推しの完璧超人お兄様になっちゃった

8歳

53

次に当たるはずだった魔法師は棄権。
その次は同じ魔法は防げたけど闇魔法と風魔法、光魔法のスラッシュを同時に打ち込んで終わり。
ほんと初級魔法ってコスパがいい。
ルディは飽きて欠伸してる。


次は準々決勝。ベスト8ってやつだ。
さっきまでつまんなかったけどそろそろ骨のある子は来るかな。これだとルディの方が強いんだけど。


次の相手は伯爵家お抱えの魔法師らしい。宮廷でも魔法塔でもないならたかが知れてそう。

｢よろしくお願いいたします。｣

｢こちらこそ、よろしくお願いします。｣

めっちゃ礼儀正しい。誰もそんなこと言わなかったのに。
好感度上がるな～。


『はじめ！！！』

｢プロテクション！｣

なるほど1手目に防御魔法。僕と同じ系統なのかな。慎重なのは嫌いじゃないよ。じゃあ『ダークスラッシュ』。
無詠唱で倒してあげる。

僕の闇魔法が彼を襲うけど全部防御魔法に当たって終わる。すごい強度だね。ヒビすら入ってない。

あ、なるほど。反射魔法か。すごいな。結界と反転魔法を一緒にしてる。覚悟がすごい。破られたら死ぬかもしれないのに。

魔法じゃなくて右に飛んで避ける。
反射魔法の利点で威力が上がるって言うのはあるからその隙に光魔法を打つ。

闇魔法に強いのは光魔法だけだからね。相手が何魔法を使うか分からないから風魔法を使うのは悪手だと思う。

次に足元に影魔法。そのまま落ちてくれればいいけど向こうも直ぐに浮遊魔法で浮いた。浮遊魔法…。属性魔法のはずなのに何属性か分からない。もっと近ずきたいけど防御魔法や壁魔法で適切な距離を取ってくる。上手いな。

魔法師らしい戦い方だ。

僕も防御魔法を駆使して魔法を放つ。あまり怪我をさせたくないけれど仕方ない。

思いっきり放ってくる魔法を正面から見てそこに合わせて闇魔法『ダークスラッシュ』を放つ。

失敗すれば僕に直撃。死ぬかもね。
でも同時魔法って神経使うからさ、初級魔法ならそんな意識しなくてもいい。だから闇魔法を撃ちながら上級魔法を構築していく。

あーあ。準決勝くらいまでは詠唱しないつもりだったんだけど。普通に強すぎ。よくこんなの捕まえたよね。名前覚えとこ。

《プルアラル・グレーターライトランス》

沢山の光の槍が僕の上に出現する。
闇魔法使ってたから系統の違う光魔法を使う。同じ魔法を使ったら意識がごちゃ混ぜになって魔法も混ざるから別の系統の魔法を使ったの。

もうさ逃げる場所なんてないくらいにぶち当てた。この人ならどうにかするだろうって思ってね。無理なら皇族の刻魔法で生き返らせたげて。僕もできるけどまだ試合終わってないからやりたくない。

…思ってたよりやるね。防御魔法にはヒビひとつ入ってない。次の魔法やろうか。

《ウィンド「私の負けです。」

？なんで？

｢まだやれるでしょ？勝ち逃げなんて「シルヴェスター公子様。ルールです。」…失礼致しました。楽しかったので思わず。｣

僕は彼の魔法に穴ひとつ開けられなかった。魔力だって残ってるだろうに。…そんなの僕の勝ちとは言えない。

｢シルヴェスター公子様。もう私の魔力はありません。私を買い被りすぎです。｣

｢そんなことないです。僕の魔法を防ぎきったのは第1皇子殿下と貴方だけなんですから。また機会がありましたらよろしくお願いします。｣

名前は覚えた。
ハインツ・フレーミヒ。ヘルダー伯爵家のお抱え。あそこってなんか魔法に関することしてたっけ。ただの趣味？

次の相手は宮廷魔法師の弟子。フレーミヒ卿より強いかな。強いならあの魔法撃ちたいな。弱かったらただのイジメになるからね。僕は優しいからそんなことできないよ。

サラッと僕の腕を流れるテオ様から貰った紐に触れながら自分の席に戻る。あと２勝。頑張らないと。

今回は圧倒的に勝てなかったからなぁ。
次こそ圧倒的に勝ってみせる。