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第1章 光と「クロード・ハーザキー」
10話 ただのパソコンです
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ラーメンを食べ終えてから、何となく周囲のものを片付ける。
特にゴミは、その辺に捨てるわけにもいかないので、厳重にゴミ袋にいれて保管することにした。
その後いつ寝てもいいように支度し、断熱シートの上で横になりながら聞いてみた。
「やっぱ、あの岩の奴、えっとオーガだっけ? あれってやっぱり強いの?」
『体内の魔素の分量を図ることが出来れば、強さを数値化することは可能です。基本的には、体内の魔素の量が強さの証であり、魔素を多く持つということは、身体の強化や魔法の使用にも耐えられるという事に繋がりますので』
「魔素か・・・ちなみにおれは?」
『ゼロです』
「え、ないの?」
『地球人にはないようです』
「じゃ、弱いってことか」
『魔素がない、イコール弱いとなるかは分かりませんが、決して強くはありません』
「なんとか増やせたりは出来ないの? 魔法とか使いたいし」
『魔素が濃いところいれば、自然に身体が慣れて少しずつ取り込めると思いますよ』
「そうなんだ。でも時間が掛かりそうだな」
『魔物を倒すと濃い魔素が発生しますので、それを取り込む方法が最も効率が良いようです』
「そもそも魔物倒せないし・・・でも、それって魔物同士も殺し合いをしてるってこと?」
『そうですね。それで自分を強化していく魔物もいるようです』
「ちなみに、君にはどれくらいの魔素があるの?」
『ちゃんと比較が出来ないためハッキリとは申し上げられませんが、魔素は、魔物の場合、体内の蓄積とは別に魔石にも蓄積されています。ですから、魔物の強さは、そのままイコールではありませんが魔石の大きさに依存しているとも言えます。ですから魔石の大きさで比較すると分かりやすいと思うのですが、ブルードラゴンの魔石、つまり今同化している私の魔石は15センチほどの大きさになります。ブルードラゴンは成体で約3メートルほどに成長した魔石を持つようです。そして、その3メートルのサイズの魔石は、世界でもトップクラス、最強クラスと言えるようです』
「最強って? そんなの殺しちゃったの・・おれ」
『幼体で運も味方しましたので』
「あのオーガだと魔石のサイズはどれくらいなの?」
『約5センチといったところです。この世界で5センチを超える魔石持ちの魔物はさほど多くはないようです。一応、5センチを超えてくると体内で魔石を生成したり、その魔石を他の魔物や生き物などに与えることで、直属の部下を作り出すことも可能となるようです』
「部下を作るって?」
『自分の生成した魔石を与えることで、忠誠を誓わせるかわりに、与えた者に自分の能力を分け与えたり、能力を底上げしたりできます。ゼロから魔物を作ったり、動物などに魔石を与えて配下に置くことも出来るようです』
「じゃ、さっきのゴブリンはオーガの?」
『はい。おそらくオーガの配下となったゴブリンだと思われます。通常のゴブリンよりも知性が高く、統率力に優れていましたので、高い確率でオーガの忠実な配下です』
「じゃ、ワイバーンも?」
『はい、オーガの配下になったと仮定すると、本来吐けないはずの氷の息を吐いていた事の説明にもなります』
「ちなみにだけど、魔石が大きいほうが強いなら、オーガよりも君のほうが強かったりするの?」
『それはありません。内包する魔石が大きく、魔素が極端に多くても、私は一人では動けませんので。魔法でも使えれば多少は戦えると思いますが、それでも避けられたりしたら為す術がありません。魔素が多ければ基本の能力は高くなりますが、それはちゃんと鍛えてこそ使えるのです。身体能力が上がり、重たい強い剣が振り回せても、剣術を磨かなければ戦いでは役に立ちません。その点、魔物は自分の長所を理解して最大限活かそうとしてきますから、単純な分、厄介かも知れません』
「へぇー、さすがはパソコン。分析も分かりやすいし優秀だね。あと・・・さらっと流したけど、君はパソコンだけど・・・魔石とか作れたりするの?」
『同化が進めば可能かもしれませんが、今のところは出来ないみたいです。いずれにしてももう少し時間が経過してみないと分かりません』
「そっか・・・でもそんなの出来るようになったら、君もいよいよ魔物だね」
『いえ、ただのパソコンです』
いろいろ聞けて良かった。
知らないことだらけの世界で、一つでも知る、知れるということは安心につながるからだ。
