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「さてどんな恩恵を作成しようかねぇ」
偽神になったことで得た権能は非常に字面的に見ても便利みたいだが、要約するならば
瞬間移動・時を操る・色々察知・武器と部下を作成
ってことが出来るといった感じなのだろう。だから恩恵を作るならば、それ以外を補助するためのものを作るべきだ。例えば容量無限の個人倉庫、ラノベで言うマジックバックの代わりになるものとかが妥当な線だな。
偽神器錬成でマジックバック創るのもありっちゃありなんだが、一々持ち運ぶのは面倒だ。恩恵で済ませられるなら、それに越したことはないだろう。
「そうと決まればちゃっちゃと恩恵を創ってみるか、いざ初めての[恩恵作成]だ」
デバイスの画面に都度、表示されるマニュアルを読みながら新たな恩恵[神力倉庫]を作成して自分に付与するように操作する。恩恵発動の引き金は使用する意思と鍵言葉の二つ。この二つによって自動で神力を消費し、個人倉庫になる空間を作ることができる。単純な恩恵だが、これで物の持ち運びの問題は解消した。
次のアプリは[候補者アプリ]か、これはとりあえず起動だけしてみよう。俺の新しい仕事は仲介人、これが主な仕事道具になるのは間違いない。今の内にある程度仕様と、どの程度の人数の候補者がいるのか把握しておくべきだ。それに気になるし…っておいおい、以外と多いじゃないの日本の候補者。
3Dモデルで表示された世界地図中にもまばらではあるが光点で表示されている。表示を切り替えてグラフ表示にすると、やっぱり日本が断トツで候補者が多いようだ、流石マンガ大国ニッポン。
最後は[記憶アプリ]だけど、こればっかりは今は使用できないな。自分の記憶なんて覗いてもしょうがないし、研修で質問するしかないな。アプリの検証は一応済んだ、次は権能を試してみよう。俺が与えられた権能は
①転移無法
②時間操作
③万象感知
④偽神器錬成
⑤眷族契約
の五つだ、早速順番に試してみよう…とした瞬間ビリっとした感覚と共にドアホンの音がなる。なんだ今の感覚?ていうか休日にいったい誰だよ?宅配とか来る予定はなかった筈なんだが。モニターを覗くと、黒い僧服を身に纏った神父だか牧師だかが二人ドアの前に立っているのが見えた。
「はい?」
『休日の朝早くに申し訳ありません。私共は聖ダンテ教会から来ております。お伺いしたいことがございまして、少しお時間宜しいでしょうか?』
「はぁ…」
なんだよ朝っぱらから宗教の押し売りか?面倒なことこの上ないな。構ってる暇は…あるな。とは言え、お前らの上司(神)が今度から直属の上司になる訳で、その前に権能の使い方をマスターしとく必要があるってのに。しぶしぶドアを開けると、にこやかな笑みを浮かべながら神父が話はじめた。
「改めまして休日の朝早くに申し訳ありません。私は聖ダンテ教会所属の若本といいます。隣にいるのは神父見習いの剛力です」
「はぁ…どうも」
「ちわっす」
剛力と紹介された名前の男、神父見習いと言うわりには髪も染めてるし、ガム噛んでるし、僧服を改造してるっぽいし雰囲気がらしくないの一言に尽きるな、胡散臭いことこの上ない。
「それで一体どのような用件でしょうか?ウチは一応仏教なんで、入信とか無理なんですけど」
「あぁ布教ではありませんのでご安心ください、実はですね我々の教会に所属するシスターが面白いことを言っておりまして、その確認の為にこの地域を回っていたのですよ」
「はぁ…それで?」
「なんでもこの辺りで超常現象の予兆があるとのことで、その確認の為に我々が派遣された訳なんですよ」
「ちょっと何言ってるかわかんないっすね、それが僕に何の関係があるんでしょうか?」
