1 / 12
ぴかぴかトイレ
しおりを挟む
アニマル村の住民が、白壁の四角い小屋の前に集まっていました。新しい公衆トイレのおひろめ式が行われるのです。
みんなの前に立ったゾウ村長が言いました。
「アニマル村のみなさん、素晴らしい公衆トイレが完成しました。これで今日からは、外で急にもよおした時も安心です。とても便利になります。しかも自動洗浄機付きの、いつもぴかぴかでとてもクリーンな水洗トイレです。」
「村長さん、水洗トイレというと、うんこおしっこがどこかに流れて行くというやつですね。きれい好きの私も大歓迎です。」とカラスさんが言いました。
「それはいいですね。ところで、うんこおしっこはどこに流れて行くのですか? まさかそのまま川に流すなんてことは無いでしょうね? それでは大切な川が汚れてしまう。」とラットさんが聞きました。
「安心してください、下水道を通って、いつかどこかに建設される予定のとてもクリーンな泌尿処理場に運ばれます。」
「いつかどこかに泌尿処理場ができるまでは、トイレは使えないってわけですね?」とラットさんが聞きました。
「いえいえ、さきほど言ったように、今日から使えます。とてもクリーンだと保健所のおすみつきもあります。」
「だって、泌尿処理場はまだできていないんでしょう?」
「とてもクリーンな泌尿処理場が出来るまで、公衆トイレ裏の仮置場に溜めておきます」
「ええ~ うんこおしっこをいつまで溜めておくかわからないなんて、そんなの嫌だ、村じゅうが臭くなってしまう。」と、ラットさんは言いました。
「しっかりふたをしておくので、臭いは外にもれません。仮置場もとてもクリーンなのです。それに、いつかどこかにとてもクリーンな泌尿処理場ができるまでのことですから。 」とゾウ村長が言いました。
それから何年もたちました。アニマル村のみんなは、とてもクリーンな公衆トイレを便利に使っていました。いつかどこかにできるはずの、でもいつまでたってもできない、とてもクリーンな泌尿処理場のことは、ほとんどの住人は忘れていました。
ある日、とても強い風が吹いて、仮置場の天井と壁が吹き飛ばされてしまいました。じつは、仮置場は、あまり丈夫につくられていませんでした。たくさんのうんこおしっこの重みと、建物の傷みのために、いつこわれてもおかしくなかったのです。
仮置場には、発酵ガスも溜まっていたために破裂して、村じゅうにうんこおしっこが飛び散りました。さらに、いっぱいにたまっていたうんこおしっこが流れ出し、広がっていきました。村じゅうが汚くて臭くてたまらない上に、不潔さのために伝染病が流行りました。
もう、この村には住めないと、ほとんどの住人がアニマル村を出ていってしまいました。
ゾウ村長は、「村は掃除をすれば大丈夫。もう一度クリーンなトイレを作ればいいだけじゃないか、いつかどこかにとてもクリーンな泌尿処理場ができるのだから。それまでは、仮置場がいっぱいになったら、水で薄めて川に流せばクリーンなんだし!」と、去っていく動物たちに向かって呼びかけるのでした。自分も、引っ越しの荷造りをしながら。
みんなの前に立ったゾウ村長が言いました。
「アニマル村のみなさん、素晴らしい公衆トイレが完成しました。これで今日からは、外で急にもよおした時も安心です。とても便利になります。しかも自動洗浄機付きの、いつもぴかぴかでとてもクリーンな水洗トイレです。」
「村長さん、水洗トイレというと、うんこおしっこがどこかに流れて行くというやつですね。きれい好きの私も大歓迎です。」とカラスさんが言いました。
「それはいいですね。ところで、うんこおしっこはどこに流れて行くのですか? まさかそのまま川に流すなんてことは無いでしょうね? それでは大切な川が汚れてしまう。」とラットさんが聞きました。
「安心してください、下水道を通って、いつかどこかに建設される予定のとてもクリーンな泌尿処理場に運ばれます。」
「いつかどこかに泌尿処理場ができるまでは、トイレは使えないってわけですね?」とラットさんが聞きました。
「いえいえ、さきほど言ったように、今日から使えます。とてもクリーンだと保健所のおすみつきもあります。」
「だって、泌尿処理場はまだできていないんでしょう?」
「とてもクリーンな泌尿処理場が出来るまで、公衆トイレ裏の仮置場に溜めておきます」
「ええ~ うんこおしっこをいつまで溜めておくかわからないなんて、そんなの嫌だ、村じゅうが臭くなってしまう。」と、ラットさんは言いました。
「しっかりふたをしておくので、臭いは外にもれません。仮置場もとてもクリーンなのです。それに、いつかどこかにとてもクリーンな泌尿処理場ができるまでのことですから。 」とゾウ村長が言いました。
それから何年もたちました。アニマル村のみんなは、とてもクリーンな公衆トイレを便利に使っていました。いつかどこかにできるはずの、でもいつまでたってもできない、とてもクリーンな泌尿処理場のことは、ほとんどの住人は忘れていました。
ある日、とても強い風が吹いて、仮置場の天井と壁が吹き飛ばされてしまいました。じつは、仮置場は、あまり丈夫につくられていませんでした。たくさんのうんこおしっこの重みと、建物の傷みのために、いつこわれてもおかしくなかったのです。
仮置場には、発酵ガスも溜まっていたために破裂して、村じゅうにうんこおしっこが飛び散りました。さらに、いっぱいにたまっていたうんこおしっこが流れ出し、広がっていきました。村じゅうが汚くて臭くてたまらない上に、不潔さのために伝染病が流行りました。
もう、この村には住めないと、ほとんどの住人がアニマル村を出ていってしまいました。
ゾウ村長は、「村は掃除をすれば大丈夫。もう一度クリーンなトイレを作ればいいだけじゃないか、いつかどこかにとてもクリーンな泌尿処理場ができるのだから。それまでは、仮置場がいっぱいになったら、水で薄めて川に流せばクリーンなんだし!」と、去っていく動物たちに向かって呼びかけるのでした。自分も、引っ越しの荷造りをしながら。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる