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12歳《中等部》
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しおりを挟むどれだけネヴィルがやらかしても帰るに帰れない事情があるんだよね。
まずラミアの魔力に汚染された村の復興。暫くは原因不明の病気も放ったらかしかなぁ。時間が経てば原因の魔力も薄まるし。それに聖職者呼んで浄化させてもあまり効果はなさそう。ポーズとして1人宛はあるから頼んで終わりだと思う。
あとはザッとみたかんじ問題ない。
旅行と領地の確認も兼ねて回りたいから予定より遅く帰りそうではある。なんか皆僕が通り掛かる度にお礼言ってくる。なんで広まってんだか。誰か口滑らせたな。
無視でもいいけど状態確認も兼ねたり現地の言葉を聞くために止まってたりしたら時間がかかるかかる。
止まる度にテオ様の機嫌も悪くなるからテオ様への媚び売りもしなきゃいけない。
まぁ?テオ様の媚び売りなんて僕からしたらご褒美だけどね。
西の領地。僕の領地だけじゃなくて国としても1番の穀物地帯。よく言えばのどか。悪く言えば田舎。ド田舎は北の領地ね。最近は錬金術のおかげで少し発展したらしいけど。
そんな田舎。馬車でトコトコ見回るなんて勿体ない。兵士は実家に帰省させたからテオ様と馬に乗って駆け回る。馬車より楽しい。馬は大変そう。
だけどこんなに伸び伸び生活したのこの世界に来て初めてかも。
はぁ。もう帰りたくない。
はしたないけど馬を木に繋いで僕は草の上に寝っ転がる。テオ様がすごい顔して見下げてくるけど知らないよー。テオ様も寝っ転がったらいいのに。前世から1回はしてみたかったんだよね。このために平民よりの服を買ったんだから。
「兄上。誰も見ていないからと言ってはしたないです。貴族としてちゃんとマナーを守ってください。」
テオ様は真面目だなぁ。僕が寝っ転がってる間も背筋を伸ばしてシャンとしてる。
「こんな時しか羽は伸ばせないよ。というか、こういうの夢だったんだよね。」
「…はぁ。なにがですか?」
「帝都じゃどう頑張っても僕はクラウス・フォン・シルヴェスターだからね。」
「今も兄上は兄上ですよ。」
「そう言ってくれるのはテオだけだよ。」
学校でも。街でも。家でも。
僕は僕じゃなくてクラウス・フォン・シルヴェスターだからね。ルディですら僕の後ろ盾を見てるし。こんな辺鄙なところとテオ様くらいしか僕を僕とは見てないよ。
「いつかテオの故郷にも行ってみたいね。穏やかなんだろうなぁ。」
「俺は早く帝都に帰りたいです。なんにもないじゃないですか。」
どうせ時間押してるんだもん。ならとことん延ばそう。テオ様と旅行なんて次いつ行けるかわからないし。
「たまの休みくらいゆっくりしようよ。」
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