推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

文字の大きさ
55 / 232
8歳

52

しおりを挟む
観客も入ってきてザワつく中終わらない挨拶参り。僕も練習したいんだけど無下にする訳にもいかないし。

テオ様を見つけても終わらない挨拶回りのせいで手を振ることも許されない。この挨拶回りが終わったのは皇帝陛下、皇后陛下、第1皇子殿下、第2皇子殿下入場の声がかかった時だった。

長めの皇帝陛下の挨拶が終わり出る順番に呼ばれていく。
ルディは相変わらずつまらなさそう。どっちかと言えば自分で魔法打ちたいタイプだもんね。

僕の座ってる方面にテオ様が座ったからテオ様を眺めるって言う楽しみもない。
つまんないなぁ。見慣れた魔法見てもって感じ。

今回僕はギリギリまで無詠唱でやるつもり。ちゃんと詠唱する方が威力が上がるけど噛んだりしたら終わりだからね。僕は剣術も魔法も妥協するつもりないから走りながらでも戦えるようにしたい。
それでこそテオ様に好かれる完璧超人クラウスだ。全部全部手に入れてみせる。テオ様に好かれるためならなんでもやるんだから。


「クラウス・フォン・シルヴェスター公子様!!」

あ、呼ばれた。行くか。

ルディがあくびしてるのが見えた。僕の出番でそんな態度取れるのはルディだけだよ。皇帝陛下ですら話をやめてこっちを見てくれたのに。


相手は魔法塔推薦の男爵家のおじさん。
魔法塔推薦ってだけあって魔力は多い。技はどうだろ。生半可な技なら無詠唱で防げるけど。少しは手応えある人がいいな。先生以上じゃないと僕に詠唱させることは出来ないから頑張って欲しい。

『はじめ!!』

審判役の合図に合わせて防御魔法と空間魔法を組み合わせたものを張る。これはめっちゃ簡単。闇魔法で作ったプロテクションに闇魔法で作った異空間を合わせるだけだもん。
同じ属性だし簡単だよ。面倒だけど使い勝手がプロテクションよりいい。似たような魔法で反射魔法もあるけど反射魔法は確率ゲーだからあまりしたくない。失敗したらプロテクション張る前にか当たっちゃうし。
もちろんこれも無詠唱でやるよ。どんだけ練習したと思ってんの。

向こうが先に風魔法で気円斬みたいなのいっぱい出してぶつけてきた。
『ウィンドゥカッター』っていう初級魔法。まぁいっぱいだしたらメチャ強なんだけどね。切られるかもしんないし、全部避けるのは至難の業。だから防御魔法が必要になるんだけどけど。


僕の場合全部放った本人に転送されるけど。

魔法で強化された石畳の上に魔法が落ちていく。僕の周りにはひとつも落ちないけど。

さっきこの日と驚きすぎてなんの魔法も言えてなかった。だから代わりに防御魔法をかけてあげる。
ホントにもう。大人なんだからしっかりして欲しい。

「大丈夫ですか?」

「あ、は、へ?」

大丈夫かな?手を差し出したら握り返してくれたけど言葉喋ってないよ。

「まだやりますか?もう1回魔法放つ?」

今度はビクンっと体を揺らして座り込んじゃった。

「ちょ、本当に大丈夫?」

「ま、参りました!!!許してください!!!!!」

その腰抜かしたようなポーズのまま泣かれた。

え、僕が悪いの?プロテクション張って手を差し伸べたよ?僕が悪いの?

「え、泣かないでください。」

「申し訳ありません!!!!調子に乗りました!!」

ちょっと。今度は頭を抱えるようなポーズで喚く喚く。本当に僕が悪いみたいじゃん。やめてってば。テオ様も見てるんだから!!

「シルヴェスター公子、少し離れなさい。」

起こそうと肩に手を置いたところで皇帝に窘められた。僕本気で何もしてないってば!

皇宮に言われたからには下がらないわけもなく、一礼して相手から離れる。

そしたら審判に向かって皇帝陛下が頷いて審判も頷き返した。

「シルヴェスター公子様の勝利!!」

そりゃそうだけどさ。
相手の人2人に担がれて舞台から降りてった。

え?僕が悪いの?
ルディを見たら爆笑するの堪えてんのか下向いて震えてる。まじかよ。周りの観客を見回しても誰も目を合わせてくれない。

僕が悪いらしい。
え?なんにもしてないじゃん。さすがに理不尽すぎる。自分の投げた玉が帰ってきて受け取れなかったのあっちだよ?そんで僕は守ってあげたんだよ?僕が悪いの?







しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

処理中です...