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魔界編:第9章 真里
与えるもの、求めるもの
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ユキがずっと僕に罪悪感や、後ろめたさを感じていたのは、その声を聞けばわかる。
でも、僕はユキにそんな感情を持って、接してほしいなんて思っていない。
「あのね、僕はきっとユキが思ってるより、自分の人生を幸せだったと思ってるよ」
ユキが顔を隠す手を握ると、恐る恐るその手を握り返してきて、こちらに顔を見せてくれる。
どうにも僕は君の泣いてる顔に弱いみたいだ、他の人には絶対に見せない表情だと思うと、余計に愛しく思う。
「僕は両親と出会えて、愛されて、すごく幸せだったし……今も、ユキと一緒に過ごせる毎日が幸せだよ? 菖寿丸には感謝しないとだね」
「……真里」
「だから、ユキが僕に謝ることなんて何もないよ」
涙で濡れる目頭にキスすると、少ししょっぱい。
「真里はどこまで俺を甘やかすつもりなんだ?」
「僕ができる全力で、甘やかしたいと思っているけど」
「俺の事を恨めしいとは思わないのか?」
「僕がユキにそんな事思うわけないよ」
ユキが僕の頬を撫でてから、頭の後ろに手を回して引き寄せられた。
「ごめんな……本当に、ごめんな」
「ずっと気にしてたんだね、大丈夫だよ、大好き」
ユキを安心させたくて今度は僕からキスすると、ユキの瞳からポロッと涙が溢れた。
本当に君はすぐに泣いてしまうから、そんなところが可愛いんだ。
「今日魔王様に、俺は真里の事を信じていないと言われてショックだった……」
「図星だったから?」
「真里の気持ちを信じてる……でも、真里が俺のために犠牲になったりするんじゃないかって、そんな不安がずっとあった……俺は真里を信じてなかった」
ユキがすごく自己犠牲を嫌がったのを思い出した。自分のために全てを捨てた人が居ると言っていたけど、あれは菖寿丸の事?
僕も同じようになるんじゃないかって、心配させていたんだろうか。
「それは仕方がないよ、だって僕は本当に君を不安にさせるようなことをしてきたから」
ユキの心の内を知らなかったとはいえ、自分を大事にしてほしいと言ってきたユキの気持ちを、僕は何度も裏切ったような気がする。
「違うんだ、真里のせいじゃなくて……もし、まだ真里の魂に菖寿の意識が残っていたとしたら、自分を犠牲にしてきた菖寿に、真里はその意識を譲ってしまうんじゃないかって……不安だったんだ」
「えっ……」
「俺は魔王様に菖寿と真里はもう関係ないと言いながら、内心ずっと怖がっていた……俺は菖寿の事も、真里の事も信じていなかったんだ」
ユキは合わせていた視線を、逃げるように外した。
なにも、全部自分が悪いなんて思わなくたっていいのに……不安になったり、信じられなくなったりなんて、ユキじゃなくたってよくある事じゃないか。
「じゃぁ今から信じてくれればいいよ、僕の事を」
あんまり上から見つめていると責めているみたいで、ユキの上から体を起こして、僕はその横に座った。
本当はもっと触れていたいけど……。
「僕だって菖寿丸の話を聞いた時は怖いと思ったよ、だって何十代にも渡ってこの魂の意識として宿っているんだから……ユキの不安は当たり前だと思う」
ユキも体を起こして、僕たちは同じくらいの目線になった。ちゃんと対等に話せているみたいで、こっちの方がずっといい。
座ったユキの右手を握って、まっすぐにその目を見れば、今度はユキは目を逸らさず僕を見てくれる。
「確かに僕は、自分の記憶を疑ったりなんてしたけど……不安にはなったけど、でもそれで菖寿丸の意識が出てきた方がいいなんて、少しも思わなかったよ」
空いた僕の左手で、ユキの綺麗な髪に触れれば……決意はより一層固くなる。
強い意志は、感情を読み取る能力の高いユキには、絶対に伝わるはずだから。
