推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

文字の大きさ
119 / 232
12歳《中等部》

16

しおりを挟む

ろくでもないルディの思いつき。

《けど普通に手合わせもつまんねぇよな。》

たったこの一言でただの手合わせが面倒なことになった。さすが皇子様。やることなすことわがままが通ると思ってらっしゃる。

「魔法師部、適当に闘技場に向かって魔法打てよ。そんで俺らは3人で混戦な。」

本気?
確かに戦場はこんな感じだろうけど…。本気でやるの?
テオ様は剣術の手練、ルディは光魔法の厄介な相手だよ。中途半端な僕はやりたくない。

「いいと思います。ルディ様。」

え。まじ?テオ様まで?僕やだ。

「危ないよ。ルディが怪我したらあの子たち罪に問われるよ?」

ビクッと魔法師部も教師も肩を揺らせた。みんな一緒に動いてて面白い。

「俺はなんも言わねぇよ。罪にも問わねぇ。でもやらなきゃ分かってんだろうな。」

どこのヤンキーなんだろう。前世でもこんな理不尽なこと言うやついなかったと思う。魔法撃っても撃たなくても罪に問われる可能性があるとか…。まぁ僕は病院か家にしかいなかったし、体が弱いせいでみんな優しくしてくれたけど。前世の僕を虐めるようならそれこそ悪役だもん。

「魔法契約しても構わねぇ。やれ。」

こわ。さすがワガママ皇子。怖いわぁ。
でもこれでも僕が支持する皇子だからね。叶えてあげるのも臣下の役目かな。

「僕が証人になるよ。そこの剣士部の人達も僕に何かあった場合の証人頼んでもいい?」

「「「はい!」」」

さっすが武闘派。返事も揃ってる。この中から宮廷の騎士団に入る子は多いんだよね。むしろ入るための人脈作りがこの学園の部活でもあるし。

だから、今は無いけどテオ様のために魔法騎士団作るっていうのも僕の構想の中には入ってたりする。

「じゃあ思う存分撃てよ。」

ふんっと鼻で笑ってルディが剣に手をかける。テオ様もそれに習って手にかけた。あとは合図だけか。

「先生、手を叩いて。」

魔法の先生に合図を頼む。この3人の中でやったら不公平だしね。

僕は剣ではなく魔法の発動の準備をする。

この2人に剣で勝てるなんて思ってない。まだ魔法の方が分があるもん。




━━━━パンッ━━━━


乾いた音が鳴って魔法師部たちの魔法が降り注ぐ。それより早く剣に手をかけたままテオ様が僕に向かってくる。ついでにルディも。

僕は避けるよりも有効な空間魔法で身を守る。テオ様みたいに魔法を避けるなんて命懸けの芸当できないよ。ルディだって走りながら対策してるせいでいつもより走るの遅いし。

さすがだよね。僕は2人よりゆっくりと剣を抜く。

この2人が1番に僕を倒そうとするのは分かってたもん。面倒なやつは体力あるうちに潰したいよね。

テオ様は居合いの要領なのか剣筋が見えない速さで抜いた。ただキラッと刃が光ったせいであぁ抜いたんだなと理解する。

テオ様が急激に成長したせいで僕は勘でしか防げないけどね。でも経験で補える。なんのために命かけて魔物と戦ってたんだか。このためでしょ。
どうせ目で追えないのは初めの一撃だけだ。もし切りつけられても僕には光魔法がある。問題ない。

僕も勘だけを頼りに剣を抜いた。ルディには防御魔法の壁。一緒に相手なんてできない。だから後回しね。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。 ボクの名前は、クリストファー。 突然だけど、ボクには前世の記憶がある。 ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て 「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」 と思い出したのだ。 あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。 そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの! そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ! しかも、モブ。 繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ! ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。 どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ! ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。 その理由の第一は、ビジュアル! 夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。 涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!! イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー! ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ! 当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。 ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた! そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。 でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。 ジルベスターは優しい人なんだって。 あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの! なのに誰もそれを理解しようとしなかった。 そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!! ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。 なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。 でも何をしてもジルベスターは断罪された。 ボクはこの世界で大声で叫ぶ。 ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ! ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ! 最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ! ⭐︎⭐︎⭐︎ ご拝読頂きありがとうございます! コメント、エール、いいねお待ちしております♡ 「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中! 連載続いておりますので、そちらもぜひ♡

処理中です...