来、侍女たちは張り切り、助け出された女性たちの仮住まいを整えていく。
侍女たちが胃に優しい粥を作り、弱った女性たちをいたわった。
ビスタニオ子爵は縄で縛り、空いている使用人部屋へ放り込む。
子爵家のものが訪れてくることがあるかもしれないが、元は彼らがカミーユを陥れようと始めたこと。
知らぬ存ぜぬで通せば、時間を稼ぐことができるだろう。
こうして時間を稼いだカミーユは、ハイアン侯爵家へ家来を遣わす。
長年続いたビスタニオの子爵家と、つい先ごろ起きたばかりのカミーユの男爵家では、貴族社会で大きな力の差がある。
黒も白と言われれば白くなるのだ。
カミーユは事の次第をサラ・ハイアン侯爵へ伝え、その助力を請うた。
さて、ハイアン侯爵の返事が来るまで、時間が空いてしまった。
こういった時、やり手の貴族であれば、あれやこれやと策謀をめぐらせるのであろう。
しかし、カミーユはそういった陰謀に長けていない、田舎騎士である。
カミーユは思い立ち、夕食時の前に、屋敷の秘密の部屋を開ける。
小さな師に、事の顛末を報告し、相談することにしたのだ。
師、大魔導師ゴダールは、カミーユの小指の爪の先よりもまだ小さい瞳を閉じて、カミーユの話に耳を傾けた。
「なるほどのう。貴族どもの醜い争いは、時経ても変わらぬものであるな」
大魔道師ゴダールは、小さなお手てでぴょんぴょんと伸びた髭をしごき、頷いた。
「カミーユよ。ハイアン侯爵をどう見る」
師は、カミーユが尋ねた子爵の事件ではなく、侯爵閣下についての意見をカミーユに求めた。
カミーユは素直に答える。
「愛深き方だとお見受け致しました。それ故に、時には苛烈となり、容赦がないところがあるかもしれません。しかし、芯のところでは、優しさもお持ちかと存じます」
師は、カミーユの話を真剣に聞いた。
「で、あるか。ならば心配は無用。よくやった。我が弟子よ」
師は、カミーユの手を取り、自らを持ち上げさせた。そして、カミーユの頭を撫でる。
「されば、魔法の修行を行うぞ。そなたの魔力は、まるで穴の空いた桶のようじゃ。まずはそれを正さねばならぬ」
小さな師は、カミーユに命じ、座禅を組ませた。
「これからは、日の上る前に起き、朝食の時まで座禅を行い、心を鎮めること。良いな」
カミーユは師に問う。
「承知いたしました。御師様。して、その他は何を」
師は答える。
「今はまだ何も要らぬ。何事も手を出せば良いというものではない。朝の瞑想にて、自身の魔力を正しく感じるのだ。全てはそれからじゃ」
カミーユは師に頭を下げ、秘密の部屋を退出する。
まさか、己の暇潰しのために、これ以上、師に教えを乞うなど出来ようはずもなかった。
カミーユは、はて、どうしたものかと、歩きながら首をひねる。
すると、格子窓を通して、中庭で剣を振るう男の姿が見えた。
カミーユは中庭に出て声をかける。
「ローレン。剣士ローレン」
ローレンは、見事な納刀でカミーユに振り向く。
この所作一つとっても、彼が常人の枠を超えた剣士であることが窺える。
「なんだい。もう夕食の時間かい」
剣士は手拭いで汗を拭きつつ、大家であるカミーユに問うた。
カミーユは、この剣士に答える。
「はい。夕食は間も無くです。けれども、私が声をかけたのは、食事のためではありません」
カミーユは、大きく息を吸い、頭を下げた。
「剣士ローレン。私に剣を教えてください」
剣士は、汗を拭いながら答える。
「何故だ。お前は俺に勝っただろう」
剣士ローレンは、折られた宝剣の話をする。
カミーユは答える。
「あれはたった一度、魔法の奇襲があってこそです。私は、あなたに百度は打たれました。私はそのたった一度だけです。それももう、あなたには通用しないでしょう。そんなあなたに教えていただきたいのです」
カミーユは、もう一度頭を下げる。
「よせよ。俺は死んだが見逃された。あんたは生きた。それが全てさ。それに、俺は弟子は取らない主義だ」
カミーユは、頭を下げ続けた。寒風が吹き、長い時が過ぎた気がした。
剣士は口を開いた。
「おい、本当に夕食が始まっちまう。わかった。剣を教えてやる。ただし、師匠と弟子じゃない。たまたま共に剣を学ぶものが一緒にいただけだ。それで良いな」
カミーユは、剣士の矜持に爽やかさを感じた。
こうして、魔法の師と剣の師。カミーユの師匠は二人となった。
子爵は口喧しく騒いだため、カミーユはローレンに頼み、当身で子爵の気を失わせた。
カミーユはすぐに地下の牢獄へ行き、女性たちを外に連れ出す。
カミーユは彼女たちと話し、心身が落ち着くまで、カミーユの館で彼女たちを保護することにした。
女泥棒のユマは、気付くとどこかへ行方をくらませていた。
カミーユは子爵を小脇に抱え、女性たちを連れ、歩き出す。
剣士ローレンもそれに続いた。
カミーユは何故かと剣士に問う。
今は無職で今夜寝る場所もない。お前のせいだ。と答えられる。
全くその通りだったので、カミーユはこの剣士も連れて帰ることにした。
「フローラ、フローラ。戻りました」
館の門の前で声を張る。
どたどたという音が聞こえ、門が開いた。
「お帰りなさいませ。カミーユ様」
従者は、精一杯の笑顔で主人を迎える。
カミーユは右腕で従者を抱きしめる。
左手は、ビスタニオ子爵を吊るしているからだ。
「あの、こちらの方々は」
しばし抱かれ、フローラはカミーユの連れて来た女たちと、剣士を見やる。
「私の客人です。フローラ。他の者たちにもそう伝えてください」
フローラは頷く。
「皆様、ようこそ、カミーユ・ロラン男爵家へ。どうぞお寛ぎください」
フローラは流石な者で、早くも、古い屋敷を人が住めるように整えていた。
「フローラ。見違えるようです。本当に、よく頑張りましたね」
カミーユは立派になった館を見やり、フローラの手柄を賛辞した。
フローラは嬉しそうに、カミーユに抱きついた。
主人を迎えたフローラと家来、侍女たちは張り切り、助け出された女性たちの仮住まいを整えていく。
侍女たちが胃に優しい粥を作り、弱った女性たちをいたわった。
ビスタニオ子爵は縄で縛り、空いている使用人部屋へ放り込む。
子爵家のものが訪れてくることがあるかもしれないが、元は彼らがカミーユを陥れようと始めたこと。
知らぬ存ぜぬで通せば、時間を稼ぐことができるだろう。
こうして時間を稼いだカミーユは、ハイアン侯爵家へ家来を遣わす。
長年続いたビスタニオの子爵家と、つい先ごろ起きたばかりのカミーユの男爵家では、貴族社会で大きな力の差がある。
黒も白と言われれば白くなるのだ。
カミーユは事の次第をサラ・ハイアン侯爵へ伝え、その助力を請うた。
さて、ハイアン侯爵の返事が来るまで、時間が空いてしまった。
こういった時、やり手の貴族であれば、あれやこれやと策謀をめぐらせるのであろう。
しかし、カミーユはそういった陰謀に長けていない、田舎騎士である。
カミーユは思い立ち、夕食時の前に、屋敷の秘密の部屋を開ける。
小さな師に、事の顛末を報告し、相談することにしたのだ。
師、大魔導師ゴダールは、カミーユの小指の爪の先よりもまだ小さい瞳を閉じて、カミーユの話に耳を傾けた。
「なるほどのう。貴族どもの醜い争いは、時経ても変わらぬものであるな」
大魔道師ゴダールは、小さなお手てでぴょんぴょんと伸びた髭をしごき、頷いた。
「カミーユよ。ハイアン侯爵をどう見る」
師は、カミーユが尋ねた子爵の事件ではなく、侯爵閣下についての意見をカミーユに求めた。
カミーユは素直に答える。
「愛深き方だとお見受け致しました。それ故に、時には苛烈となり、容赦がないところがあるかもしれません。しかし、芯のところでは、優しさもお持ちかと存じます」
師は、カミーユの話を真剣に聞いた。
「で、あるか。ならば心配は無用。よくやった。我が弟子よ」
師は、カミーユの手を取り、自らを持ち上げさせた。そして、カミーユの頭を撫でる。
「されば、魔法の修行を行うぞ。そなたの魔力は、まるで穴の空いた桶のようじゃ。まずはそれを正さねばならぬ」
小さな師は、カミーユに命じ、座禅を組ませた。
「これからは、日の上る前に起き、朝食の時まで座禅を行い、心を鎮めること。良いな」
カミーユは師に問う。
「承知いたしました。御師様。して、その他は何を」
師は答える。
「今はまだ何も要らぬ。何事も手を出せば良いというものではない。朝の瞑想にて、自身の魔力を正しく感じるのだ。全てはそれからじゃ」
カミーユは師に頭を下げ、秘密の部屋を退出する。
まさか、己の暇潰しのために、これ以上、師に教えを乞うなど出来ようはずもなかった。
カミーユは、はて、どうしたものかと、歩きながら首をひねる。
すると、格子窓を通して、中庭で剣を振るう男の姿が見えた。
カミーユは中庭に出て声をかける。
「ローレン。剣士ローレン」
ローレンは、見事な納刀でカミーユに振り向く。
この所作一つとっても、彼が常人の枠を超えた剣士であることが窺える。
「なんだい。もう夕食の時間かい」
剣士は手拭いで汗を拭きつつ、大家であるカミーユに問うた。
カミーユは、この剣士に答える。
「はい。夕食は間も無くです。けれども、私が声をかけたのは、食事のためではありません」
カミーユは、大きく息を吸い、頭を下げた。
「剣士ローレン。私に剣を教えてください」
剣士は、汗を拭いながら答える。
「何故だ。お前は俺に勝っただろう」
剣士ローレンは、折られた宝剣の話をする。
カミーユは答える。
「あれはたった一度、魔法の奇襲があってこそです。私は、あなたに百度は打たれました。私はそのたった一度だけです。それももう、あなたには通用しないでしょう。そんなあなたに教えていただきたいのです」
カミーユは、もう一度頭を下げる。
「よせよ。俺は死んだが見逃された。あんたは生きた。それが全てさ。それに、俺は弟子は取らない主義だ」
カミーユは、頭を下げ続けた。寒風が吹き、長い時が過ぎた気がした。
剣士は口を開いた。
「おい、本当に夕食が始まっちまう。わかった。剣を教えてやる。ただし、師匠と弟子じゃない。たまたま共に剣を学ぶものが一緒にいただけだ。それで良いな」
カミーユは、剣士の矜持に爽やかさを感じた。
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