死が二人を分かたない世界

ASK.R

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真里編:第3章 新天地

《R-18》彼の幸せ

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 真里が面白いくらいに緊張しているのが伝わってきていた、あまりにもガチガチでユキは思わず笑ってしまいそうだった。

 先程は最後までしない宣言をしたが、今まで触りたくて仕方がなかったのを自制していたのだ。許しを貰った今、ユキはあわよくばそのまま最後までと思っている、年長者としては完全にダメな例だ。

 真里は軽くキスをしても目をぎゅっと瞑るし、舌を絡ませても受けるだけ、されるがままだ、こういったことに慣れてないのがよく分かる、可愛くて可愛くて、もっと色んな表情を引き出したい……。

 上顎を舌でさすりながら、上着の中に手を入れて胸の突起をいじると、少し身悶えながら潤んだ瞳でこちらを見てくる。すごく煽情的だ、もうこれはOKのサインなのでは? と思うほどだ。

 中のインナーごと上着を脱がすと、恥ずかしそうに身体を縮ませた、身長も低めな真里の身体は16歳にしては少し幼い、背徳感を煽る。

「真里……」
「僕だけ脱がされるなんて嫌だからね!」

 それは脱げということだろうか……と思案してユキは固まった。出来れば最後までと思っていても、獣よろしく襲いかかろうなんて思っていないので、脱がないままのつもりだったのだ。
 肌が直接触れ合えば、きっとその先を期待してしまう。

「いいのか? 止められなくなるかも」
「ダメだけど……僕もユキの体が見たい」

 顔を赤らめながらなんて事を言うんだ……そんなお願いされたら聞くしかない!
 投げ捨てるように上を全て脱ぐと、真里が身を乗り出すように座って見ていた、そんなに見たかった? とユキは自分まで恥ずかしくなってしまう。

「ユキ、綺麗……」
「触りたいか?」
「触りたい!」

 あまりにも素直に褒められたので恥ずかしくなって、ちょっとした冗談で返したつもりが、どストレートに打ち返されてしまった。この無垢な少年を、自分の業でここまで連れてきた事に、少し罪悪感を感じる。
 
 ユキは真里を抱きしめるようにベッドに押し倒した、肌と肌が直接触れ合って体温を感じる、真里の鼻にチュとして、ベッドに手をついて見下ろした。
 鎖骨から胸、胸から腰、背中と撫でていく。
「真里も好きに触っていいんだぞ? 肌を合わせたところから魔力が増えているのが分かるか?」
 ユキは魔力をかなり消費していた、真里も魂の状態で無理をして万全ではない。お互い満足するまで魔力を満たすには、それなりの行為と時間が必要だと……これまでの経験から予測していた。もう少し濃い時間を過ごすべきだと大義名分を掲げて……自分の手の赴くままに従った。

「くすぐったい……——っ!!?」
 背中からスルリとズボンの中に手を入れて、真里の菊座を撫でた。
「やだ! そんなとこ! なんっ——!」
 喋れないように口で塞いだ、舌を絡めてチウと吸うと真里の表情がトロッとする、このまま流されてくれないだろうか……嫌だと言われるだろうか。千年前に触れたいと思っていた身体が目の前にある、貪欲に貪りたい気持ちと、真里に嫌われたくない気持ちがユキの中でせめぎ合う。

 指先で潤滑剤を生成して菊座に塗り込む、肩を押して抵抗してくる腕をベッドに押さえつけると、真里から快楽の匂いがして、魔力量が一層増える。少し強引にした方が興奮するなんて、相性バッチリだなぁと嬉しくなった。

 スッと口を離すと潤んだ瞳でキッと睨まれた、しかし指は止めずにそのままほぐし続ける、もう少しで中に指が入る。

「ユキそれやめて! そんなとこやだよ!」
「男同士のセックスはここを使うんだぞ?」
 一本だけ軽く入れたが、まだ硬い。

「うそっ……」
 真里が口元を隠しながら耳まで真っ赤になっている、こんな表情を見ているだけでユキの魔力量は跳ね上がった、真里が可愛くて胸が苦しくなる。

 片手で真里の下着ごとズボンをずり下ろせば一瞬抵抗するが、耳を舐めながら既に立ち上がっているそこを握ってやると、身悶えながら快感に流されてくれる。
 顔を見ようとしたら腕で隠していた、表情が見たい、快楽に緩む顔が見たい、見たことない真里の表情が見たい。

「真里、顔を隠さないで」
「いやだっ! 恥ずかしい!」

 それならば見てないうちにと、はくっと握っていた部分を口に咥える。
「ああぁぁっ!?」
 驚いて顔を隠していた手でベッドシーツを握りしめている、反応全てが可愛い。一瞬出来た隙に指をさらに奥まで進ませた、水音が響くほどたっぷり潤滑剤を塗り込んでいく。

「いやだ! ユキっ!」
「口淫ははじめてか? 可愛いな」
「お尻の抜いてぇ……っ、やだよ……」
 そっちかーと思いながらやめる気は全く無い、だってこれはまだ本番前の下準備なのだから。仕方ない一回イかせてやろうと中を探り、前立腺を見つけて刺激する。

「——っ!??? あっ! あっ!? やっ!」
「イッていいぞ」
 はじめての感覚に喘いで身体を反応させる中、もう一度口に咥えてやれば、真里の腰が跳ねて長い黒髪をくしゃっと握りながら熱を放出した。
「んあぁっ——!」
 ユキは魔力の塊である精液を躊躇なく飲み干した。
 人間のエネルギーは糖質だが、悪魔のエネルギー源は魔力だ。性的に満足感を得て、魔力がたっぷり練り込まれた精液は、人間だった時に感じていた甘みとして再現される。特に込められた魔力量が多い程、相手への想いが強い程、熱く甘く、濃くなった。

 飲んだものが喉を通り過ぎる頃には、体に魔力が吸収される快感で体が痺れるほどだった、下手をすればコレでイけるかもしれない。それ程までに真里のユキへの想いは強かった。
「——っ! かなり甘いな」
 そんなに俺のこと好きなのかと、口元が綻ぶのが抑えられなかった。

「はじめて指を入れたのにイけたな、上手だ」
「お願い、抜いてっ……」
 仕方ないと指を抜いて真里に軽くキスをした、ずっと力んでいたのか真里の体の力が抜ける。
 愛しさが募って、額から頭にかけて何度も撫でてはキスをした、本気で好きな相手だとこんなにも充足感があるのかと自分に驚く。そして気付いた、自分の魔力量が十分すぎるくらい満ちていることに……。
 これ以上は溢れる……自分が自分で居られないような気がして、恐怖さえ感じた。

「お疲れ様、もう終わりだ」
 起き上がらせて膝に乗せるようにして抱きしめると、真里もユキの頭を抱えるように抱きしめた。
 真里も魔力が充分に満ちているようだ、自分と触れ合うことでこんなにも心を満たしてくれる事が嬉しい。

「辛かったか?」
「……あんな事するなら先に言って欲しかった」
「言ったら嫌がるかと思って」
「クレームだね」
 下唇を突き出して不服顔だ、この顔もすごく可愛い、千年前には見れなかった顔だ。

 これまでユキにとって性行為に愛情は不要だった、彼にとってはそれはゲーム感覚に近く、どれだけ相手をイかせるか楽しむ行為で、自分も気持ちいいからちょうどいいくらいの感覚だった。そこに生まれる感情は愛情ではなく、自己満足と自己肯定感だ。

 ユキは相手の魔力量と感情の匂いが分かる、何をすれば喜んでいるのか、何が好きなのか、察してやればみんなすぐに夢中になる。相手が本気になりそうなら、すぐ捨てるを繰り返していた。
 周りは体の関係のみ楽しめる奴だけ残し、初めから本気で好きだと言ってくる奴は、はなから相手にもしなかった。
 自分が本気になる事などありはしないのだから……本気にさせては不憫だし、面倒だった。

 そんなユキに魔王様は眷属を作ることを許可した、眷属は互いが魔界に居る限り続く血の契約だ。魔王様から微々たる力を与えられ、新しい命を宿した一般悪魔とは根本的に違う、その契約はあまりにも重い。

 魔王様の眷属である直血悪魔は、魔王様の力を削り分け与えられた者、能力を受け継ぎ一般悪魔を率い先導する特別な存在。地位、名誉、羨望、カリスマ性、膨大な魔力量に、様々な役職や特権。
 ユキの眷属になるという事は、その直血悪魔への仲間入りである大出世だ、当然のようにその座を狙う輩までユキの元へと押し寄せた。

 見た目やその地位に擦り寄ってくる奴なんて、反吐がでる程嫌いだった。
 本当になんの冗談かと思った、また魔王様の悪巧みなのだろうと……。16年前、真里がこの世に生を受けたあの日、彼の存在を魔王様から知らされるまでは……。

 ユキは真里を強く抱きしめて、胸に耳を当てて鼓動を感じた。愛しい、ただ愛しい、抱きしめているだけで、こんなにも胸が温まる。
 千年前に感じた温かさだ、もう二度と手にすることは無いと思っていた。

「これが幸せってやつかぁ」

 幸せすぎて、胸が苦しい。
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