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8歳
24
しおりを挟む「プロテクション!!」
「クラウス様。魔力の質が弱まっています。詠唱をしなくてもこれくらいは防げるようになってください。今度の大会で大敗しますよ。」
うっさい!!出てもいいって言ったのお前じゃんか!!
ヒビが入った僕の防御魔法。怖いんだよ。そんなに色んな属性の魔法をポンポン打ち込んでこないで欲しい。
それにさ、基本魔術の前に公式戦で使用する魔法を見てほしいといった僕が悪いんだけどさ。
これは無い。打つ暇すらない攻撃とか無理。どうやって僕の攻撃見る気なんだろう。
あまり精度は無いけど魔法名だけでぶっぱなす?この魔法闇魔法でしか防げないんだけど…。
もし何かあってもルディもいるし大丈夫だよね?先生、信じてるよ。
「アクティース!!」
この魔法は光魔法の1つ。僕がつくりあげたから誰も知らないけどね。
公式戦までにはこれに闇魔法を纏わせて光魔法でも防げるようにするつもり。そうでもしないと反逆罪とか被せられて殺されそうだし。だってシルヴェスター家にしか防げない魔法とか恐怖の何物でもないでしょ。
この魔法は闇魔法以外の全てを切り裂く魔法。
僕以外の全てを切り裂くはず…。でもまだ完成してないからどうなるのかわかんないけど。
「我が身を守れ プロテクション!!」
先生の防御魔法。先生が詠唱するとかよくやった方じゃない?
死なないでよね。マーティン。
「━━━━━━━ッ!!」
多分先生にはすごい衝撃が入ったんだろう。地面や木が切り刻まれる音と共に先生の防御魔法にヒビが入るのが見えた。
まだ上半身と下半身がお別れしてないから死んでないと思う。
…生きてるよね?切れ味良すぎてくっついてるように見えるだけとかじゃないよね??
テオ様の前でスプラッタなんて見せらんないんだけど。情操教育に悪すぎる。
「マーティン?生きてるの?」
「生きてますね。死んだかと思いました。」
ふぅん。
生きてるなら良かった。どうやってもみ消そうかと考えちゃった。
先生は自分の体がくっついてるのか確認するよりも先に僕に掴みかかってきた。さすがに怒られる…!
「すっつっばらしい!!流石です!!クラウス様!その魔法はクラウス様が生み出したものですよね?どういう原理なんですか?どういう魔法を使いましか?ほかの魔力で代用はできますか?実践で使ええすか?魔力はどのくらい使いますか?対象を選べますか?」
怖すぎ。この人ほんと魔法バカだな。怒るよりも好奇心が勝ってる。こういう人こそ魔道士として大成するんだろう。
「まだ出来上がってないよ。魔法ね。」
「…それは…。この魔法が使えるのは光魔法使用者のみ、ということでしょうか?」
「そうだよ。大会ではこの魔法に闇魔法を被せて使おうと思ってる。そうすれば反逆罪にはなんないでしょ?」
「そうですね。そうすれば光魔法だけが防げる魔法になります。面白い。闇と光魔力の弱点をこうも上手く突けるとは…。」
まぁうん。
光魔法と闇魔法はお互いに相性がいいからね。でも他の魔法に対しては威力は変わらない。
それを逆手に取った魔法。シルヴェスターと皇族にしか使えず防げない。すごく便利でしょ?
「うー。調べたい。でもクラウス様から話も聞きたい!!どうしたら良いのでしょう♡」
変態は1人できゃいきゃいと喜んでるけど。関わりたくない。こんなのが先生だってバレたら僕まで変態の仲間入りにされそう。
「うん。気持ち悪いね。」
「テオ、近づくなよ。ああいうやつを変態つうんだ。」
「テオに色目使わないで。ルディ。」
「へーへ。」
どいつもこいつも気が抜けない。
なんでテオ様に色目使うの。お前らじゃテオ様を幸せにできないでしょ!
「兄上、魔法の相性とは何ですか?」
「…お前知らねぇの?」
「周りに魔法を使う人がいませんでした。公爵家に来て初めて魔法というものを身近で見たんです。」
この世界でそんな子いる?魔法なんてありふれてる。平民に少ないからと言っても三男以降の子供は平民になることが多い。その血が混じって平民でも魔法が使える子は多いのに…。相当な魔法嫌いな家系なのかな。そういう人はどこにでも少なからずいるけどさぁ。
「ルディ様。少し早いですが休憩に入ってもよろしいでしょうか?」
「構わねぇよ。」
そういや義母もあんなに才能があるのに魔法を一切使わない。でも使わないんだと思ってたけどつかえないの方が正しいのかも。
もしそうなら本当に才能の持ち腐れだな。
「テオ、魔法の質や量の外見的特徴は知ってたよね?」
「公爵家の本を読みました!」
なるほどねぇ。本気で全く知らなかった、のかも。マーティンと顔を見合せてから頷いとく。基本から教えてあげないとこれはダメだ。
「では属性についてお茶でも飲みながら説明しましょうか。」
「はい!」
やった!サボれる!!
僕もルディもルンルン気分で2人について行こうとした。なのに無礼にも程がある。首根っこを掴まれて引き戻された…。
「2人はこっちで剣術の訓練すんぞ。」
逃げられると思ったのに…。
「なぁ。俺らもテオに教えられることあるぜ。今日は「その歳でサボり癖が着くぞ。」
うーわ。怒ってる。静かに怒るから苦手だわ。ちょっとくらい目とかで表してくれたら僕だって対処するのに。どこにも怒りを表さないでキレるから苦手。
これはルディを切る方がいいかも。頑張ってね。
「なにより今、この時が1番成長できる時期なんだよ。疎かにすればツケが回ってくる。」
わかってるよ。でもしんどいんだよ。今日もボコボコにされるのかぁ。
怒られるしこんなグダグダ言うクラウスなんでテオ様の軽蔑の対象になるから言わないけども…。
「それ実体験?」
静かな目で見つめられた。
いらん事言ったなコレ。
「サボろうとしたということは2人とも手加減はいらねぇよな。」
僕はルディに走り込み負けたから決まってたからなんでもいいけどさ。
ふふん。ざまぁろ。ルディ。
一緒にボコボコにされようね~。
「ムカつく顔しやがって。」
「そんな事言わないでよ。可哀想だなって思ってただけだよ。」
「クラウスに限って有り得ねぇわ。お前死ならば諸共タイプだろ。」
酷い言われよう…。あーあ。信用ないなぁ。
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