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12歳《中等部》
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しおりを挟むろくでもないルディの思いつき。
《けど普通に手合わせもつまんねぇよな。》
たったこの一言でただの手合わせが面倒なことになった。さすが皇子様。やることなすことわがままが通ると思ってらっしゃる。
「魔法師部、適当に闘技場に向かって魔法打てよ。そんで俺らは3人で混戦な。」
本気?
確かに戦場はこんな感じだろうけど…。本気でやるの?
テオ様は剣術の手練、ルディは光魔法の厄介な相手だよ。中途半端な僕はやりたくない。
「いいと思います。ルディ様。」
え。まじ?テオ様まで?僕やだ。
「危ないよ。ルディが怪我したらあの子たち罪に問われるよ?」
ビクッと魔法師部も教師も肩を揺らせた。みんな一緒に動いてて面白い。
「俺はなんも言わねぇよ。罪にも問わねぇ。でもやらなきゃ分かってんだろうな。」
どこのヤンキーなんだろう。前世でもこんな理不尽なこと言うやついなかったと思う。魔法撃っても撃たなくても罪に問われる可能性があるとか…。まぁ僕は病院か家にしかいなかったし、体が弱いせいでみんな優しくしてくれたけど。前世の僕を虐めるようならそれこそ悪役だもん。
「魔法契約しても構わねぇ。やれ。」
こわ。さすがワガママ皇子。怖いわぁ。
でもこれでも僕が支持する皇子だからね。叶えてあげるのも臣下の役目かな。
「僕が証人になるよ。そこの剣士部の人達も僕に何かあった場合の証人頼んでもいい?」
「「「はい!」」」
さっすが武闘派。返事も揃ってる。この中から宮廷の騎士団に入る子は多いんだよね。むしろ入るための人脈作りがこの学園の部活でもあるし。
だから、今は無いけどテオ様のために魔法騎士団作るっていうのも僕の構想の中には入ってたりする。
「じゃあ思う存分撃てよ。」
ふんっと鼻で笑ってルディが剣に手をかける。テオ様もそれに習って手にかけた。あとは合図だけか。
「先生、手を叩いて。」
魔法の先生に合図を頼む。この3人の中でやったら不公平だしね。
僕は剣ではなく魔法の発動の準備をする。
この2人に剣で勝てるなんて思ってない。まだ魔法の方が分があるもん。
━━━━パンッ━━━━
乾いた音が鳴って魔法師部たちの魔法が降り注ぐ。それより早く剣に手をかけたままテオ様が僕に向かってくる。ついでにルディも。
僕は避けるよりも有効な空間魔法で身を守る。テオ様みたいに魔法を避けるなんて命懸けの芸当できないよ。ルディだって走りながら対策してるせいでいつもより走るの遅いし。
さすがだよね。僕は2人よりゆっくりと剣を抜く。
この2人が1番に僕を倒そうとするのは分かってたもん。面倒なやつは体力あるうちに潰したいよね。
テオ様は居合いの要領なのか剣筋が見えない速さで抜いた。ただキラッと刃が光ったせいであぁ抜いたんだなと理解する。
テオ様が急激に成長したせいで僕は勘でしか防げないけどね。でも経験で補える。なんのために命かけて魔物と戦ってたんだか。このためでしょ。
どうせ目で追えないのは初めの一撃だけだ。もし切りつけられても僕には光魔法がある。問題ない。
僕も勘だけを頼りに剣を抜いた。ルディには防御魔法の壁。一緒に相手なんてできない。だから後回しね。
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