異世界召喚鍛冶師

蛇神

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第三章 謎の暗殺者

肉体再生

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「いたたた…」
「大丈夫か?」
 
 はい、何とか…、と私はあちこち鈍く痛む体を動かし、起き上がった。一体全体、何が起こったのか?

 私は周りを見回した。そして、近くに例の私たちに降ってきた黒い物体を発見した。

「!?」

 それは黒い物体と思っていたが、違かった。黒い物体は整った顔の少年だったのだ。全身血みどろで血が変色し黒っぽくなっているため、コ〇ンの犯人みたいになっている。

 少年はぐったりとしており気を失っていた。冷たいが、息はある。

「これはヒデェな…、…ん?まてよ、こいつのキズ…」

 ヒューさんは血みどろマントをめくってお腹の大きな傷を確認した。吐き気を我慢して私も見た。

「…」
「ふむ…」

 少年の傷は肉が何者かによって食いちぎられており、内蔵が少しこぼれ落ちている状態だった。他の外傷を確認したところ、あちこち噛まれたような跡があり、右手が…喰いちぎられていた。

「酷い…」
「これは…もう無理か…」

 私は息がうまく吸えなくなった。今、生きているのに…助けられない。空気がすごく重く感じる。私は泣きたくなった。

「痛かったろうに…」

 私は今から連れていっても、ただの医者に見せてもこの子の命は間に合わないと確信した。

 目の前の小さな命が段々と消えていくのを感じる。

 どうすればいいのだろうか、少年を救いたい。

 どうすることも出来ず、私はぽたぽたと涙を流してヒューさんを困らせた。





『君ならこの子を救えるだろう?』





 脳に誰かが囁いた。私は目を見開き、目の前の少年を見つめた。今にも消えてしまいそうな命の灯火…消えてしまう運命であるその命が救える…。

 私は少年の腹部に手を置いた。ぐちゅりと内蔵が当たった。

 ヒューさんが驚いてこっちを見ていた。そりゃ驚くだろうな。ボロボロ泣いていた奴がいきなり内蔵触り出すんだもん。気が狂ったって思うよな。

 私は苦笑しながら置いた手に力を込めた。魔力を流し込んで、自己治癒力を少しでもあげて命をつなぎ止めようと思ったのだ。

 しかし、結果は私の想像の斜め上を行った。

【世の理からなる魂の兄弟たちよ、我が理に習い、今我が身朽ち果てようとするこの者に祝福をもたらせよ、我の名前はアマノザキユキ、我が名の元に理を捻じ曲げることを許したまえ】
 
 勝手に口が動いた。私はビックリして自分の口を空いてる手で触った。自分の意志では無いはずなのに、自分の意志であるかのようにスラスラと言葉が出てきた。

 ポカーンとする私の隣で、ポカーンとヒューさんが見つめていた。

 ポン!と、いきなり目の前に…あの真っ白い私の魔導書が現れた。私はビックリした。なぜ…?

 実のところ、この本は私が全て読み終わると同時に全ての文字が消えてしまったのだ。すべて白紙状態の本をどうすることも出来ず、使えないな…と思って自室に放置してきたはずなのだが…?なぜ急に現れた?

 本は淡く発光していた。そして、ヒラリとページがめくられ中間ほどのところでピタリと止まった。

 真っ白いページにじんわりと文字が滲んできた。

 目を凝らすと、そこにはさっき私がモニャモニャ唱えた呪文?みたいなものが載っており、そのページには『肉体再生』と大きく書かれていた。
 
「じ、嬢ちゃん…悪魔に魂でも売ったのか!?肉体再生なんて、伝説の古代魔術だぞ!?」

 ヒューさんが驚きのあまりヒゲがピーンと真っ直ぐになっていた。

 私も何が起こっているのかサッパリだ。物凄く驚いているのは私も一緒だよ!!

 術式がピカーっと光りながら展開され、少年を包み込んだ。私はその光の塊と化した少年に魔力を送り続けた。眩い光の隙間から、少年のこぼれ落ちている内蔵がしゅるしゅると体に収まっていくのが見えた。再生せているのだ。私がポーとそれを見つめていると、ヒューさんが私を鋭く呼んだ。

「…嬢ちゃん、それが終わったらそいつ連れて早く逃げるんだ!!」
「え?」

 ヒューさんが今までに無いくらい険しい声で唸った。グルルルと低く威嚇みたいに唸り声もあげている。私はヒューさんが見つめる先を見た。

「ひっ!?」

 ケタケタケタケタケタケタケタケタ

 笑い声が響き渡った。たくさんの目玉がグチュグチュと体中を動き回っている口が大きく裂け、大きな狼のような真っ黒な生き物がそこにいた。よく見ると足が八本ある。

 そこだけじゃない、奥の方にも複数、屋根にも複数とたくさんの魔獣がグチュグチュと動き回るたくさんの目玉で私たちを見ていた。
  ヨダレをたらし、ゲハァゲハァと荒く呼吸した。

 全身の毛穴が開くようなゾワゾワした不快な気持ちになった。

「その子の治療はどのくらいかかりそうだ?」
「あと15分くらい」

 絶望的だな、とヒューさんは低く笑った。ヒューさんの緊張がビリビリと伝わってきた。

「狙いはその子だ。話を聞くためにも死ぬ気で守らなきゃな…もちろん嬢ちゃんも俺の命に変えてでも死守するぜ」
「わ、私も戦う!!」
「いや、ダメだ。嬢ちゃんを傷つけたらアルに叱られる。お言葉に甘えちゃって守られてなさい」

 アルという言葉をきいてびくんと跳ねた。不意打ちだ。

 それを見てヒューさんはニヤリと笑って「ウブだね~」と茶化してきた。大きなお世話だ!

 そんなやりとりをしている中、魔獣の一匹がこちらに突っ込んできた。

「取り敢えず様子見で一匹ってとこか?舐められたもんだな!!」

 ヒューさんの顔が引きつった。険しい顔をして、無理やり笑った。

「一匹残らず引き裂いてやる!!」

うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!

 ヒューさんの咆哮が暗い路地をこだました。
 

 
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