1 / 119
第1章 光と「クロード・ハーザキー」
01話 ゴキブリ
しおりを挟む
「ん?………うわわわわぁぁぁぁぁあああ!!デカ! クロ! ゴキッ!」
♣
仕事を終え自宅へ戻る途中、行きつけのカレー屋でカツカレーを買う。
マンションのオートロックを開けて、郵便物を確認してからエレベーターへ。
玄関のドアを開けて自宅へ。
荷物を置き、いつもの部屋着に着替える。
ノートパソコンの電源を入れて、動画を見ながらカレーを食べる。
いつもの日課だ。
カレーを食べ終えた後は、ネットゲームを楽しむ。
基本的にチャットはしない。
友人と呼べるような人間もいない。
でも、さほど気にもしていない。
そう、友人がいなくてもゲームは楽しいのだ。
パソコンがあれば、結構なんでも出来てしまう。
俺は、それなりに充実した生活を送っているのだ。
だが、今はどうだ。
さっきまで、あんなに夢中でゲームを楽しんでいたのに・・・。
♣
今、俺の目の前、ノートパソコンのキーボードの上には、見たことも無いサイズのゴキブリがいる。
突然、天井から落ちてきた、俺の手と同じくらいのサイズのゴキブリ。
死ぬほど驚いて、今、叫び声を上げた。
驚きのあとに来た、とんでもない悪寒。
全身が総毛立つ。
だが驚いたのは、ゴキブリも同じだったようで、ピクリとも動かず気配を消していた。
お互いに息を殺しながら、様子を窺う。
・・・が、そんな状況も長く続くわけも無く、目が合ってしまった。
何故かは分からないが、目が合った瞬間、異様な殺気のようなものを感じた。
恐怖を感じた訳では無いが、背中に悪寒が走る。
――これはきっとアレだ・・・飛ぶんだ。
そう感じた俺は、何も考えずにノートパソコンのカバーを速攻で閉じた。
だが、あまりのサイズにカバーは閉まらない。
カバーを一枚隔てた向こう側では、モゾモゾとゴキブリが動いているのが分かる。
このまま、逃げられて飛ばれたら大惨事だ。
そうなれば、このサイズだ。
もう俺では、気持ち悪すぎて捕まえられない。
カブトムシ? 触れませんよ
セミ? 触れませんよ。
バッタ? 触れませんよ。
ゴキブリ? 無理に決まってるじゃないですか。
そう昔も今も苦手なもんは苦手ですから。
ここで逃がしてなるものか。
というか、出てこられて姿を見たら、もう俺には太刀打ちできない可能性が。
やるなら姿が見えていない今しか無い。
そう思い、カバーの上から体重をかけて押しつぶしていく。
少しずつ下から押し上げてくる抵抗が少なくなる。
もう潰れただろうか?
上から押さえつけながら、パソコンとカバーの隙間をのぞき込んで確認する。
――あれ、なんか、光ってる
そんな気がして、中をもっとのぞき込もうとした瞬間、隙間から炎が燃え上がった。
「熱っ!」
前髪が少し焦げた。
パソコンの電気系統に何かあったのだろうか。
こうなると、パソコンがいつ爆発してもおかしくない気がする。
ゴキブリにとどめを刺すのが先か、パソコンが爆発するのが先か・・・
もうゴキブリへの恐怖心など頭から消えてしまっていた。
急いでコイツを始末して、パソコンから手を離さなくては・・・
「うぉぉぉおおお」
なんだか分からないが、年甲斐もなく大声を上げた。
そのまま、ノートパソコンを力まかせに上から押さえつけて、更にカバーを閉じる。
そして、右手をハンマーの如く、何度もカバーに打ち下ろす。
半分、潰れたアイツが出てくる方が恐ろしい・・・
そう思うと、拳により一層、力が入る。
中の画面も割れているだろう。
それでもお構いなしに叩きまくる。
「グェ!」
変な音がしたと思ったら、下からの抵抗がなくなり、完全に押し返してこなくなった。
だが、同時に青い液体がカバーの隙間から垂れてきた。
ちょっと後悔。
叩きまくったせいか、ノートパソコンからはうっすらと煙が出ている。
自業自得とはいえ・・・凹む。
ノートパソコンは、完全に壊れてしまったようだ。
今さらながら、爆発でもしたら大変だと思い、念のため電源コードを抜く。
・・・が、遅かった。
〝ドン〟という音と共に、ノートパソコンからは火花が飛び、家のブレーカーが落ちた。
俺は真っ暗の部屋の中、焦げ臭い匂いをかぎながら、ただただ後悔することとなった。
♣
仕事を終え自宅へ戻る途中、行きつけのカレー屋でカツカレーを買う。
マンションのオートロックを開けて、郵便物を確認してからエレベーターへ。
玄関のドアを開けて自宅へ。
荷物を置き、いつもの部屋着に着替える。
ノートパソコンの電源を入れて、動画を見ながらカレーを食べる。
いつもの日課だ。
カレーを食べ終えた後は、ネットゲームを楽しむ。
基本的にチャットはしない。
友人と呼べるような人間もいない。
でも、さほど気にもしていない。
そう、友人がいなくてもゲームは楽しいのだ。
パソコンがあれば、結構なんでも出来てしまう。
俺は、それなりに充実した生活を送っているのだ。
だが、今はどうだ。
さっきまで、あんなに夢中でゲームを楽しんでいたのに・・・。
♣
今、俺の目の前、ノートパソコンのキーボードの上には、見たことも無いサイズのゴキブリがいる。
突然、天井から落ちてきた、俺の手と同じくらいのサイズのゴキブリ。
死ぬほど驚いて、今、叫び声を上げた。
驚きのあとに来た、とんでもない悪寒。
全身が総毛立つ。
だが驚いたのは、ゴキブリも同じだったようで、ピクリとも動かず気配を消していた。
お互いに息を殺しながら、様子を窺う。
・・・が、そんな状況も長く続くわけも無く、目が合ってしまった。
何故かは分からないが、目が合った瞬間、異様な殺気のようなものを感じた。
恐怖を感じた訳では無いが、背中に悪寒が走る。
――これはきっとアレだ・・・飛ぶんだ。
そう感じた俺は、何も考えずにノートパソコンのカバーを速攻で閉じた。
だが、あまりのサイズにカバーは閉まらない。
カバーを一枚隔てた向こう側では、モゾモゾとゴキブリが動いているのが分かる。
このまま、逃げられて飛ばれたら大惨事だ。
そうなれば、このサイズだ。
もう俺では、気持ち悪すぎて捕まえられない。
カブトムシ? 触れませんよ
セミ? 触れませんよ。
バッタ? 触れませんよ。
ゴキブリ? 無理に決まってるじゃないですか。
そう昔も今も苦手なもんは苦手ですから。
ここで逃がしてなるものか。
というか、出てこられて姿を見たら、もう俺には太刀打ちできない可能性が。
やるなら姿が見えていない今しか無い。
そう思い、カバーの上から体重をかけて押しつぶしていく。
少しずつ下から押し上げてくる抵抗が少なくなる。
もう潰れただろうか?
上から押さえつけながら、パソコンとカバーの隙間をのぞき込んで確認する。
――あれ、なんか、光ってる
そんな気がして、中をもっとのぞき込もうとした瞬間、隙間から炎が燃え上がった。
「熱っ!」
前髪が少し焦げた。
パソコンの電気系統に何かあったのだろうか。
こうなると、パソコンがいつ爆発してもおかしくない気がする。
ゴキブリにとどめを刺すのが先か、パソコンが爆発するのが先か・・・
もうゴキブリへの恐怖心など頭から消えてしまっていた。
急いでコイツを始末して、パソコンから手を離さなくては・・・
「うぉぉぉおおお」
なんだか分からないが、年甲斐もなく大声を上げた。
そのまま、ノートパソコンを力まかせに上から押さえつけて、更にカバーを閉じる。
そして、右手をハンマーの如く、何度もカバーに打ち下ろす。
半分、潰れたアイツが出てくる方が恐ろしい・・・
そう思うと、拳により一層、力が入る。
中の画面も割れているだろう。
それでもお構いなしに叩きまくる。
「グェ!」
変な音がしたと思ったら、下からの抵抗がなくなり、完全に押し返してこなくなった。
だが、同時に青い液体がカバーの隙間から垂れてきた。
ちょっと後悔。
叩きまくったせいか、ノートパソコンからはうっすらと煙が出ている。
自業自得とはいえ・・・凹む。
ノートパソコンは、完全に壊れてしまったようだ。
今さらながら、爆発でもしたら大変だと思い、念のため電源コードを抜く。
・・・が、遅かった。
〝ドン〟という音と共に、ノートパソコンからは火花が飛び、家のブレーカーが落ちた。
俺は真っ暗の部屋の中、焦げ臭い匂いをかぎながら、ただただ後悔することとなった。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる