13 / 15
13 ネコにされる
しおりを挟む夕飯を終えると藤原に引きずられてベッドルームに行った。
「今日はうんと燃えてみましょうか」
嬉しげに俺の肩を抱いて言う男の顔を首を傾げて見上げた。どういう意味なんだろう。腹に一物も二物もありそうな笑顔が怪しい。
ベッドの横でキスをして服を脱がされた。そのままバスルームに連れて行かれて身体を隅々まで洗われた。蕾の中は特に念入りに丁寧に洗われた。その時、何かを塗りこまれたような気がしたが何だろう。
バスルームから出て綺麗に拭われるとベッドに入った。
藤原は俺を背中から抱いて囁く。
「もう覚えてもらえましたか」
そして耳朶を軽く噛んだ。藤原のモノが俺の尻の辺りをツンツンとノックする。藤原の手が後ろから俺の胸を撫でて乳首を摘んだ。
「…んんっ…」と思わず鼻に抜けた声が出た。
「おや、色っぽいですね」
片方の手で俺の乳首をいやらしい手つきで弄りながら、片方の手で腰やら尻やら内股の辺りを揉まれた。
「んん…やっ…あっ…」
何でこんな声が出るんだ。身体が何でこんなに熱くなるんだ。
「腰が揺れていますよ。欲しいですか?」
藤原の指が俺の蕾の中に入って来た。ゆるく抽挿して指を増やしてゆく。長い指が俺のいいところを擦ってゆく。どうなっているんだ俺の身体は。熱くて腰が揺れてどうにかして欲しい。
「ああん……くっれ…、ほっ…しいっ!!」
「いい子ですね」
藤原は耳にそう囁いて俺の蕾に屹立したモノを宛がってゆっくりと俺の中に沈めた。
「くうっ…」
ものすごい圧迫感と質量を息を吐いてやり過ごした。俺、こんなこといつの間に覚えたんだ。
「全部入りましたよ。渉君の内は熱いです。熱くて狭くて締め付けてきます」
藤原が耳に囁いた。そうされると下半身がズーンと熱くなる。藤原がゆっくりと動き始めると、圧迫感よりも快感の方が込み上げてくる。
「はうっ…ん、んあっ……」
どうなっているんだ俺の身体は。一度や二度の体験でこんなに感じていいのか。
「さすがは渉君。私が見込んだだけのことはあります。もっと可愛く悶えなさい」
そんなことを言われても──。もちろん悶えているけど。だってはじめは後ろからだったろ。次は片足を高く掲げられて、それから正常位になって両足抱え上げて、今度は上に乗りあがって、何か段々訳がわからなくなってきた。
「ああん…、はあん……」
「いいですよ、可愛いですよ。もっと可愛く鳴いてみましょうね」
次の日は鏡の間に連れて行かれた。
「渉君の為に特注しました」
(自分の為だろ、オイ!!)
四方に鏡が据えてある小さな部屋に肘掛け椅子が置いてあった。俺と藤原はガウン姿でこの部屋に入った。藤原が肘掛け椅子に座って俺を膝の上に乗せる。そして足を開かせて両脇の肘掛に足を掛けさせた。
尻尾をつけた俺が恥ずかしいところを鏡に晒している。
「ほら、欲しいとココが収縮して私を呼んでいますよ」
藤原がシッポを弄んだ。尻尾の先には藤原人形が付いていてその先にはバイブレーターが俺の蕾の中に埋め込まれている。
藤原の膝の上でもじもじと身を捩ると「シッポじゃ物足りないですか」と、笑いを含んだ声で耳に囁いた。手は俺の胸の粒を捏ね繰り返している。
「やあっ…っん……」
俺の中に入ったシッポを藤原がゆるゆると抽挿させる。俺も藤原もガウンを羽織っているけれど下には何も身に着けていない。藤原の首に噛り付いて仰け反った。
「…んね……」
「役に立つようにしてくださいね」
俺は肘掛け椅子から滑り降りて藤原のモノを口に入れた。
(こんなになっちゃって、俺どうなるんだろう…)
* * *
藤原にいいように頂かれて連休が終わった。だるい腰と身体を引きずって学校に行く。結婚するということは、こんなに疲れることをするということだろうかと俺の結婚観がちょっと変わった。藤原みたいなバイタリティのある奴が相手だとこっちの身体が持たないや。
よろよろと送迎の車から降りて教室に向かった。
「おはよ」
教室の皆に声をかけると、振り返った皆は「お…」とか「はよ…」と言ったまま目を見開いて固まっている。どうしたんだろう。……。もしかして、犯られたの丸分りか──?
(ばれるのか? ばれたのか? どうするよ、俺)
教室の入り口で立ち竦んでしまった俺を、固まって見ていた皆の中で一番先に飛び出してきたのはやはり石原と辻だった。持つべきものは友達だよな。
「渉、お前どうしたんだ」
(ううむ、どの程度事情を話したものか…)
「急に可愛くなっちゃって」
(へっ!?)
「見違えたぜ。金曜日に来なかったから心配していたんだぞ」
石原と辻は俺を真ん中にして教室の中央に連れて行った。
「やはり磨きをかけてから……」
「む、だろうな」
背の高い二人は俺の頭上で俺には意味の通じない会話を交わしている。
俺は今日学校に行く前に鏡の前で入念なチェックを入れたんだ。だってキスマークとかよく付けてくる奴とかあるもんな。そういうのってバレバレだろ。
しかし、別にいつもの俺だったが。チビで色黒でチンクシャの──。
あの天使にはとうてい敵わない。……。落ち込んで来るぜ。
「このままでは俺たちの渉が──」
「何とか対策を練らねば──」
頭上ではまだ石原と辻の会話が続いていた。
昼休みに松下部長が来た。俺を見てハッと息を呑んだ。
「渉、金曜日はどうしたんだ」
そのままの顔でじっと俺を見詰めながら言う。
「すみません、風邪を引いてしまって」
学校には藤原が連絡を入れている。俺はそれをそのまま言った。
「そうか。お前も色々あったからな」
色々あったけど俺の身体は丈夫なのかな。風邪も引かないし、疲れて寝過ごしたのも一日だけで、今日の午前中にあった体育の授業も難なくこなしてしまった。
「ところで葉月なんだが」
葉月さんの名前を聞いたとたん、俺の心臓が急に音を立てはじめた。頭に血が上るのが分る。
(俺、忘れていたのかな。俺、考えまいとしていたのかな)
松下部長は俺の様子を溜め息を吐いて見た。
「渉と会って話がしたいと言っているが、どうする?」
「俺と…」
(どうしよう)
会いたいけど会いたくない。
「部活の時にな」
迷っている俺を見て、松下先輩はそう言って行ってしまった。
俺はこのまま変態の藤原の手に掛かっていいようになりたくない。葉月さんなら、あの王子様なら俺を助けてくれるだろうか。
(……。何だかお姫様になった気分だぜ)
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
文章がおかしな所があったので修正しました。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる