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三章 水車の町と先代女王
女王様は汗をふかれる
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「うふふ、ストガルド殿のお気持ちはお察しします。ですが先代は寛大なお方。おとがめはなかったのでしょう?」
「こっちは殺されてもおかしくねえって覚悟してた。家族だけはどうか御慈悲をって、遺書も用意したっけ……が、何もなかった。『なんて器のでかい人なんだ』と一人で感動して、心のままに作ったのがあの人形さ」
星剣をかかげる母の姿。女王自身、見たときの高揚は並々ならぬものがあった。
それを作った彼の胸の内に宿った火の大きさは察するにあまりある。
「『心を込めて作る』……その一言を胸にきざみこんで、メルル焼きを作り続けて……気が付いたら品評会の常連よ。それがどうだ、ちょっとつまづいたからって……こんなもんを作るようになっちまってたなんてよ」
金色のティーポットを悲しげな目で見つめながら、両膝をたたいた。
「情けねえ……どんだけシャルカン商店にうろたえてたんだ俺は!」
「いったい、あのお店となにがあったのですか?」
「品評会は無名じゃ出られないってのは話したよな。あそこは去年開店したばかりなのに、いきなり出品が許された。そんなこと今までになかったことだ」
「ドーコー伯爵の臣下に、シャルカンという名の者がいます。もしやと思っていたのですが……」
「そういうこった。あそこの店長はシャルカンの息子……つまり『名前』で選考を通過するくらいは朝飯前なのさ。品物を一度だけ見たが、はっきり言って質は中の下……ってところか」
女王はこの町で客引きにあったことを思い返していた。あの若い男が、シャルカンの息子だろう。
「なのに最優秀賞を取りがやがった! 俺は思った……目利きの伯爵が選んだんだ、きっと俺の知らない何かがあるんだって。だがいくら考えてもわからなかった」
ストガルドはしぼり出すように言う。
「そんなときに『選ばれるための流行と商売を教える』って言われたんだ……あんたらが店に来たとき、俺の横にいた男だよ。あのときから、大事なもんを失ってたのかもしれねえな……」
「……今はいかがです?」
「そうだな……モヤモヤは晴れたぜ。自分のすべきことがはっきり見える。楽な道じゃねえが、やってやるぜ!」
ストガルドの目に光がともり、最初のころの面影はすっかり消えた。
もう心配する必要はなさそうだ。
「では、私たちは宿に戻ろうと思います。お気づかいと貴重なお話をありがとうございました。明日の品評会で……また会うかもしれませんね」
「礼を言いたいのはこっちのほうさ。お嬢さん、ありがとうよ」
彼は少し考えるようなしぐさをしてから、ぽつりとつづけた。
「……にしても、あんた只者じゃないねえ……ま、俺の勝手な想像だがな」
宿に戻ってヒノカと汗をふきあいながら、工房での出来事を話しあった。
「あのじいさん、想像よりも素直やったな」
「今日会ったばかりにもかかわらず、私の言葉に耳をかたむけてくださいました。良い方です」
「お嬢と先代が似てたのも大きいと思うで。最後の感じやと、薄々気づいとるやろ」
「似ている……そう思われていたら光栄ですね……」
ほんのりと頬があたたかくなる。尊敬する母の面影が自分にあるとしたら、とても喜ばしい。
同時に『もっと精進しなければ』と身が引きしまる思いだ。
「ウチは先代のことほとんど知らんけど、話を聞くかぎりそっくりやと思うわ」
「えっ!」
彼女から言われるとは思っていなかった。不意打ちをうけた感覚だ。
頬があたたかいどころではなくなってくる。体の汗をふいているのに、また吹きでてきてしまいそうだ。
「ど、どのあたりがでしょうか」
「『お嬢もやっとるなあ』って。じいさんの手を避けたとか、悪人を叩きのめしたとか。頼りになる親子やで」
「はあ……」
まっさきに出てきたのは武術だった……頼りにされるのはとても嬉しい。しかし気恥ずかしさもある。
ヒノカの中の女王像はどうなっているのだろう。競馬場で出会ったアニーから『カッコいいひと』と言われたことを思い出した。
かさねがさねになるが、頼りになる人間だと評されるのは良いことだ。しかし女王たるもの。知恵や気品、思考なども磨いていかなくては。
この旅の中で、ヒノカに他のところも褒められるようになろう。女王の中で、小さな目標ができあがった。
「ただいま戻りましたー」
「きゃあっ!?」
突然の声に悲鳴をあげたのはヒノカだ。汗をふくため半脱ぎだった服を引きよせて体を隠している。
「っと、あれれ? もしかしてお邪魔でしたか?」
「ちゃちゃちゃちゃうわ! ぜんぜんちゃうわ!」
「にししっ、すみませーん。次からは『入ります』って言いますね」
「天井から頭を出しながらそれを言いますか」
帰ってきたルネは天井から戻ってきていた。無音で出てくるためにそうしたのだろう。部屋の鍵は閉まっていたのだから。
「いたずら好きはほどほどに……と言いたいところですが、普段のヒノカとは違う声が聴けましたね」
「おっ、もしかしてお許しになったりします?」
プルプル震えながら赤くなっているヒノカを見ていると、いたずらしたくなる気持ちも理解できる。
「今回は大目にみましょうっ」
「二人ともおぼえとけよ……」
いつか逆襲されるかもしれない。それを待つのも旅の楽しみ方だと思った。
「……それで、ブローチの調査はどうでしたか?」
「ご想像の通りでした。町で渡されたものと同じ……シャルカン商店の人が作ったものでした」
「片方はじいさんのところでもらったのに、なんでやねん?」
「うんうん、そう思いますよね。でも渡してきたのはストさんじゃない。覚えてます?」
「ストガルド殿にあれこれと指導をしていた者……」
「結論から言うと、『まわし者』ってやつですよ。なんと、あのあと商店のほうに来たんです。あの客引きが『今日もごくろう』なんて言ってお金を渡してました」
「あのじいさんにそんなことして、なんか得があるんかいな」
「職人ストガルドというと、この町じゃ品評会で何度も賞をとったすごい人らしくて。去年も最有力候補だったそうですよ」
「しかし、私たちが聞いたところによれば『去年はシャルカン商店が選ばれた』と。理由がわからず、たいへん苦悩された様子でした」
「これは調査のついでに取ってきた情報なんですがね……」
ルネの口から語られたのは、シャルカン商店の大胆な『不正行為』だった。
さらに、今年もまた同じことを企んでいるという。
事実なら明日の品評会――介入しなければならない。
「こっちは殺されてもおかしくねえって覚悟してた。家族だけはどうか御慈悲をって、遺書も用意したっけ……が、何もなかった。『なんて器のでかい人なんだ』と一人で感動して、心のままに作ったのがあの人形さ」
星剣をかかげる母の姿。女王自身、見たときの高揚は並々ならぬものがあった。
それを作った彼の胸の内に宿った火の大きさは察するにあまりある。
「『心を込めて作る』……その一言を胸にきざみこんで、メルル焼きを作り続けて……気が付いたら品評会の常連よ。それがどうだ、ちょっとつまづいたからって……こんなもんを作るようになっちまってたなんてよ」
金色のティーポットを悲しげな目で見つめながら、両膝をたたいた。
「情けねえ……どんだけシャルカン商店にうろたえてたんだ俺は!」
「いったい、あのお店となにがあったのですか?」
「品評会は無名じゃ出られないってのは話したよな。あそこは去年開店したばかりなのに、いきなり出品が許された。そんなこと今までになかったことだ」
「ドーコー伯爵の臣下に、シャルカンという名の者がいます。もしやと思っていたのですが……」
「そういうこった。あそこの店長はシャルカンの息子……つまり『名前』で選考を通過するくらいは朝飯前なのさ。品物を一度だけ見たが、はっきり言って質は中の下……ってところか」
女王はこの町で客引きにあったことを思い返していた。あの若い男が、シャルカンの息子だろう。
「なのに最優秀賞を取りがやがった! 俺は思った……目利きの伯爵が選んだんだ、きっと俺の知らない何かがあるんだって。だがいくら考えてもわからなかった」
ストガルドはしぼり出すように言う。
「そんなときに『選ばれるための流行と商売を教える』って言われたんだ……あんたらが店に来たとき、俺の横にいた男だよ。あのときから、大事なもんを失ってたのかもしれねえな……」
「……今はいかがです?」
「そうだな……モヤモヤは晴れたぜ。自分のすべきことがはっきり見える。楽な道じゃねえが、やってやるぜ!」
ストガルドの目に光がともり、最初のころの面影はすっかり消えた。
もう心配する必要はなさそうだ。
「では、私たちは宿に戻ろうと思います。お気づかいと貴重なお話をありがとうございました。明日の品評会で……また会うかもしれませんね」
「礼を言いたいのはこっちのほうさ。お嬢さん、ありがとうよ」
彼は少し考えるようなしぐさをしてから、ぽつりとつづけた。
「……にしても、あんた只者じゃないねえ……ま、俺の勝手な想像だがな」
宿に戻ってヒノカと汗をふきあいながら、工房での出来事を話しあった。
「あのじいさん、想像よりも素直やったな」
「今日会ったばかりにもかかわらず、私の言葉に耳をかたむけてくださいました。良い方です」
「お嬢と先代が似てたのも大きいと思うで。最後の感じやと、薄々気づいとるやろ」
「似ている……そう思われていたら光栄ですね……」
ほんのりと頬があたたかくなる。尊敬する母の面影が自分にあるとしたら、とても喜ばしい。
同時に『もっと精進しなければ』と身が引きしまる思いだ。
「ウチは先代のことほとんど知らんけど、話を聞くかぎりそっくりやと思うわ」
「えっ!」
彼女から言われるとは思っていなかった。不意打ちをうけた感覚だ。
頬があたたかいどころではなくなってくる。体の汗をふいているのに、また吹きでてきてしまいそうだ。
「ど、どのあたりがでしょうか」
「『お嬢もやっとるなあ』って。じいさんの手を避けたとか、悪人を叩きのめしたとか。頼りになる親子やで」
「はあ……」
まっさきに出てきたのは武術だった……頼りにされるのはとても嬉しい。しかし気恥ずかしさもある。
ヒノカの中の女王像はどうなっているのだろう。競馬場で出会ったアニーから『カッコいいひと』と言われたことを思い出した。
かさねがさねになるが、頼りになる人間だと評されるのは良いことだ。しかし女王たるもの。知恵や気品、思考なども磨いていかなくては。
この旅の中で、ヒノカに他のところも褒められるようになろう。女王の中で、小さな目標ができあがった。
「ただいま戻りましたー」
「きゃあっ!?」
突然の声に悲鳴をあげたのはヒノカだ。汗をふくため半脱ぎだった服を引きよせて体を隠している。
「っと、あれれ? もしかしてお邪魔でしたか?」
「ちゃちゃちゃちゃうわ! ぜんぜんちゃうわ!」
「にししっ、すみませーん。次からは『入ります』って言いますね」
「天井から頭を出しながらそれを言いますか」
帰ってきたルネは天井から戻ってきていた。無音で出てくるためにそうしたのだろう。部屋の鍵は閉まっていたのだから。
「いたずら好きはほどほどに……と言いたいところですが、普段のヒノカとは違う声が聴けましたね」
「おっ、もしかしてお許しになったりします?」
プルプル震えながら赤くなっているヒノカを見ていると、いたずらしたくなる気持ちも理解できる。
「今回は大目にみましょうっ」
「二人ともおぼえとけよ……」
いつか逆襲されるかもしれない。それを待つのも旅の楽しみ方だと思った。
「……それで、ブローチの調査はどうでしたか?」
「ご想像の通りでした。町で渡されたものと同じ……シャルカン商店の人が作ったものでした」
「片方はじいさんのところでもらったのに、なんでやねん?」
「うんうん、そう思いますよね。でも渡してきたのはストさんじゃない。覚えてます?」
「ストガルド殿にあれこれと指導をしていた者……」
「結論から言うと、『まわし者』ってやつですよ。なんと、あのあと商店のほうに来たんです。あの客引きが『今日もごくろう』なんて言ってお金を渡してました」
「あのじいさんにそんなことして、なんか得があるんかいな」
「職人ストガルドというと、この町じゃ品評会で何度も賞をとったすごい人らしくて。去年も最有力候補だったそうですよ」
「しかし、私たちが聞いたところによれば『去年はシャルカン商店が選ばれた』と。理由がわからず、たいへん苦悩された様子でした」
「これは調査のついでに取ってきた情報なんですがね……」
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