43 / 232
8歳
40
しおりを挟む
そのままテオ様と書斎に向かう。
アルは気を利かせてか扉を開けてから席を外した。まぁ別に内緒話する訳でもないしいいんだけど。
「テオとこんなふうに話すのも久しぶりだね。」
「そうですね…。兄上はいつも忙しそうでしたから。」
ごめんって。僕だってテオ様と話したいけどテオ様のためにもお金を貯めないといけないの。
「ずっと北の領地のことを考えていたからね。コレなんだけど。」
試作品のカイロもどきをテオ様に手渡す。
テオ様は不思議そうに振ってた。かわいい。まぁ魔宝具を振ったら壊れる可能性あるからしない方が言いけれど。
「魔力を注いでみて。少ない量でいいよ。」
テオ様は大人しく魔力を注ぐ。本当に慣れたものだよね。魔法について一般教養もなかったのにもう魔法を使いこなしてる。今度先生たちを呼び出してもいいかな。テオ様の話を聞いてみたい。
「兄上、暖かくなりました。」
「北の領地の越冬のために作ったの。あの領地はよく凍傷で仕事をなくす人が多いからね。」
「凍傷ですか?」
「指を切り落とすしかなくて農業ができなくなったり、家事ができなくなったりね。酷いときは死んじゃうから。」
テオ様はあまりよく思わないらしい。眉間にシワが寄ってる。領地は金の成る木。領民は金を作り出す所有物。ならそれらを大切にするのは領主としてあるべき姿だろう。それを上手く使うのも領主としての手腕だ。
「弱いから死ぬのではないですか?自分から生きられるように行動すべきです。」
「そうなると北の領地には人がいなくなるね。シルヴェスター公爵家の名前が失墜するよ。」
「では外に出られないようにして働かせましょう。」
おっと??過激だな。
「それだと自分から生きられるように動けないよ。」
「むぅ。」
可愛いけどこの考え方だと領地は任せられない。父様以上に領地経営の才能がないのかも。
「テオ、民は畑から取れないんだよ。どれだけ喜んで僕らにお金を貢がせたくするのか。それが大事なの。民にだって心はあるからね。」
「これも1つの貢がせたくなる作戦ですか?」
言い換えればそうかな。福利厚生がしっかりしてればなんだかんだとお金を払ってくれるし。
あくまで僕を悪だと思わなければいい。そのためにゲームのクラウスも民の前では善人だと思われるような行動してたわけだし。貴族には恐れられてたけど。
「思い上がるのではないですか?たかが平民の分際で思い上がられては不愉快です。」
なんというか…すごい子だな。あらかじめゲームで知っていたとはいえ容赦がない。
「テオは自分たちは金を払ってるのに守ってくれない領主の下で生きたいと思うの?」
「それは…。生まれのせいもあるので諦めて欲しいです。」
困った子だな。可愛いから許すけど。
こういう子の説得方法は感情じゃなく合理性を盾にした方がいい。
「反乱なんて起こされたら面倒臭いでしょ。」
「兄上?」
「今任せてる領主代理達は才能のある人達だ。なんせ母様が選んだからね。」
「それは…勿体ないですね。」
もう、領民を大事にしてくれるならなんでもいいよ。
「それでその魔道具どう?」
「暖かいので使えるとは思いますが…正直、分かりません。俺はずっと南の領地にいましたし…。北の寒さは話に聞きますが体験したことは無いので分かりません。」
おぉ。正直だね。悪くないよ。分かんないことはわかんないし。
「だよね。僕もそう。」
さすがテオ様。感は悪くない。情に流されないのも悪くない。ちょっと思想がやばいけどまぁ可愛いから許容範囲。
テオ様、良い子だね。可愛いね。
アルは気を利かせてか扉を開けてから席を外した。まぁ別に内緒話する訳でもないしいいんだけど。
「テオとこんなふうに話すのも久しぶりだね。」
「そうですね…。兄上はいつも忙しそうでしたから。」
ごめんって。僕だってテオ様と話したいけどテオ様のためにもお金を貯めないといけないの。
「ずっと北の領地のことを考えていたからね。コレなんだけど。」
試作品のカイロもどきをテオ様に手渡す。
テオ様は不思議そうに振ってた。かわいい。まぁ魔宝具を振ったら壊れる可能性あるからしない方が言いけれど。
「魔力を注いでみて。少ない量でいいよ。」
テオ様は大人しく魔力を注ぐ。本当に慣れたものだよね。魔法について一般教養もなかったのにもう魔法を使いこなしてる。今度先生たちを呼び出してもいいかな。テオ様の話を聞いてみたい。
「兄上、暖かくなりました。」
「北の領地の越冬のために作ったの。あの領地はよく凍傷で仕事をなくす人が多いからね。」
「凍傷ですか?」
「指を切り落とすしかなくて農業ができなくなったり、家事ができなくなったりね。酷いときは死んじゃうから。」
テオ様はあまりよく思わないらしい。眉間にシワが寄ってる。領地は金の成る木。領民は金を作り出す所有物。ならそれらを大切にするのは領主としてあるべき姿だろう。それを上手く使うのも領主としての手腕だ。
「弱いから死ぬのではないですか?自分から生きられるように行動すべきです。」
「そうなると北の領地には人がいなくなるね。シルヴェスター公爵家の名前が失墜するよ。」
「では外に出られないようにして働かせましょう。」
おっと??過激だな。
「それだと自分から生きられるように動けないよ。」
「むぅ。」
可愛いけどこの考え方だと領地は任せられない。父様以上に領地経営の才能がないのかも。
「テオ、民は畑から取れないんだよ。どれだけ喜んで僕らにお金を貢がせたくするのか。それが大事なの。民にだって心はあるからね。」
「これも1つの貢がせたくなる作戦ですか?」
言い換えればそうかな。福利厚生がしっかりしてればなんだかんだとお金を払ってくれるし。
あくまで僕を悪だと思わなければいい。そのためにゲームのクラウスも民の前では善人だと思われるような行動してたわけだし。貴族には恐れられてたけど。
「思い上がるのではないですか?たかが平民の分際で思い上がられては不愉快です。」
なんというか…すごい子だな。あらかじめゲームで知っていたとはいえ容赦がない。
「テオは自分たちは金を払ってるのに守ってくれない領主の下で生きたいと思うの?」
「それは…。生まれのせいもあるので諦めて欲しいです。」
困った子だな。可愛いから許すけど。
こういう子の説得方法は感情じゃなく合理性を盾にした方がいい。
「反乱なんて起こされたら面倒臭いでしょ。」
「兄上?」
「今任せてる領主代理達は才能のある人達だ。なんせ母様が選んだからね。」
「それは…勿体ないですね。」
もう、領民を大事にしてくれるならなんでもいいよ。
「それでその魔道具どう?」
「暖かいので使えるとは思いますが…正直、分かりません。俺はずっと南の領地にいましたし…。北の寒さは話に聞きますが体験したことは無いので分かりません。」
おぉ。正直だね。悪くないよ。分かんないことはわかんないし。
「だよね。僕もそう。」
さすがテオ様。感は悪くない。情に流されないのも悪くない。ちょっと思想がやばいけどまぁ可愛いから許容範囲。
テオ様、良い子だね。可愛いね。
433
あなたにおすすめの小説
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる