推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

文字の大きさ
213 / 232
16歳《高等部 1年》

9

しおりを挟む

「クラウス!寄付金集まったから明細書作れ。」

「自分でやりなよ。」

「お前俺の秘書だろうが。」

宰相になるつもりはないから別の秘書を見つけて欲しい。なんで僕に言うんだか。

「…はぁ。作らないけど確認はしてあげる。計画書から提出して僕らの前でプレゼンして。」

「わかったよ。計画書は作ってある。全員生徒会室に呼び戻せ。」

「仰せの通りに。」

生徒会役員なんてみんな好き勝手してるからね。今だってルディと僕しか部屋にいないし。
ヤンは魔法研究の授業でしか会わない。テオ様は多分訓練場。シモンは神殿か炊き出しでもしてるんだろう。レネは…一番わからない。どこにいるんだか。

風魔法で作りだした鳥に要件を伝えてそれぞれに伝えるように指示を出した。風魔法で作りだしたものは壁を通り抜けられるし何より早いから重宝する。

「計画書見せて。」

懇切丁寧に作ったはずの計画書が作成者の手によって投げられた。もっと大事に扱えばいいのに。

平民も参加できるイベントねぇ。
なるほど。社会貢献もになってるのか。寄付という名目上仕方ないか。テオ様がどんな反応するんだろう。怒らないといいけれど。

「価格は安くして赤字にならないように生徒会と騎士、魔法関連の値段をあげるんだね。」

「あぁ。そこら辺は貴族じゃねぇと手が出ないだろ。参加費とかは高くして見学料は安くする。」

「もっと別の方法がありそうだけど…。賭け事とかはどう?」

「悪かねぇけど子供が手を出していい部類じゃねぇ。貴族派閥の反感買ったら終わりだろ?」

それもそうか。でもこれじゃ赤字は確定だな。

「代わりに未来の騎士候補に剣術でも習えるように一日くらい時間を割いてもらおうか。時間制にして回転率をあげよう。」

あとお金が取れそうなところ…やっぱり僕のところかな。

「ボードゲームで去年と同じように道場破りごっこでもしようか。それと、平民と貴族で値段を変えるとかは?」

「批判が集まる。寄付までして高い金をまた払わされるなんて嫌だろ。」

それもそうか。確かに…。

「魔法部は魔法の派手な試し打ちとかでしょ。騎士部は参加制の実力勝負。生徒会は何するの?」

「お前とレネに聞く。」

「人任せすぎでしょ。」

ちょうどなんか疲れきったヤンが生徒会室に入ってきた。なんか魔法使ったのかな。

「そもそもレネはこのために選んだんだからな。レネは演劇部に入ってるし、そこでも売上を上げてもらう。それと、オープニングとエンディングのシナリオもアイツに書かせる。」

「こき使われて可哀想。」

「面白い発想はお前とレネに託す。なんか面白い案を出せ。今まで誰もしたことねぇようなやつ。」

まぁなくはない。
現代で人気だったんだからこの世界でも人気になると思う。
ただ品はないからなぁ。

「利益が高い案はあるけどねぇ。」

「けどなんだ?」

「テオが嫌がりそうなんだよ。それに貴族としてもどうかと思うし。」

「でも面白ぇんだろ?言ってみろよ。」

「いわゆる娼婦と給仕の真似事。」

「うぇっ。」

身体は売らないけどホストやキャバみたいに席について話すのは、あまり受け入れられてない。

「性転換薬の作り方を習ったでしょ。それを活かしてメイドだか令嬢の真似をするの。調理とかは各自の家の使用人を使おう。僕らコンセプトのイメージ料理や飲み物を置いて僕らで配る。もっと言えば、お金を積めば写真も撮らせてあげよう。」

「写真?」

「今僕が作ってる魔法具にその瞬間を収めるものがある。それを紙に色つけして客に渡すの。」

「ふぅん。」

「母様の代の貴族がこぞって僕らの親世代になってる。母様に似てる僕がやれば儲けは出ると思うよ。」

「…なるほどなぁ。でも品がねぇな。」

「そうですね。給仕って言うのが品がないところだと思います。」

なるほどねぇ。
やっぱりほかの貴族の意見を聞けるのは嬉しいな。

「家のメイドと執事を使うか。俺らは決まった席でお茶会しよう。呼びつけたきゃ金払わすか。」

「構わないよ。あと時間を決めよう。みんな複数の部活に入ってるからそこは決めとかないとね。」

「分かった。それとお前とテオの場合は幻覚魔法も使わせる。そうすりゃ髪色も見た目も変えれるからな。それも金払わす。」

僕はいいんだけど…。テオ様がどこまで魔法が使えるのか分からないんだよね。もしかしたら幻影とか苦手かも。

「…僕はいいけどテオにできるか分からないな。帰ってきたら聞こうか。」

「あぁ。」


次に帰ってきたのはテオ様。空間魔法を使ったらしい。その後にシモンとレネが帰ってきた。

それでルディが説明して僕が補足してく。
話が進む度に険しい顔になってくテオ様。やっぱり嫌だろうなぁ。

全部の説明が終わったら眉間のシワを揉んでた。

「…言いたいことは多々ありますが変えるつもりはないのでしょう。でしたら、日付によって男装女装を分けるのはどうですか?」

女装は嫌なのかな。BLネタならありそうだから提案したんだけど。
それに個人的にテオ様の女体化みたい。こうでも理由つけないとしてくれなさそうだし。

理由付けも手を抜いてないもん。ちゃんと授業で習う転性薬。しかもこれは行政から許可貰わないと作れない危険で難しいものだからね。生徒会で扱う理由にはなってるでしょ。

「であれば、ニーズに合わせて人も帰るべきですね。クラウス様とシモン様は女性人気も男性人気もありますから客入りが少ない午前中が良いですね。男性人気が強いテオ様とルディ様が午後の最終。余り物の私たちで昼食時といきますか。」 

さすがレネ。
脚本家は流行を取り入れてるらしい。

「シモンとクラウスは離した方が良くないか?人気者はバラけさせたほうがいいだろ?」

「いえいえ。クラウス様とシモン様は2人揃って人気な層がありますから。2人は離さない方がよろしいですね。」

よくいうカップリングかな。公の場で婚約者だって発表してるから僕ら2人の話でコソコソ言っても不敬にはならないもんね。
同性婚も許されてる世界だからなんというか色々寛容だ。

「別に私はクラウスとでいいよ。それでさぁ、指名料取ろうよ。働きたくないんだ。」

わがまま皇子がなんか言い始めた。シモンは聖皇国の王を目指してるんでしょ。ちゃんと無償でも働きなよ。

「指名料って響きが嫌だ。」

「なら寄付金。ほら、教会でも高い金を払う人ほどいい聖職者に加護を貰えるんだよ。一定の金額以上払えれば人だって選べるんだから。私たちにだってその価値はある。」

「…平民でも出せる金額にしてくれよ。」

最もだな。シモンの話聞いてたら聖職者は働きたくないから馬鹿みたいな寄付金強請って来るのかと思っちゃう。貧乏で建て直し中の時に公爵だからって馬鹿みたいな金強請られたのまだ忘れてないから。

「平民ってどのくらいの金額が妥当なんですか?」

えぇ。テオ様可愛い。
そんなことも知らないの?教えてこなかったの僕だけどさ。
お金の価値知るためにお小遣いはあげてきたはずだ。テオ様にお金が無くなっても僕がだすからそんなお金のこと考えなくていいのに。

「クラウス。お前どんな教育してんだよ。」

ルディだって知らないくせに。宝石付いた剣作らせたの知ってるからね。テオ様が魔法の付与もされてない宝石なんか付けたら機能性が悪いのにって不思議がってたよ。

「弟たちにひもじい思いはさせたくないから一貴族として恥ずかしくない金額を渡してるよ。数年前から経営費も渡してるけど…利益も含めてテオが返してくれるんだよね。まぁ見てる感じ個人として使ってる金額は貴族としても多いくらいかな。」

「もっと倹約します。」

「しなくていいよ。テオが稼いでるお金をどう使っても僕の仕事の範囲じゃないからね。平民の金銭感覚知りたいなら貴族街より下にでも降りてみようか。」

テオ様がいい子すぎて涙が出てきた。

「そうするかぁ。」

「デートだね。クーディ。」

黙れ。シモン。
テオ様以外とデートする気はないからそんな誤解されるようなことテオ様の耳に入れないで。

「皆もいるからデートじゃないよ。」

「平民から学ぶなど恥です。」

あ、僕らの話なんて聞いちゃいないんだね。
そんなところも可愛いテオ様。

「少なくとも僕らだけで行っても平民の暮らしは分かりませんよね。」

ヤンが言った。
そりゃあ魔法使い一家の君の家に比べたら何でもかんでも見劣りするだろうよ。魔法具って魔石やら宝石やら使ってるせいでクソ高いんだから。そんなものがゴロゴロしてるところに比べたら普通の貴族の家ですら面白味に欠けそう。

「ネヴィルも同行させようか。それと街中で1人買えばいいでしょ。」

違う国とはいえまぁ価値観はそんなに変わらないでしょ。念の為平民連れておけば問題なさそうだし。

「楽しみだな。早めにしたいんだがいつ空いてる?」

「ルディの言う日で僕は構わないよ。」
「私も。」

テオ様も何時でもいいんだって。テオ様がいるなら本当に僕はなんでもいい。なにかルートとか決めといた方がいいかな。テオ様に無駄な時間を使わせるのはいただけない。






しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

処理中です...