不味いなぁ、これは不味い雰囲気だ。まったく何者だよそのシスター、感知能力高すぎだろ。目の前に佇む二人は恐らくある程度の確信を持ってドアホンを鳴らしたように見える。
とはいえ偽神にランクアップしたことがバレることはまずないだろう、素知らぬ顔して追い返そう。とした所で若本と名乗った神父の後ろから強烈な怒気が吹き荒れる。
「勘の悪い野郎だぜ…ったくよぉ。素知らぬ顔して追い返そうってかオイ?舐めてんじゃねぇぞテメェ」
「こら止さないか。申し訳ありませんウチの若いのが、まだ入信して日が浅いもので修行中なんですよ」
「いえ、その先程の話ですが超常的な存在?ってやつ。やっぱり何のことかわからないですね、思い当たることもないです。話が以上ならもう良いですか?録り溜めしてあるアニメみたいんで、失礼します」
「そうですか…あくまでも知らぬ存ぜぬを通すつもりですか。仕方ないですね、剛力くんやりなさい」
強引にドアを閉めた瞬間、剛力と呼ばれた男が強烈な前蹴りを放ってきた。一瞬にしてひしゃげて強引に開かれるドア、再び非日常的な光景が目の前に広がる。尻餅をついて呆然と壊れたドアを眺める俺を前に、神父とその見習いが跨いで侵入してくる。
「おい兄ちゃん悪いことは言わないからよ、同行してくれって。これ以上はマジに手荒な方法になっちまうぜ?」
「そんなことより、どうしてくれるんだよドア壊しやがってマジでふざけんなオイ!」
「やれやれ…ですから言ったでしょう。手荒な真似になると、これで諦めて同行していただけますね?」
「ふざけんなクソが!」
足元の革靴を投げ、台所の食器やら調理器具やらを投げ、最後の悪足掻き宜しく抵抗する。同行しても絶対にろくな目に合わない、というか同行したら二度と此処に帰ってこれない気がする。
なんだよコイツら、鉄のドアを蹴りでぶっ壊すとか絶対に一般人じゃない。吸血鬼絶対コロスマンばりにイカれた神父なんて非日常は俺の日常にお呼びじゃないんだよ、踏み込んでくんな!帰れ、今すぐ帰れよ!
「手荒な真似はしたくないと言うのに、仕方ありませんねぇ、困りましたねぇ…どうしましょうか?そうだ、こうしましょう。剛力君、骨の2、3本折って差し上げなさい」
「へへっ、そりゃあ手っ取り早くて良いっすね。ほんじゃあ主の御心のままにってね」
「お、お前ら何が目的だ!こ、こんなことしてタダで済むと思ってるのか?」
「なんて事はありません。我が教会のシスター立ち会いの元で2、3質問に答えてくれれば済むことですから」
問答している内にベランダまで追い詰められる。結構な高さだが、いざとなったら此処から飛び降りるしかない。そんな決意を胸に襲撃犯の方に向き直ると、癪な話だがニヤニヤと笑ってやがる。これはアレだ、絶対に飛び降りる訳がないって腹の中で嘲っている顔つきだ。
(クソッタレが、舐めてんじゃねぇぞ…)
つい先程、人間を辞めて偽神になったばかりだというのに、いきなりこんな襲撃される謂われはす無い。そっちがその気ならいいさ、やってやる、飛び降りて逃げてやる。ベランダに手をかけ、体重をかけ一気に身を投げて飛び降りる。
部屋の中から制止する焦った声が聞こえるが完全に身を投げている以上、時すでに遅しだザマーミロ。とはいえ、こっちの内心もパニックしかない。授かった権能の一つ[転移無法]を使えば、何の問題もなく生還できるのは間違いないだろう。だが何が引き金で権能を発動できるのかわからない。
偽神になったことで、地上15階建てのマンションから落ちても問題ないかもしれない、だがなんの保証もない博打ほど危険なものはないのもまた事実。あぁヤバい地上までもう僅かだ、スローモーションで地上が近づいてくる。
(極限状態なら権能を土壇場で使えるかもと期待したのが間違いだったんだ…あぁ権能の使い方について神域で聞いとくべきだったなぁ)
徐々に、しかし確実に近づいてくるアスファルトを前に俺はそっと目を閉じた……が、ついぞ衝撃はやってこない。ぎゅっと固く閉じていた目を恐る恐る開くと、そこは神様と出会った純白の世界だった。ほっと安堵の息を吐くのと同時に聞き覚えのある声が響く。
『な~にをやっとるんだねナカガミ君』
「いやなにって…自室に戻ったら襲われたんですよ、聖ダンテ教会とかいうところの神父二人組!何なんすかアイツら!?」
『聖ダンテ、聖ダンテ…あぁ!すまんすまん、失念していたよ。彼らは遺物や神器などを収集・管理・研究する為に暗躍している秘密宗教組織だったかな』
「良いんですか?そんなヤツら放置しておいても」
『やれやれナカガミ君、私は神だよ?そんな些事なことに構っている暇は無いのだよ。大体、言っちゃあ悪いがね人間風情が遺物や神器を入手いたところで所詮は宝の持ち腐れ、十全に扱うどころか仕組みや仕様を理解はおろか解明することだって難しいだろうさ』
「はぁ、そうなんですか」
『そうなんですよ、だからね放っておけばいいんです。仮にもし彼らのことが気になるなら、君が対処すればいい。ただし業務をこなした上でだぞ』
「わかりました、とりあえず彼らのこと放置しておきます。それより権能の使い方とか神力の使い方を直ぐにでも教えて欲しです。せっかく授かったのに使いこなす以前に使い方がわかりません」
失敗の原因はそこだよなぁ。そもそも仲介人のオファーのあと能力を授かった時点で質問して教わっておくべきだったんだよ。権能が使えていれば、それこそ撃退だって出来たかもしれないんだから。
『やる気があって大変結構。それでは明後日からの予定だったけど前倒ししよう』
そういって神様はデスクに置いてあった小型ベルを鳴らした。純白の世界に響き渡る澄んだ鈴の音。一瞬の余韻の後、墨をぶちまけたかの如く人が通れるほどの大きさの縦長の黒い穴が出現した。何が出てくるのかと戦々恐々しながは唾を飲み込むと、上から人が降ってきた。重ねて言う、上から人が降ってきた。
『はじめまーして偽神ナカガミ殿!私が貴殿の教官役に任命されまーした天使長のエンジェル・ロミーオです、以後お見知りおーきを』
偽神になったことで得た権能は非常に字面的に見ても便利みたいだが、要約するならば
瞬間移動・時を操る・色々察知・武器と部下を作成
ってことが出来るといった感じなのだろう。だから恩恵を作るならば、それ以外を補助するためのものを作るべきだ。例えば容量無限の個人倉庫、ラノベで言うマジックバックの代わりになるものとかが妥当な線だな。
偽神器錬成でマジックバック創るのもありっちゃありなんだが、一々持ち運ぶのは面倒だ。恩恵で済ませられるなら、それに越したことはないだろう。
「そうと決まればちゃっちゃと恩恵を創ってみるか、いざ初めての[恩恵作成]だ」
デバイスの画面に都度、表示されるマニュアルを読みながら新たな恩恵[神力倉庫]を作成して自分に付与するように操作する。恩恵発動の引き金は使用する意思と鍵言葉の二つ。この二つによって自動で神力を消費し、個人倉庫になる空間を作ることができる。単純な恩恵だが、これで物の持ち運びの問題は解消した。
次のアプリは[候補者アプリ]か、これはとりあえず起動だけしてみよう。俺の新しい仕事は仲介人、これが主な仕事道具になるのは間違いない。今の内にある程度仕様と、どの程度の人数の候補者がいるのか把握しておくべきだ。それに気になるし…っておいおい、以外と多いじゃないの日本の候補者。
3Dモデルで表示された世界地図中にもまばらではあるが光点で表示されている。表示を切り替えてグラフ表示にすると、やっぱり日本が断トツで候補者が多いようだ、流石マンガ大国ニッポン。
最後は[記憶アプリ]だけど、こればっかりは今は使用できないな。自分の記憶なんて覗いてもしょうがないし、研修で質問するしかないな。アプリの検証は一応済んだ、次は権能を試してみよう。俺が与えられた権能は
①転移無法
②時間操作
③万象感知
④偽神器錬成
⑤眷族契約
の五つだ、早速順番に試してみよう…とした瞬間ビリっとした感覚と共にドアホンの音がなる。なんだ今の感覚?ていうか休日にいったい誰だよ?宅配とか来る予定はなかった筈なんだが。モニターを覗くと、黒い僧服を身に纏った神父だか牧師だかが二人ドアの前に立っているのが見えた。
「はい?」
『休日の朝早くに申し訳ありません。私共は聖ダンテ教会から来ております。お伺いしたいことがございまして、少しお時間宜しいでしょうか?』
「はぁ…」
なんだよ朝っぱらから宗教の押し売りか?面倒なことこの上ないな。構ってる暇は…あるな。とは言え、お前らの上司(神)が今度から直属の上司になる訳で、その前に権能の使い方をマスターしとく必要があるってのに。しぶしぶドアを開けると、にこやかな笑みを浮かべながら神父が話はじめた。
「改めまして休日の朝早くに申し訳ありません。私は聖ダンテ教会所属の若本といいます。隣にいるのは神父見習いの剛力です」
「はぁ…どうも」
「ちわっす」
剛力と紹介された名前の男、神父見習いと言うわりには髪も染めてるし、ガム噛んでるし、僧服を改造してるっぽいし雰囲気がらしくないの一言に尽きるな、胡散臭いことこの上ない。
「それで一体どのような用件でしょうか?ウチは一応仏教なんで、入信とか無理なんですけど」
「あぁ布教ではありませんのでご安心ください、実はですね我々の教会に所属するシスターが面白いことを言っておりまして、その確認の為にこの地域を回っていたのですよ」
「はぁ…それで?」
「なんでもこの辺りで超常現象の予兆があるとのことで、その確認の為に我々が派遣された訳なんですよ」
「ちょっと何言ってるかわかんないっすね、それが僕に何の関係があるんでしょうか?」
不味いなぁ、これは不味い雰囲気だ。まったく何者だよそのシスター、感知能力高すぎだろ。目の前に佇む二人は恐らくある程度の確信を持ってドアホンを鳴らしたように見える。
とはいえ偽神にランクアップしたことがバレることはまずないだろう、素知らぬ顔して追い返そう。とした所で若本と名乗った神父の後ろから強烈な怒気が吹き荒れる。
「勘の悪い野郎だぜ…ったくよぉ。素知らぬ顔して追い返そうってかオイ?舐めてんじゃねぇぞテメェ」
「こら止さないか。申し訳ありませんウチの若いのが、まだ入信して日が浅いもので修行中なんですよ」
「いえ、その先程の話ですが超常的な存在?ってやつ。やっぱり何のことかわからないですね、思い当たることもないです。話が以上ならもう良いですか?録り溜めしてあるアニメみたいんで、失礼します」
「そうですか…あくまでも知らぬ存ぜぬを通すつもりですか。仕方ないですね、剛力くんやりなさい」
強引にドアを閉めた瞬間、剛力と呼ばれた男が強烈な前蹴りを放ってきた。一瞬にしてひしゃげて強引に開かれるドア、再び非日常的な光景が目の前に広がる。尻餅をついて呆然と壊れたドアを眺める俺を前に、神父とその見習いが跨いで侵入してくる。
「おい兄ちゃん悪いことは言わないからよ、同行してくれって。これ以上はマジに手荒な方法になっちまうぜ?」
「そんなことより、どうしてくれるんだよドア壊しやがってマジでふざけんなオイ!」
「やれやれ…ですから言ったでしょう。手荒な真似になると、これで諦めて同行していただけますね?」
「ふざけんなクソが!」
足元の革靴を投げ、台所の食器やら調理器具やらを投げ、最後の悪足掻き宜しく抵抗する。同行しても絶対にろくな目に合わない、というか同行したら二度と此処に帰ってこれない気がする。
なんだよコイツら、鉄のドアを蹴りでぶっ壊すとか絶対に一般人じゃない。吸血鬼絶対コロスマンばりにイカれた神父なんて非日常は俺の日常にお呼びじゃないんだよ、踏み込んでくんな!帰れ、今すぐ帰れよ!
「手荒な真似はしたくないと言うのに、仕方ありませんねぇ、困りましたねぇ…どうしましょうか?そうだ、こうしましょう。剛力君、骨の2、3本折って差し上げなさい」
「へへっ、そりゃあ手っ取り早くて良いっすね。ほんじゃあ主の御心のままにってね」
「お、お前ら何が目的だ!こ、こんなことしてタダで済むと思ってるのか?」
「なんて事はありません。我が教会のシスター立ち会いの元で2、3質問に答えてくれれば済むことですから」
問答している内にベランダまで追い詰められる。結構な高さだが、いざとなったら此処から飛び降りるしかない。そんな決意を胸に襲撃犯の方に向き直ると、癪な話だがニヤニヤと笑ってやがる。これはアレだ、絶対に飛び降りる訳がないって腹の中で嘲っている顔つきだ。
(クソッタレが、舐めてんじゃねぇぞ…)
つい先程、人間を辞めて偽神になったばかりだというのに、いきなりこんな襲撃される謂われはす無い。そっちがその気ならいいさ、やってやる、飛び降りて逃げてやる。ベランダに手をかけ、体重をかけ一気に身を投げて飛び降りる。
部屋の中から制止する焦った声が聞こえるが完全に身を投げている以上、時すでに遅しだザマーミロ。とはいえ、こっちの内心もパニックしかない。授かった権能の一つ[転移無法]を使えば、何の問題もなく生還できるのは間違いないだろう。だが何が引き金で権能を発動できるのかわからない。
偽神になったことで、地上15階建てのマンションから落ちても問題ないかもしれない、だがなんの保証もない博打ほど危険なものはないのもまた事実。あぁヤバい地上までもう僅かだ、スローモーションで地上が近づいてくる。
(極限状態なら権能を土壇場で使えるかもと期待したのが間違いだったんだ…あぁ権能の使い方について神域で聞いとくべきだったなぁ)
徐々に、しかし確実に近づいてくるアスファルトを前に俺はそっと目を閉じた……が、ついぞ衝撃はやってこない。ぎゅっと固く閉じていた目を恐る恐る開くと、そこは神様と出会った純白の世界だった。ほっと安堵の息を吐くのと同時に聞き覚えのある声が響く。
『な~にをやっとるんだねナカガミ君』
「いやなにって…自室に戻ったら襲われたんですよ、聖ダンテ教会とかいうところの神父二人組!何なんすかアイツら!?」
『聖ダンテ、聖ダンテ…あぁ!すまんすまん、失念していたよ。彼らは遺物や神器などを収集・管理・研究する為に暗躍している秘密宗教組織だったかな』
「良いんですか?そんなヤツら放置しておいても」
『やれやれナカガミ君、私は神だよ?そんな些事なことに構っている暇は無いのだよ。大体、言っちゃあ悪いがね人間風情が遺物や神器を入手いたところで所詮は宝の持ち腐れ、十全に扱うどころか仕組みや仕様を理解はおろか解明することだって難しいだろうさ』
「はぁ、そうなんですか」
『そうなんですよ、だからね放っておけばいいんです。仮にもし彼らのことが気になるなら、君が対処すればいい。ただし業務をこなした上でだぞ』
「わかりました、とりあえず彼らのこと放置しておきます。それより権能の使い方とか神力の使い方を直ぐにでも教えて欲しです。せっかく授かったのに使いこなす以前に使い方がわかりません」
失敗の原因はそこだよなぁ。そもそも仲介人のオファーのあと能力を授かった時点で質問して教わっておくべきだったんだよ。権能が使えていれば、それこそ撃退だって出来たかもしれないんだから。
『やる気があって大変結構。それでは明後日からの予定だったけど前倒ししよう』
そういって神様はデスクに置いてあった小型ベルを鳴らした。純白の世界に響き渡る澄んだ鈴の音。一瞬の余韻の後、墨をぶちまけたかの如く人が通れるほどの大きさの縦長の黒い穴が出現した。何が出てくるのかと戦々恐々しながは唾を飲み込むと、上から人が降ってきた。重ねて言う、上から人が降ってきた。
『はじめまーして偽神ナカガミ殿!私が貴殿の教官役に任命されまーした天使長のエンジェル・ロミーオです、以後お見知りおーきを』
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