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00 First contact.
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焼け付くような痛みが左肩を覆っている。
少年はその痛みと熱で朦朧としながら、必死に起き上がろうとしていた。しかし、力の入らない指先は、砂埃でざらついた路面をただ掻くだけだった。
それでも無理矢理顔を上げて、前方に目を凝らす。
ぼやける視界に映ったのは、見知った少女が、少年と同じく地面に倒れている光景だった。
そして、その奥に、ずるずると木の根のような足を引きずりながら去っていく化け物の姿があった。木偶のような、気味の悪い生き物。その手は木の枝のように細く長く鋭い。その先端からは、赤黒い液体がしたたり、地面に点々と水たまりを作っていく。
あれは――。
少年の血だけにしては、多すぎる。
違和を感じ取った少年はふと気付いた。倒れた少女の真下から、じわじわと赤いものが流れてきているではないか。
「ユナ……っ!」
起き上がれず、それでも少女の安否を知りたくて、少年はかすれた声で名を呼ぶ。
「ダメ……だ……。ユ……ナ……」
声がない。反応がない。
まさか、まさか、まさか……?
最悪の想像が頭の中を駆け巡る。
「死ぬ……な……」
そう呟く中、少年は自身の視界が暗くなっていくのが分かった。
駄目だ、今、気を失う訳にはいかない。
少年は目を開けていようと必死だった。
ここで気を失ったら、あの少女を誰が助けるのだ?
しかし少年の抵抗も虚しく、目蓋は重くなり、やがて閉ざされる。
その日、少年は大切な人を亡くした。
少年はその痛みと熱で朦朧としながら、必死に起き上がろうとしていた。しかし、力の入らない指先は、砂埃でざらついた路面をただ掻くだけだった。
それでも無理矢理顔を上げて、前方に目を凝らす。
ぼやける視界に映ったのは、見知った少女が、少年と同じく地面に倒れている光景だった。
そして、その奥に、ずるずると木の根のような足を引きずりながら去っていく化け物の姿があった。木偶のような、気味の悪い生き物。その手は木の枝のように細く長く鋭い。その先端からは、赤黒い液体がしたたり、地面に点々と水たまりを作っていく。
あれは――。
少年の血だけにしては、多すぎる。
違和を感じ取った少年はふと気付いた。倒れた少女の真下から、じわじわと赤いものが流れてきているではないか。
「ユナ……っ!」
起き上がれず、それでも少女の安否を知りたくて、少年はかすれた声で名を呼ぶ。
「ダメ……だ……。ユ……ナ……」
声がない。反応がない。
まさか、まさか、まさか……?
最悪の想像が頭の中を駆け巡る。
「死ぬ……な……」
そう呟く中、少年は自身の視界が暗くなっていくのが分かった。
駄目だ、今、気を失う訳にはいかない。
少年は目を開けていようと必死だった。
ここで気を失ったら、あの少女を誰が助けるのだ?
しかし少年の抵抗も虚しく、目蓋は重くなり、やがて閉ざされる。
その日、少年は大切な人を亡くした。
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