推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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今日は父様が帰ってくる日。門が見えるテラスからテオ様とお茶会。心做しかテオ様の口数も少なめ。
僕としてはテオ様が静かにお茶を飲んでる姿を見れるだけで幸せだよ。

「父様遅いね。」

「まだ時間より早いですから。」

そうだね。遅く来ればそれだけテオ様といられるから文句ないけど。

「新しい弟はどんな子かなぁ。」

「平民か愛人の子でしょう。期待するだけ無駄です。」

「水魔法の使い手だってね。農業にも役に立ってくれたらいいね。」

「薄い色なんですよね。あまり才能はないかと。」

うーん。何言っても否定だね。可愛い。血筋がそんなに嫌いかな。

「テオはなんで会ったこともない子を嫌うのかな?」

「だって…。」

うん。別にテオ様が誰を嫌おうと僕の1番であることには変わらない。ただ弟は学園を卒業するまで死なれては困るから言ってるだけ。それがすぎたら別にいいんだけど。理由くらい走っておきたい。嫌われたくないもん。地雷は踏み抜けないでしょ。

「本音を教えて。これから先、一緒に暮らすんだから理由くらいは知りたいな。」

「…。」

うーん。テオ様、まだ僕のこと信用してくれないのかな。悲しいなぁ。

「僕のことも信用できない?」

「そんなことは!!ただ…俺のわがままですから。」

「そんなことないよ。僕、結構テオと話するの好きだよ。思ってること考えてることも新鮮だし、もっと知りたいって思うよ。」

ニコッて微笑んでテオ様をじっと見る。
可愛いなぁ。最近じゃかっこよさも加わっちゃってさぁ。テオ様が本気になったらこの国なんて潰れちゃうかも。

「…ただ。気に食わないだけです。兄上の弟は俺だけでいいと思います。それが貴族でもない半端者が…嫌です。」

「半端者じゃないかもしれないよ。あの島国の貴族の子かも。」

「それでも半端者です。闇魔法の力もなく水魔法なんて。本当に血の繋がりがあるかすら怪しいではありませんか。向こうの言いがかりでは?それに貴族ならシルヴェスターの血を引く子供を捨てるはずがありません。」

「まぁ、それはそうだろうね。」

闇魔法の力なくてもその子供はそうとは限らないし。貴族なら捨てないだろうね。時間がかかったってことは孤児かスラムで生きてたような子だろう。貴族なら嫌でも噂話は広まるし。

テオ様は頭が回るなぁ。

「父様がわざわざ連れてくるんだから血が繋がってるのは確かだろうね。それにテオ、いくら弟が増えても僕が一番大切にする弟はテオだよ。」

「…本当ですか?」

「ふふ。ほんと。嘘つかないよ。」

やっぱり信用されてないのかなぁ。つら。この顔のせい?クラウスって標準が嘘っぽいもんね。仕方ない。

「表面上でいいよ。本当に気に入らないなら近寄らなくていい。ただ絶対に手は出さないように。」

「…はい。兄上。」

「仲良くしたかったらしてもいいよ。兄弟同士仲がいいのはいいことだし。」

「絶対に嫌です。平民の血が混じっているなら近寄りたくないくらいに嫌です。」

おぉ。そんなに嫌か。
困ったなぁ。孤児育ちとしれたらストレスで殺しかねない。

「話を変えようか?」

少し紅茶を含んでなんにしようか考える。そういえば義母様の親から跡継ぎいないから遠回りにテオ様を渡せと言われたな。

腹立つから無視してたけどテオ様がいいなら貸してあげるくらいならいいかも。どうせテオ様なら手柄を上げて直ぐに爵位貰えるだろうし。そのための領地と思えば悪くないかも。そうすれば1代爵位とかにはならないよね。

「義母様の親…男爵様からテオに跡を継がせたいって提案があるんだよ。どうかな?」

悪くはない。テオ様が奪われる以外には。
絶対に離れたくない。だからそこは譲れないけど。

「まぁ良くも悪くもない領地だから練習くらいにはなると思うよ。」

「練習ですか?」

「いつかテオなら爵位を貰えると思う。その時の練習だよ。何より僕がテオに爵位を譲る時も来るかもしれないからね。」

テオ様がどうしようと爵位も領地もあげるつもりだし。練習くらいにはなるよね。

「領地経営できたら俺は兄上の仕事も任せて貰えますか?」

「え?」

「ディータみたいに信用して任せて貰えますか?」

「そりゃあ…テオならいつでも任せられるよ。努力家だもん。」

なんの心配?
テオ様がしたいならいくらでも手を貸すよ。そんなに領地経営したかったの?それなら任せてあげたら良かったな。あんな面倒臭いことしたがらないだろう、させるなんてとんでもないって思ってたのは僕のエゴだったね。

「ならやります。兄上の役に立てるように勉強します。」

「そう?じゃあ代替わりしたら向こうに手紙を出そうね。1度は顔だしてあげないと。」

どう見てもテオ様は興味ねぇ。って顔した。
自分の祖父母なんだから顔くらい出してあげたらいいのに。

僕の祖父母は領地で隠居して僕は会ったこともないから人のこと言えないけど。元気にしてるかな。手紙すらないんだよね。





ふっと門を見たらちょうど馬車が入ってくるところだった。

やっとか。

いやこれからだね。

テオ様の幸せと生き残りを賭けて頑張らないと。


「テオ、行こうか。」

「はい。兄上」

テオ様の手を握って一緒に玄関に向かう。さすがに父様の前では手は離すよ。少しの間だけね









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