少しだけ気持ちの整理も出来たせいか、横になったらそのままぐっすりと眠ってしまった。
特にゴミは、その辺に捨てるわけにもいかないので、厳重にゴミ袋にいれて保管することにした。
その後いつ寝てもいいように支度し、断熱シートの上で横になりながら聞いてみた。
「やっぱ、あの岩の奴、えっとオーガだっけ? あれってやっぱり強いの?」
『体内の魔素の分量を図ることが出来れば、強さを数値化することは可能です。基本的には、体内の魔素の量が強さの証であり、魔素を多く持つということは、身体の強化や魔法の使用にも耐えられるという事に繋がりますので』
「魔素か・・・ちなみにおれは?」
『ゼロです』
「え、ないの?」
『地球人にはないようです』
「じゃ、弱いってことか」
『魔素がない、イコール弱いとなるかは分かりませんが、決して強くはありません』
「なんとか増やせたりは出来ないの? 魔法とか使いたいし」
『魔素が濃いところいれば、自然に身体が慣れて少しずつ取り込めると思いますよ』
「そうなんだ。でも時間が掛かりそうだな」
『魔物を倒すと濃い魔素が発生しますので、それを取り込む方法が最も効率が良いようです』
「そもそも魔物倒せないし・・・でも、それって魔物同士も殺し合いをしてるってこと?」
『そうですね。それで自分を強化していく魔物もいるようです』
「ちなみに、君にはどれくらいの魔素があるの?」
『ちゃんと比較が出来ないためハッキリとは申し上げられませんが、魔素は、魔物の場合、体内の蓄積とは別に魔石にも蓄積されています。ですから、魔物の強さは、そのままイコールではありませんが魔石の大きさに依存しているとも言えます。ですから魔石の大きさで比較すると分かりやすいと思うのですが、ブルードラゴンの魔石、つまり今同化している私の魔石は15センチほどの大きさになります。ブルードラゴンは成体で約3メートルほどに成長した魔石を持つようです。そして、その3メートルのサイズの魔石は、世界でもトップクラス、最強クラスと言えるようです』
「最強って? そんなの殺しちゃったの・・おれ」
『幼体で運も味方しましたので』
「あのオーガだと魔石のサイズはどれくらいなの?」
『約5センチといったところです。この世界で5センチを超える魔石持ちの魔物はさほど多くはないようです。一応、5センチを超えてくると体内で魔石を生成したり、その魔石を他の魔物や生き物などに与えることで、直属の部下を作り出すことも可能となるようです』
「部下を作るって?」
『自分の生成した魔石を与えることで、忠誠を誓わせるかわりに、与えた者に自分の能力を分け与えたり、能力を底上げしたりできます。ゼロから魔物を作ったり、動物などに魔石を与えて配下に置くことも出来るようです』
「じゃ、さっきのゴブリンはオーガの?」
『はい。おそらくオーガの配下となったゴブリンだと思われます。通常のゴブリンよりも知性が高く、統率力に優れていましたので、高い確率でオーガの忠実な配下です』
「じゃ、ワイバーンも?」
『はい、オーガの配下になったと仮定すると、本来吐けないはずの氷の息を吐いていた事の説明にもなります』
「ちなみにだけど、魔石が大きいほうが強いなら、オーガよりも君のほうが強かったりするの?」
『それはありません。内包する魔石が大きく、魔素が極端に多くても、私は一人では動けませんので。魔法でも使えれば多少は戦えると思いますが、それでも避けられたりしたら為す術がありません。魔素が多ければ基本の能力は高くなりますが、それはちゃんと鍛えてこそ使えるのです。身体能力が上がり、重たい強い剣が振り回せても、剣術を磨かなければ戦いでは役に立ちません。その点、魔物は自分の長所を理解して最大限活かそうとしてきますから、単純な分、厄介かも知れません』
「へぇー、さすがはパソコン。分析も分かりやすいし優秀だね。あと・・・さらっと流したけど、君はパソコンだけど・・・魔石とか作れたりするの?」
『同化が進めば可能かもしれませんが、今のところは出来ないみたいです。いずれにしてももう少し時間が経過してみないと分かりません』
「そっか・・・でもそんなの出来るようになったら、君もいよいよ魔物だね」
『いえ、ただのパソコンです』
いろいろ聞けて良かった。
知らないことだらけの世界で、一つでも知る、知れるということは安心につながるからだ。
少しだけ気持ちの整理も出来たせいか、横になったらそのままぐっすりと眠ってしまった。
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