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第1章 光と「クロード・ハーザキー」
06話 魔石
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泣き止むのを待ってくれていたのだろうか。
落ち着きを取り戻して、ゆっくり立ち上がろうとした時、ノートパソコンのチャット画面が動き出した。
『とりあえず、安全な拠点を確保することをおすすめいたします』
「安全な拠点?」
『この近くで、食料などが保管できる拠点があれば問題ありません。なければそれに準じる場所でも。今しなければならない事は、1、拠点を探し、2、マンションに戻り食料を調達、3、生活の基盤を確保する、です。』
「マンションに戻るの? 嫌だよ・・・また魔物が来たら死んじゃうし」
『魔物の気配は私が感知できます。周辺にはいませんので早急に戻って、食料の確保をすべきと考えます』
「なんでそんなのが感知出来るんだよ! それに食料らしきものは、さっきの奴らが全部持って行っちゃったよ、たぶん」
『肉などは持っていきましたが、缶詰などの保存された食料やパスタなどの乾物は食料とは認識されていないようで、大半が残っていると思われます』
「・・・・そうか。まあ、とりあえずは言うとおりにするのが一番か・・・いろいろ考え過ぎても仕方ないし」
『はい。では周囲500メートル圏内での拠点候補を検索します。3分ほど時間を頂きます』
「パソコン・・・の人? その検索の間にいくつか聞きたいんだけど、いい?」
『はい、どうぞ』
「あなたがパソコンだとして、なんで勝手に動いてるの?」
『まず、ちゃんと自己紹介ですね。私は、5年ほど玄人さんに使用して頂いていたノートパソコンです。ですが、昨晩、魔物を倒し、魔石を手に入れ、同化に成功したため、新しい生命体として生まれ変わりました』
「!!・・・魔物? 魔石? 同化?・・・なにそれ・・・」
『魔物は昨日、玄人さんが潰したゴキブリです。正式名称をブルードラゴン。この世界にいる4種のドラゴンのうちの1種です。昨日倒したのはその幼体でしたので、まだ蒼くはなく、どちらかというと黒光りしていました』
「あぁ・・あれゴキブリじゃなかったんだ・・・」
『昨日の幼体は、私たちがこちらの世界に飛ばされる前に出来た、小さい裂け目のような穴から、自宅にたまたま迷い込んだようです』
「あぁ、だからゴキ・・いや、そのブルードラゴン? あいつもビックリしてたのか。もしかして普通に出会ってたら・・というか強いの?あのドラゴンって」
『幼体とは言え希少種のドラゴンです。強さの比較が難しいですが、先ほどマンションを襲った魔物の群れくらいなら、幼体1匹で殲滅できます』
「やべー。強すぎじゃん。よく倒せたな俺・・・」
『はい。非常に運が良かったです。昨日の幼体は、液晶の画面が割れ、そこから微弱でしたが電気が流れたことで、動きが麻痺していました。その後、逃げようとして踏ん張った爪がキーボードを突き抜けてバッテリーを直撃し感電。その感電のタイミングが丁度口から炎を吐いた時と重なったため、結局、最後まで炎を吐き出せず、炎のために練り上げた魔力が行き場を失って暴走し、内臓を焼かれてしまったようです。幼体だったので、炎の扱いもあまり上手くなかったのが幸いしました』
「そんな・・ほとんど運じゃん・・・」
『はい、運だけでした』
「はぁ・・・そんなにハッキリ運だけとか言われると・・・まあ、それで?」
『それから、死んでしまったブルードラゴンは、肉体は焼け落ちて、その後は持っていた魔石だけが残りました』
「魔石?」
『はい。魔石です。魔石は魔物の体内にあり、魔物を魔物たる存在にしている石です。魔石自体は空気中の魔素がある程度溜まると自然発生的に出来るほか、強い魔物だと体内で魔石を生成できるようです』
「なんかやばそうな石だな・・・」
『魔石自体は魔素が固まったものですので、危険はありません。いわば魔素の集合体・塊ともいえるもので、魔石を砕くと高濃度の魔素に戻ります。私自身で置き換えるなら、魔素が電力で、魔石が電池と言ったところでしょうか』
「電池ね・・・で魔物ってどういう位置づけなの? やっぱ魔王とか、勇者とかがいたりするのかな」
『勇者は分かりませんね。ただ、魔物の方は邪悪な存在とそうではないものがいるようです。昨日のブルードラゴンの幼体は邪悪ではない魔物です。一方、先ほど見た魔物の群れは邪悪な存在の魔物です。違いは欲望に支配されているかどうかです。また、珍しいケースとしては人間が欲望に支配され魔物になるケースもあるようです』
「昨日のドラゴンが悪い魔物じゃなかったのなら・・ちょっと可哀想だったかな」
『かも知れませんが、運も実力・・・弱肉強食ですから。検索が終了しました。右手奥、更に300メートルほど進んだ先に、洞窟のような場所があるようです。生体反応も魔物の反応も近くにはありませんので、荷物を隠すには丁度良い場所です』
「・・・そうか、じゃとりあえず頑張って運ぶか・・・」
話は途中で、まだまだ聞きたいこともあったが、俺はとりあえず荷物を運ぶことにした。
落ち着きを取り戻して、ゆっくり立ち上がろうとした時、ノートパソコンのチャット画面が動き出した。
『とりあえず、安全な拠点を確保することをおすすめいたします』
「安全な拠点?」
『この近くで、食料などが保管できる拠点があれば問題ありません。なければそれに準じる場所でも。今しなければならない事は、1、拠点を探し、2、マンションに戻り食料を調達、3、生活の基盤を確保する、です。』
「マンションに戻るの? 嫌だよ・・・また魔物が来たら死んじゃうし」
『魔物の気配は私が感知できます。周辺にはいませんので早急に戻って、食料の確保をすべきと考えます』
「なんでそんなのが感知出来るんだよ! それに食料らしきものは、さっきの奴らが全部持って行っちゃったよ、たぶん」
『肉などは持っていきましたが、缶詰などの保存された食料やパスタなどの乾物は食料とは認識されていないようで、大半が残っていると思われます』
「・・・・そうか。まあ、とりあえずは言うとおりにするのが一番か・・・いろいろ考え過ぎても仕方ないし」
『はい。では周囲500メートル圏内での拠点候補を検索します。3分ほど時間を頂きます』
「パソコン・・・の人? その検索の間にいくつか聞きたいんだけど、いい?」
『はい、どうぞ』
「あなたがパソコンだとして、なんで勝手に動いてるの?」
『まず、ちゃんと自己紹介ですね。私は、5年ほど玄人さんに使用して頂いていたノートパソコンです。ですが、昨晩、魔物を倒し、魔石を手に入れ、同化に成功したため、新しい生命体として生まれ変わりました』
「!!・・・魔物? 魔石? 同化?・・・なにそれ・・・」
『魔物は昨日、玄人さんが潰したゴキブリです。正式名称をブルードラゴン。この世界にいる4種のドラゴンのうちの1種です。昨日倒したのはその幼体でしたので、まだ蒼くはなく、どちらかというと黒光りしていました』
「あぁ・・あれゴキブリじゃなかったんだ・・・」
『昨日の幼体は、私たちがこちらの世界に飛ばされる前に出来た、小さい裂け目のような穴から、自宅にたまたま迷い込んだようです』
「あぁ、だからゴキ・・いや、そのブルードラゴン? あいつもビックリしてたのか。もしかして普通に出会ってたら・・というか強いの?あのドラゴンって」
『幼体とは言え希少種のドラゴンです。強さの比較が難しいですが、先ほどマンションを襲った魔物の群れくらいなら、幼体1匹で殲滅できます』
「やべー。強すぎじゃん。よく倒せたな俺・・・」
『はい。非常に運が良かったです。昨日の幼体は、液晶の画面が割れ、そこから微弱でしたが電気が流れたことで、動きが麻痺していました。その後、逃げようとして踏ん張った爪がキーボードを突き抜けてバッテリーを直撃し感電。その感電のタイミングが丁度口から炎を吐いた時と重なったため、結局、最後まで炎を吐き出せず、炎のために練り上げた魔力が行き場を失って暴走し、内臓を焼かれてしまったようです。幼体だったので、炎の扱いもあまり上手くなかったのが幸いしました』
「そんな・・ほとんど運じゃん・・・」
『はい、運だけでした』
「はぁ・・・そんなにハッキリ運だけとか言われると・・・まあ、それで?」
『それから、死んでしまったブルードラゴンは、肉体は焼け落ちて、その後は持っていた魔石だけが残りました』
「魔石?」
『はい。魔石です。魔石は魔物の体内にあり、魔物を魔物たる存在にしている石です。魔石自体は空気中の魔素がある程度溜まると自然発生的に出来るほか、強い魔物だと体内で魔石を生成できるようです』
「なんかやばそうな石だな・・・」
『魔石自体は魔素が固まったものですので、危険はありません。いわば魔素の集合体・塊ともいえるもので、魔石を砕くと高濃度の魔素に戻ります。私自身で置き換えるなら、魔素が電力で、魔石が電池と言ったところでしょうか』
「電池ね・・・で魔物ってどういう位置づけなの? やっぱ魔王とか、勇者とかがいたりするのかな」
『勇者は分かりませんね。ただ、魔物の方は邪悪な存在とそうではないものがいるようです。昨日のブルードラゴンの幼体は邪悪ではない魔物です。一方、先ほど見た魔物の群れは邪悪な存在の魔物です。違いは欲望に支配されているかどうかです。また、珍しいケースとしては人間が欲望に支配され魔物になるケースもあるようです』
「昨日のドラゴンが悪い魔物じゃなかったのなら・・ちょっと可哀想だったかな」
『かも知れませんが、運も実力・・・弱肉強食ですから。検索が終了しました。右手奥、更に300メートルほど進んだ先に、洞窟のような場所があるようです。生体反応も魔物の反応も近くにはありませんので、荷物を隠すには丁度良い場所です』
「・・・そうか、じゃとりあえず頑張って運ぶか・・・」
話は途中で、まだまだ聞きたいこともあったが、俺はとりあえず荷物を運ぶことにした。
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