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12歳《中等部》
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しおりを挟む暫く見つめあって思っ苦しいため息をつかれた。ひどくない?
「クラウス、お前が頑張っているのを知っている。よく私がいない間、シルヴェスターと家族を守ってくれた。」
それだけ?
僕結構頑張ったけど?
「?それだけですか?」
「…はぁ。お前のようななんでも出来るやつは懐に入りにくい。」
テオ様ならもっとやる気出るし、心もふわふわ浮くのにな。
父様じゃ可愛くない。嬉しくもない。
嘘。少しは嬉しい。
まぁいいや。真似してみよ。
「父様、顔はこんな感じで雰囲気はこれでいいですか?」
「まぁまぁだな。雰囲気をその場に合わすことを心がけろ。お前は硬すぎる。」
「なるほど…。では父様を褒めるので感想をお願いします。」
テオ様を思い出して頬をわざと緩める。もちろん思い出すテオ様は「すごいです。兄上。」って言ってるところと。初めてこの家に来て恥ずかしそうにそっと手を握り返してくれたテオ様。あれは可愛かった。気合い入れてなかったら尊くて泣いてたと思う。
そのままの微笑みで、じっと父様を見つめ返した。
「父様、あなたは経営の才能はありませんね。おかげでどれだけ母様が苦労したか。わかってらっしゃいますか。けれど、父様がずっと僕ら家族のことを考えてくれているのは知ってます。ネヴィルを連れてきたのもその一環ですよね。テオもネヴィルも探していたんでしょう。」
それはそうなんだろう。
そうじゃなきゃわざわざネヴィルを連れてこないだろうし。なんなら闇魔法も受け継いでない孤児だ。邪魔でしかない。もし、情がなければ闇に葬り去られてるだろう。そう考えれば僕らを少しは愛してるんだとは思うよ。
色んなところで種をまくなとしかりたいのは山々だけど、今言う言葉じゃないよね。
でもテオ様の種になったことでその首繋がってるんだからありがたくテオ様に跪いた方がいいと思う。
「僕の弟たちを連れてきてくれて感謝致します。父様、ありがとうございます。」
「……ッ。本当に口が上手いな。」
「本心も含んでますよ。」
少しだけ。
前世の本で読んだ。嘘を真実を混ぜたらバレにくいんだって。あと褒める時は最後に。まず貶してから褒めるといいらしい。
「どうですか?」
「及第点だ。」
「それはどうも。」
まだ改善の余地はあるか。心理学の勉強?それとも顔?雰囲気?なんだろ。
前世を含めても人との関わり少ないから分かんない。前世は親とお医者さんと看護師さんだけだしなぁ。今は腹に一物抱えた貴族とルディ。あと聖皇国の第3皇子とも関わりがある。
ルディも聖皇国の第3皇子もお互い腐れ縁というか利害の一致というか。そんな感じ。逆に媚びても仮面かぶってるわけでもないから楽なんだよね。
「それで父様。陛下の命令でしょうから詳しくは聞きません。諜報の任に着いていたんですよね?」
「あぁ。」
やっぱりなぁ。
そうじゃなきゃお金を増やす才能がない父様があんな少ないお金だけで何年もあの島国にいれると思えないもん。
昨日のパーティでは陛下と仲良く消えてったし。
「次はいつ出ていかれますか?」
「これからは国内にいる。帝都だ。」
「反逆者共でも?」
「なんとも言えんな。」
ふぅん。
まぁ不安材料がこの国の中枢にいるのか。
「……分かりました。シルヴェスターが仕えるのはあくまで皇室。皇室が関わると言うのであれば手を貸しましょう。」
「頼む。」
「その代わり、父様は絶対に領地と我らの経営に口も手も出さないように。数年前のようになっては敵いませんので悪しからず。」
「あれは身に染みた。」
「左様で。」
染みてくれないとこっちが困るよ。
また経営に関与するなんて言われたら地下牢か僕の実験室に監禁してた。テオ様に不憫な思いをさせる訳にはいかないからね。
あとのお茶会はボソボソと近状報告。空気は悪くはないけど……僕も父様も素ではあまり話さないタイプなのかもしれない。
▽
▽
父様を送るためにドアを開けたら背筋を伸ばしたテオ様と目が合った。
え。可愛い。
「テオ?待っててくれたの?え~。かわいいね。」
本当に可愛い。父様と違って目に入れたら自然と頬が緩むし、可愛いかっこいい好きで感情が溢れかえっちゃう。僕の癒しだよ。
胃痛が治る感覚がする。テオ様は治癒魔法も使えるのかな。治癒魔法は聖職者だけの魔法なんだけどなぁ。光魔法は時間自体を戻すからまた別になる。テオ様ならなんでもできそうだけどね。
本当にテオ様可愛いね。
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