115 / 232
12歳《中等部》
12
しおりを挟む教師の長い話をいつもと同じように魔力と視線で黙らせたら1番にルディが話しかけてきた。先生もいい加減長話やめて欲しい。貴族ってめんどくさいよね。表立って文句言えば僕がマナー知らずと社交界に広まっちゃうし。
「クラウス、行こうぜ。」
「そうだね。テオの教室とは逆方向にあるから先に行く?」
僕はテオ様の迎えに行きたいけどさすがに人前でルディの護衛を放棄するわけにもね。
代わりになるような人この学園にはいないし。はぁ面倒な。
「俺らは先に言っとくか。あの教師話長ぇもんな。」
「そうだね。連絡しておくよ。」
僕だと分かるように闇魔法で鳥を作りだす。そこらへんを飛んでる鳥より少し大きいけどまぁこれで教師も分かるだろう。でも見れば見るほど鴉だね。足三本にでもしちゃおうかな。
「いや、俺がやるわ。俺の魔力感じたらさすがに話やめるだろ。」
まじ?
そりゃあ僕より発言権あるし逆らえないだろうけど。…まぁいいか。本人がやるって言ってるんだし。僕も早くテオ様に会えるし。WinWinだよね。
「殿下のお手を煩わせてしまい申し訳ありません。」
「そう思うなら1回は断っとけよ。」
ルディはなんか嬉しそうに笑ってぐちゃぐちゃと僕の髪を乱してきた。
よくわかんないけどなんか楽しそう。ルディは金色のドラゴンをつくりだしてテオ様の教室の方に飛ばした。
「じゃあ行く?お茶入れるよ。」
「さっさと行こうぜ。」
はぁあぁああぁ。どうせサロンまでの綺麗な道を歩くならテオ様が良かったなぁ。
サロンはお茶を飲む場なだけあって周りの花壇も美しく手入れされてる。もちろんそこに向かう道までも。
金持ち貴族の寄付金による花畑だけどそれだけの価値があるよね。
僕の花も植えてあげようかな。もしかしたらほかの根から栄養を奪い取って僕の花一色になるかもしれないけど。草木型の魔獣と混ぜた花があるんだよね。どんな成長するのかな。楽しみだなぁ。
「お前いつも楽しそうだよな。」
「最近ガーデニングが楽しくてね。この花壇も僕一色で染められるのかとおもえば楽しくて。」
「それ含みがある系か?」
「やってあげようか?」
「人外ばっかになりそうだからやめてくれ。」
そう。じゃあやめとこう。
人体実験かぁ。クラウスなら手を出しそうな分野だよね。もう、虫も植物も動物だって錬金術として使っちゃった。動物はまだ実験段階だけど上手く行けば人間に試したくなっちゃう。
確信がなければしないけどね。
現代でも僕に使われてた薬はマウスに投与して問題なかったものだし。新薬で許可が降りたばっかりだけど治る可能性があるんだ。使うかい?って聞かれて使った薬もある。
僕の薬への対抗が強くてあまり聞かなかったけど少しは楽になった。
上手く使えば人間の技術の進歩。しっぱいすればマッドサイエンティストと呼ばれる人種になるんだよね。
でも試したい。結果を知りたい。っていう気持ちは抑えられない。クラウスのせいなのか僕のせいなのかはたまた両方のせいかはわからないけど。
最悪監禁で済む身分だから無茶できるのがいいよね。
「殿下、どうぞ。」
僕がドアを開けてルディが中に入る。当たり前だけどいつもされてる分勝手が分からないよね。
そのままアルフレートの真似で近くにあったポットに空間魔法から取り出した茶葉をセットする。
テオ様が来る前に完璧にしないとね。
「ケーキはテオが保管してるから待ってね。」
「ふぅん。」
それだけ?まぁいいけど。つまんないの。
あのケーキテオ様も色々手を加えたんだよね。あれこれ僕に道具の改良頼んできたりもしてた。北に作った錬金術塔で改良させたっけ。結局北の視察は行けてないけど発展してるかなぁ。映像石と帳簿で見た感じは発展してたけど実物を見る方が見えないところも見れるからね。
「兄上!殿下!おまたせ致しました!!」
「待ってねぇよ。」
「テオ、お疲れ様。」
息を切らしてもかっこいいテオ様。ほんと可愛い。天使みたい。
「すぐに準備致します。」
「ゆっくりね。だるい話もあるから心が決まったらケーキお願い。」
「どんな厄介事持ってきたんだよ。」
「まぁ色々だよ。」
ことりと切られたケーキを並べてくれる。僕のお気に入りにルディのお気に入り、テオ様のお気に入り。全部少しづつ違うもの。
僕のは洋酒が入ってるんだよ。ちょっとラム酒の味がして好き。昔っからレーズンは好きだったんだよね。
テオ様のはノーマルなもの。僕が4年前に誕生日に出したなんの工夫もされてないやつ。甘いの好きなはずなのにいつもノーマルなの選んでる。分からないけど大人ぶりたいのかな。可愛いね。
ルディのはオペラっていうガトーショコラ。僕が案だしたらつくりあげてくれたんだけどこれをルディがめちゃくちゃ気に入った。たしかに美味しいけどたまにでいいかも。
「兄上…。」
心配そうに眉を下げて席に着いたテオ様。
そんなに気にすることでもない。僕がテオ様のためなら何でもしてあげるしね。
「うん。まぁそんな重い話じゃないよ。父様が来月に帰ってくるってだけ。新しい誰かを連れてね。」
「新しい恋人でもできたか?」
「子供かもよ。」
276
あなたにおすすめの小説
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる