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16歳《高等部 1年》
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しおりを挟む「ネヴィル、実は生徒会のみんなでお出かけするんだ。あまり街のことは分からないからネヴィル、案内してくれない?」
「僕でよければ。」
ほんと可愛く微笑むよね。ポーカーフェイスはテオ様よりよっぽど上手だ。まぁテオ様が珍しく笑ったり微笑んだりした時の方が魅力的で可愛くてかっこいいけど。
本当は来たくないんだろうなぁ。
▽
▽
「よぉ、ネヴィル。久しぶりだな。」
「はい。お久しぶりです、殿下。」
「魔力の質が似てないだけで全くの別人ですねぇ。」
「僕ら兄弟で一番の正統派だよ。なんたって魔力が混ざってないんだからね。」
「シルヴェスター固有の闇魔法の適正ねぇけどな。」
本当に失礼しちゃうな。ないからこそ今ここにいるんでしょ。現れてたら孤児院にいる時に攫われてるよ。
「ネヴィル、もう1人案内人を買いたいんだけどどこで売ってるの?」
「…いくらで?娼館に行けば案内もしてくれるはずだよ。」
「1人2ゴールドくらいかなって思ってる。女性は問題あるし、本当に一般的な金銭感覚の子に案内して欲しいの。だから冒険者とかはとう?」
「CかDランクならまだ普通の金銭感覚だと思う。でも割高になるね。街中で1人捕まえる方が安上がり。」
「身元がちゃんとしてる方がいい。」
「なら冒険者かな。ギルドはあっち。」
「なんでそんなに詳しいんだ?」
「ネヴィルの教師は冒険者でね。外に狩りも行ってるんだよ。」
僕も変装して一人で行ってるけどこれは内緒。冒険者登録だってしてるし。バレたら国からも家族からも怒られる。
「兄上、ネヴィルはシルヴェスターの自覚が足りないのではないですか?」
「家で練習するだけより実践の方が成長するからね。いいと思うよ。」
「それはそうですが…。」
「いいんだよ。ネヴィルにはネヴィルの人生がある。ただあまり自由は許されてないけどね。」
さてと。冒険者ギルドはあっちだったよね。当たりをつけるならDランクの"悪友"とかがいいな。スラム寄りの育ちだけどその分、街や人のことに関してはよく知ってる。
街の外れで生き残ってきたせいか成長しそうなチームだ。
僕の先導で冒険者ギルドに向かう。ちょっと進んだ後、ルディが足を止めた。
「おい、クラウス。なんでそんな迷いねぇの?お前あんまり外に出ねぇだろ。」
「…ほら、師範の次に頼んだ剣の師匠は元冒険者だったからね。たまに森に行くついでに町は見てたから。」
「そんな見ただけで覚えられるような街じゃないよ。」
うるさ。疑われたらどうするの。僕の錬金術の素材って人に頼んだら馬鹿みたいに高いんだからね。外に出られなくなったらそれこそ無駄遣いになる。僕で取りに行けるのにさ。
「できたよ?」
「ふぅん。」
信じてないな。まぁいいや。バレたら冒険者ギルドに入ったことあるって嘘つこ。
冒険者ギルドは木造で広めのおうち。酒場も別棟で管理されてて、そこでは仲間とか集められる。コミュ力あればだけど。
受付嬢とかがいる方でも集められるけどお酒入ってる酒場の方が盛り上がって即採用とかもある。慎重な人はこっちの方で面接して決めたりしてる。どっちも長所はあるからどっちでもいいとは思うよ。僕らは今回依頼する側だから酒場には寄らない。
その日に依頼してその日に決まるのは珍しいからお金は弾まないとね。
「Dランクの冒険者に街を案内して欲しい。1人2ゴールド。いる?」
いつもの服装とは数ランク下げてるとはいえ、見る人が見たら金持ちだって分かる。
「2チームほど声をかければ来られると思います。」
「どんな人たちがわかるプロフィールある?」
「口頭の説明にはなりますが。」
「ルディ、テオ、ちょっと来て。」
ワイワイと皆で依頼の紙があるところを見てた。楽しいのかな。大抵が魔獣の討伐なんだけど…。
僕はこの2つのチーム知ってるから2人に決めて欲しい。目的から考えて悪友の方で決まりそうだけど。
「片方はスラムの仲良しごっこ。もう片方は貴族の落ちこぼれですか。」
おぉ。1言目で冒険者たちに喧嘩を売っちゃった。
受付嬢も営業スマイルがピクピクしてる。
「こっちのフレネミーの方がいいな。」
ルディは聞いちゃいない。
「僕もそっちかなって思う。これからのためにスラムの話も聞きたいものね。」
「ちょうどいい機会だ。あそこら辺は仲間意識が強い分、話はできねぇしな。」
さてと。ちょっとテオ様とはお話が必要かな。
防音魔法を何重かかけて僕から話し始める。
「テオ、スラムっていうのはね。なくちゃならないものなんだ。今は、だけどね。」
「帝都の景観を損ねます。さっさと潰してしまわれれば良いのではないでしょうか。」
馬鹿な貴族と同じこと言ってる。まぁテオ様に帝王学は学ばせてないからなぁ。経営学と基礎的な語学数学、教養くらいだ。
もう少ししたらそういうことも学校で教えてくれるけどまだ早い。
「ならそこに住んでた奴らはどうする。街では外れもの。帰る村もない。どこにも行けねぇんだ。そうなりゃ治安はもっと悪化する。」
「行き場のない人間を野に放ったところでできるのは新しいスラム街。生まれた場所を壊された憎悪は貴族や王族に向かう。意味が無いことは繰り返しちゃいけないの。だからまずは、根本的な解決からしないといけない。ルディはそこから見直したいんだよ。」
だからこその子の催しだと僕は思ってる。合ってるのかな。
次男から下の貴族や才能のない貴族は貴族会の就職先は厳しくなる。例えば、宮廷魔導師、騎士とかは生まれと才能必須だし。魔法塔は身分は指定しないけど宮廷魔導師よりも上の才能が必要になる。何をするにも才能必須な世界から溢れた子達が行き着くのは冒険者やスラム街。だからまずは貴族の失業率からどうにかしないといけない。
そこで手をつけたのがこの催しだと僕は思ってる。
「というより、母様がスラム街を潰したがってんだよ。皇居からでもスラム街が見えるからな。邪魔なんだと。」
「同感です。」
テオ様がそういうのなら僕だってスラムを無くすことに尽力してあげる。だってテオ様が幸せになることをファンがしないわけないじゃない。前世ならいざ知らず。今は力が足りてる。権力も知力も、純粋な暴力としての力もね。
「徐々にだね。結果を急いでいいことなんてないんだから。」
少しでもテオ様が過ごしやすくなれるように。幸せになるためなら僕がなんだってしてあげる。
悪友と書かれた紙の方を受付嬢に差し出した。
「こっちを呼んで。」
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