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第1章 光と「クロード・ハーザキー」
31話 シチューより普通にカレーがすきっ
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夕方にもう一度、湧き水を汲みに行った。
アマリージョが傷を負った際に破れたしまった服を直したいと言っていたので、マンションを探索した際に、どこかの家で拝借した使いかけの小さなソーイングセットをあげた。
ルージュは洞窟の周辺を見に行くと言って出て行った。
3キロ圏内ならヒカリにも場所が分かるし、ヒカリから通信が来ればすぐ助けにも行けるので、遠くに行かないことを条件に了承した。
湧き水を汲んで帰ると、アマリージョはまだ服を直していた。
さすがに裸で作業させる訳にもいかなかったので、アマリージョには俺の着てないTシャツをあげている。
「この服はとても着やすい服ですね。それにこの針も細くて強くて使いやすいです」
「アマリージョは、細かい作業も出来るんだね。ルージュを見てるととても姉妹とは思えないよ」
「そんなことないですよ。でも姉さんは本当は凄い人なんです。うまく説明出来ないんですけど、とにかく凄いんです。普段はただのア・・・えーと、男勝りなんですけど」
「確かに、あんなにア・・・えーと、真っ直ぐな子は、なかなかいるもんじゃないね。それになんか憎めないし。なんとなく言ってること・・・分かる気がするよ」
「そうなんですよ。いつも迷惑ばかりかけられて大変なのに、結局、放っておけないというか・・」
「アマリージョはルージュが大好きなんだね」
「はい!」
アマリージョが嬉しそうに答えた。
「あ、そういえば姉さん、なんで口の周りがあんなにオレンジ色なんですか?」
――忘れてた・・・言おう言おうとは思ってたけど忘れてた。そしてすっかり見慣れてた・・・ていうか顔洗わないのか?
「帰ったら水を用意しておくから、洗うように言ってよ」
「はい」
アマリージョが笑顔で答えた。
♣
夕方になってルージュが帰ってきた。
ホクホク顔で手に野ウサギを持っていた。
「やっぱ肉よね!」
どうやって捕まえたのだろうか・・・
肉は嬉しいが、明日の朝出発なので、バーキュー台は汚したくない。
悩んだ結果、フライパンで普通に焼くことにした。
肉は、ルージュが慣れた手つきで解体してくれた。
聞けば、小動物くらいなら、子供でも普通に出来るらしい。
異世界凄い。
朝と同じようにご飯を温めて、レトルトのカレーを温めて皿に盛る。
ルージュが持ってきた野ウサギを焼いて、焼き肉のタレをかけておかずにする。
「な、な、何これーっ!」
そう言ったきり、何も喋らず、わき目も振らず一心不乱に食べるルージュ。
相変わらずだ。
「このカレーというものは、辛さがなんとも言えませんね。あと、このタレ・・・最高ですね。野ウサギがこんなに美味しいなんて・・・」
ゆっくりと、味わいながら、食べるアマリージョ。
対照的な姉妹を眺めながら、カレーを食べる。
ご飯の保存パックは、これで無くなった。
残りの米は、マンションから持ってきた少量の生米と、防災リュックに入っていた水を入れて作る雑炊が2袋だけ。
カレーの在庫は多めにある。
他にも、牛丼、親子丼、中華丼・・・レトルトのシリーズは多い。
でも、全てのレトルトに行き渡るほどの米はない。
次に、牛丼、親子丼、中華丼と食べたら、カレーの分の米は確実にない。
つまり順番によっては、これが最後のカレーライスになるかも知れないということだ。
カレーは好きだ。
シチューよりもカレーがいい。
ついでに言うなら、カツカレーが好きだ。
これが一人の食事だったら、悲しくて、日本に帰りたくて泣き出していたかもしれない。
でも、今は目の前に喜んで食べている二人がいる。
大事な米も食べ物も一気に使ってしまって、後悔が無いといえば嘘になる。
でも、それ以上に満たされた気持ちがある。
――本当、二人を助けられて良かったよ
喜ぶ二人を見ながらヒカリに話しかける。
『――そうですね』
――最初は、本当に何も出来なくて。ただ怖くてさ。怖いのは今も変わらないけど。
『――はい。でも強くなりましたよ。気持ちの面でも』
――そうかな?でもこの世界に来て初めて、自分が無力じゃないんだって思えたよ。
『――そうであれば、もっと堂々としてください。あの子達にとっては、玄人さんは命の恩人であり、ヒーローなんですから』
――それは言い過ぎだよ
『――でも実際、2人ともそう思っていますよ』
――そうなのかな?