「ユキを幸せにするのは僕だから、他の人になんて任せたりしない、僕が幸せにする」
目を逸らさずにユキに伝えれば、その頬はだんだん赤く色づいていく。
「――っっ!」
「僕を信じてくれる?」
ユキの照れくさそうな顔を下から覗き込むと、ユキの表情はますます火照った。
「ズルいだろ……なんでそんなカッコいいこと言うんだ!?」
「ユキがもう不安にならないように、言っておかなきゃいけないと思って……どう?」
「信じる」
「うん」
ユキに体を近づければ、その腕で抱き寄せてくれる。ユキはいつも僕がしてほしい事をしてくれるから、次は顔が近くなって、柔らかい唇同士が触れた。
「真里を幸せにするのも俺だから」
「うん」
「好きだ、真里……本当に、心から愛してる。ずっと、ずっと待ってたんだ、恋しかった……もう離れたくない」
「大丈夫、絶対に離さないから」
ユキに甘えるように両腕で抱きついて、その懐に潜り込めばギュッと抱きしめ返してくれる。
僕の記憶が僕の物でよかった、ユキが待っていてくれたのが僕でよかった、僕が愛した人がユキでよかった……僕は君じゃなきゃ幸せになれないよ。
確かに僕はユキのためなら、なんだってしたいと思う。
ユキと一緒に居るために、この魂に居る前世の意識が邪魔だというなら……僕はあの人を消し去る事も厭わない。
千年間、ユキの事を想い続けていようと……僕とユキをこうして会わせてくれた恩人だとしても。
僕の意識を譲る気なんて微塵もない、ましてやユキを譲る気なんてもっとない。
独占欲と、ユキを想う気持ちをむき出しにしてその体を抱きしめたら、ユキに体重をかけられて……。
背中が着いた先は、座っていたソファーではなく、ベッドの上だった。
見上げれば、愛しそうに頬に触れてくるユキの黒い瞳が、僕だけを映してる。
ゆっくりと距離をつめてきて、何度か触れるだけのキスの後、様子を窺うように口づけが深くなる。
「もっと触れたい……いいか?」
「僕もだよ」
僕からもユキの頬に触れると、甘えるように頬を押し付けられて、胸の奥が苦しいくらいにキュンとした。
美人でかっこよくて、可愛くて甘え上手なんて……僕の大好きな人は本当にハイスペックが過ぎる。
好きって気持ちが止められなくて、ユキに触れたくて、触れられたくて……ユキの頬に触れた手で引き寄せた。
唇が触れると腕を首に回して、口元を緩めて中に誘った。
絡められた舌に、僕からも絡めて……お互いを貪るように激しく唇を合わせれば、ユキの手が服の中で僕のお腹から上へと撫で上げていく。
「んっ!」
体が待ちわびた手の感触にビクッとすると、合わせている口元が少し笑った気がする。
僕からも触れたくて、ユキの服の中に手を入れて、直接その背中に触れた。温かい……僕のユキの肌だ。
お互いの体を撫でまわしながら、息を荒げて舌を絡めた。
求め合って、触れ合っているこの瞬間は本当に幸せだ……ずっとこうしていたい、こんな時間をずっと過ごしていたい、そう思えるほどに。
お互い服は乱れて、もうはだけているなんて可愛いものじゃなくなっている。
なのに、ユキはキスをして僕の体を撫でるだけで……ズボンの中に手を入れられて、内腿を撫でられたら……もう、我慢できない!
「ユキッ……もっと」
痺れを切らして、自分が触ってほしい場所でもあるユキのそこに触れると、熱さと硬さに急に恥ずかしくなった。
そうなっているのは、お互い視認できる状態ではあったのだけど……。
「今夜は……寝かせたくないから、このまま」
切ない声で言われて、頭が沸騰しそうなほど熱い。
「それって……」
『今夜は寝かさないぜ』的なセリフ!? 恥ずかしさと期待で、ユキの顔を見上げると、ユキは瞳に熱を宿したまま予想外な事を言った。
「真里は中でイッったら気を飛ばすから……今夜はずっと触れ合っていたいんだ」
「!!??」
それって、一晩中寝かさないためにソフトタッチでいくって事!? そんなの生殺しだ!
でも、僕はユキにそんな感情を持って、接してほしいなんて思っていない。
「あのね、僕はきっとユキが思ってるより、自分の人生を幸せだったと思ってるよ」
ユキが顔を隠す手を握ると、恐る恐るその手を握り返してきて、こちらに顔を見せてくれる。
どうにも僕は君の泣いてる顔に弱いみたいだ、他の人には絶対に見せない表情だと思うと、余計に愛しく思う。
「僕は両親と出会えて、愛されて、すごく幸せだったし……今も、ユキと一緒に過ごせる毎日が幸せだよ? 菖寿丸には感謝しないとだね」
「……真里」
「だから、ユキが僕に謝ることなんて何もないよ」
涙で濡れる目頭にキスすると、少ししょっぱい。
「真里はどこまで俺を甘やかすつもりなんだ?」
「僕ができる全力で、甘やかしたいと思っているけど」
「俺の事を恨めしいとは思わないのか?」
「僕がユキにそんな事思うわけないよ」
ユキが僕の頬を撫でてから、頭の後ろに手を回して引き寄せられた。
「ごめんな……本当に、ごめんな」
「ずっと気にしてたんだね、大丈夫だよ、大好き」
ユキを安心させたくて今度は僕からキスすると、ユキの瞳からポロッと涙が溢れた。
本当に君はすぐに泣いてしまうから、そんなところが可愛いんだ。
「今日魔王様に、俺は真里の事を信じていないと言われてショックだった……」
「図星だったから?」
「真里の気持ちを信じてる……でも、真里が俺のために犠牲になったりするんじゃないかって、そんな不安がずっとあった……俺は真里を信じてなかった」
ユキがすごく自己犠牲を嫌がったのを思い出した。自分のために全てを捨てた人が居ると言っていたけど、あれは菖寿丸の事?
僕も同じようになるんじゃないかって、心配させていたんだろうか。
「それは仕方がないよ、だって僕は本当に君を不安にさせるようなことをしてきたから」
ユキの心の内を知らなかったとはいえ、自分を大事にしてほしいと言ってきたユキの気持ちを、僕は何度も裏切ったような気がする。
「違うんだ、真里のせいじゃなくて……もし、まだ真里の魂に菖寿の意識が残っていたとしたら、自分を犠牲にしてきた菖寿に、真里はその意識を譲ってしまうんじゃないかって……不安だったんだ」
「えっ……」
「俺は魔王様に菖寿と真里はもう関係ないと言いながら、内心ずっと怖がっていた……俺は菖寿の事も、真里の事も信じていなかったんだ」
ユキは合わせていた視線を、逃げるように外した。
なにも、全部自分が悪いなんて思わなくたっていいのに……不安になったり、信じられなくなったりなんて、ユキじゃなくたってよくある事じゃないか。
「じゃぁ今から信じてくれればいいよ、僕の事を」
あんまり上から見つめていると責めているみたいで、ユキの上から体を起こして、僕はその横に座った。
本当はもっと触れていたいけど……。
「僕だって菖寿丸の話を聞いた時は怖いと思ったよ、だって何十代にも渡ってこの魂の意識として宿っているんだから……ユキの不安は当たり前だと思う」
ユキも体を起こして、僕たちは同じくらいの目線になった。ちゃんと対等に話せているみたいで、こっちの方がずっといい。
座ったユキの右手を握って、まっすぐにその目を見れば、今度はユキは目を逸らさず僕を見てくれる。
「確かに僕は、自分の記憶を疑ったりなんてしたけど……不安にはなったけど、でもそれで菖寿丸の意識が出てきた方がいいなんて、少しも思わなかったよ」
空いた僕の左手で、ユキの綺麗な髪に触れれば……決意はより一層固くなる。
強い意志は、感情を読み取る能力の高いユキには、絶対に伝わるはずだから。
「ユキを幸せにするのは僕だから、他の人になんて任せたりしない、僕が幸せにする」
目を逸らさずにユキに伝えれば、その頬はだんだん赤く色づいていく。
「――っっ!」
