ユメのあとさき

あおあおの部屋

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第10話 この街を救いたい

繊細でも優しくもない

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「うわーっ!?」

 押されたトーマが割れていた窓を乗り越えて転落していく。

「トーマッ!」

 どうしよう、この高さから落ちたら無事じゃ済まない……!

 思わず駆け寄ろうとしたら、アンリに引き留められた。

「あ、アンリ……トーマが」

「すまない、ユメ。今、あちらに行ったら相手の思う壺だ。彼のことは無事を祈るしかない」

 確かに、【強欲】が残念そうな顔をしていた。

「おや、邪魔されたか。ユメ様が来てくれれば楽だったのに」

「っ!」

 あたしをおびき寄せるつもりだったんだ。

 アンリが止めてくれて助かった。

「……アンリ、ごめん」

「ふふ、謝罪はいらないよ、姫君。可愛く『ありがとう』と言ってくれればそれでいい」

 男前な台詞に、「ありがとう」と告げた。

「あのさ……ユメちゃんを見る暇、ないんじゃない?」

 こちらを睨んでいた【強欲】に、ミナトが気配なく斬りかかって、【強欲】はすんでのところで避ける。

「は……気配を消すとは、さすがは猛者」

「知ってる」

「仲間が転落したのに全く動揺しないとはたいしたものだ……まるで、魔族のようだね」

 挑発も、ミナトには効かなかった。

「あいにく、おれは正真正銘人間だけど――ユメちゃんのこと以外で動揺するほど、繊細でも優しくもないから」

 戦闘の時のミナトは、傭兵の顔だ。

 こわい顔。でも……安心できる顔。
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