「僕を信じてくれる?」
ユキの照れくさそうな顔を下から覗き込むと、ユキの表情はますます火照った。
「ズルいだろ……なんでそんなカッコいいこと言うんだ!?」
「ユキがもう不安にならないように、言っておかなきゃいけないと思って……どう?」
「信じる」
「うん」
ユキに体を近づければ、その腕で抱き寄せてくれる。ユキはいつも僕がしてほしい事をしてくれるから、次は顔が近くなって、柔らかい唇同士が触れた。
「真里を幸せにするのも俺だから」
「うん」
「好きだ、真里……本当に、心から愛してる。ずっと、ずっと待ってたんだ、恋しかった……もう離れたくない」
「大丈夫、絶対に離さないから」
ユキに甘えるように両腕で抱きついて、その懐に潜り込めばギュッと抱きしめ返してくれる。
僕の記憶が僕の物でよかった、ユキが待っていてくれたのが僕でよかった、僕が愛した人がユキでよかった……僕は君じゃなきゃ幸せになれないよ。
確かに僕はユキのためなら、なんだってしたいと思う。
ユキと一緒に居るために、この魂に居る前世の意識が邪魔だというなら……僕はあの人を消し去る事も厭わない。
千年間、ユキの事を想い続けていようと……僕とユキをこうして会わせてくれた恩人だとしても。
僕の意識を譲る気なんて微塵もない、ましてやユキを譲る気なんてもっとない。
独占欲と、ユキを想う気持ちをむき出しにしてその体を抱きしめたら、ユキに体重をかけられて……。
背中が着いた先は、座っていたソファーではなく、ベッドの上だった。
見上げれば、愛しそうに頬に触れてくるユキの黒い瞳が、僕だけを映してる。
ゆっくりと距離をつめてきて、何度か触れるだけのキスの後、様子を窺うように口づけが深くなる。
「もっと触れたい……いいか?」
「僕もだよ」
僕からもユキの頬に触れると、甘えるように頬を押し付けられて、胸の奥が苦しいくらいにキュンとした。
美人でかっこよくて、可愛くて甘え上手なんて……僕の大好きな人は本当にハイスペックが過ぎる。
好きって気持ちが止められなくて、ユキに触れたくて、触れられたくて……ユキの頬に触れた手で引き寄せた。
唇が触れると腕を首に回して、口元を緩めて中に誘った。
絡められた舌に、僕からも絡めて……お互いを貪るように激しく唇を合わせれば、ユキの手が服の中で僕のお腹から上へと撫で上げていく。
「んっ!」
体が待ちわびた手の感触にビクッとすると、合わせている口元が少し笑った気がする。
僕からも触れたくて、ユキの服の中に手を入れて、直接その背中に触れた。温かい……僕のユキの肌だ。
お互いの体を撫でまわしながら、息を荒げて舌を絡めた。
求め合って、触れ合っているこの瞬間は本当に幸せだ……ずっとこうしていたい、こんな時間をずっと過ごしていたい、そう思えるほどに。
お互い服は乱れて、もうはだけているなんて可愛いものじゃなくなっている。
なのに、ユキはキスをして僕の体を撫でるだけで……ズボンの中に手を入れられて、内腿を撫でられたら……もう、我慢できない!
「ユキッ……もっと」
痺れを切らして、自分が触ってほしい場所でもあるユキのそこに触れると、熱さと硬さに急に恥ずかしくなった。
そうなっているのは、お互い視認できる状態ではあったのだけど……。
「今夜は……寝かせたくないから、このまま」
切ない声で言われて、頭が沸騰しそうなほど熱い。
「それって……」
『今夜は寝かさないぜ』的なセリフ!? 恥ずかしさと期待で、ユキの顔を見上げると、ユキは瞳に熱を宿したまま予想外な事を言った。
「真里は中でイッったら気を飛ばすから……今夜はずっと触れ合っていたいんだ」
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