『――そうですよ」
――なら、もっと頑張らないと、だね
『――はい。頑張らないと、です』
――ありがと、ヒカリ
『お安い御用です』
アマリージョが傷を負った際に破れたしまった服を直したいと言っていたので、マンションを探索した際に、どこかの家で拝借した使いかけの小さなソーイングセットをあげた。
ルージュは洞窟の周辺を見に行くと言って出て行った。
3キロ圏内ならヒカリにも場所が分かるし、ヒカリから通信が来ればすぐ助けにも行けるので、遠くに行かないことを条件に了承した。
湧き水を汲んで帰ると、アマリージョはまだ服を直していた。
さすがに裸で作業させる訳にもいかなかったので、アマリージョには俺の着てないTシャツをあげている。
「この服はとても着やすい服ですね。それにこの針も細くて強くて使いやすいです」
「アマリージョは、細かい作業も出来るんだね。ルージュを見てるととても姉妹とは思えないよ」
「そんなことないですよ。でも姉さんは本当は凄い人なんです。うまく説明出来ないんですけど、とにかく凄いんです。普段はただのア・・・えーと、男勝りなんですけど」
「確かに、あんなにア・・・えーと、真っ直ぐな子は、なかなかいるもんじゃないね。それになんか憎めないし。なんとなく言ってること・・・分かる気がするよ」
「そうなんですよ。いつも迷惑ばかりかけられて大変なのに、結局、放っておけないというか・・」
「アマリージョはルージュが大好きなんだね」
「はい!」
アマリージョが嬉しそうに答えた。
「あ、そういえば姉さん、なんで口の周りがあんなにオレンジ色なんですか?」
――忘れてた・・・言おう言おうとは思ってたけど忘れてた。そしてすっかり見慣れてた・・・ていうか顔洗わないのか?
「帰ったら水を用意しておくから、洗うように言ってよ」
「はい」
アマリージョが笑顔で答えた。
♣
夕方になってルージュが帰ってきた。
ホクホク顔で手に野ウサギを持っていた。
「やっぱ肉よね!」
どうやって捕まえたのだろうか・・・
肉は嬉しいが、明日の朝出発なので、バーキュー台は汚したくない。
悩んだ結果、フライパンで普通に焼くことにした。
肉は、ルージュが慣れた手つきで解体してくれた。
聞けば、小動物くらいなら、子供でも普通に出来るらしい。
異世界凄い。
朝と同じようにご飯を温めて、レトルトのカレーを温めて皿に盛る。
ルージュが持ってきた野ウサギを焼いて、焼き肉のタレをかけておかずにする。
「な、な、何これーっ!」
そう言ったきり、何も喋らず、わき目も振らず一心不乱に食べるルージュ。
相変わらずだ。
「このカレーというものは、辛さがなんとも言えませんね。あと、このタレ・・・最高ですね。野ウサギがこんなに美味しいなんて・・・」
ゆっくりと、味わいながら、食べるアマリージョ。
対照的な姉妹を眺めながら、カレーを食べる。
ご飯の保存パックは、これで無くなった。
残りの米は、マンションから持ってきた少量の生米と、防災リュックに入っていた水を入れて作る雑炊が2袋だけ。
カレーの在庫は多めにある。
他にも、牛丼、親子丼、中華丼・・・レトルトのシリーズは多い。
でも、全てのレトルトに行き渡るほどの米はない。
次に、牛丼、親子丼、中華丼と食べたら、カレーの分の米は確実にない。
つまり順番によっては、これが最後のカレーライスになるかも知れないということだ。
カレーは好きだ。
シチューよりもカレーがいい。
ついでに言うなら、カツカレーが好きだ。
これが一人の食事だったら、悲しくて、日本に帰りたくて泣き出していたかもしれない。
でも、今は目の前に喜んで食べている二人がいる。
大事な米も食べ物も一気に使ってしまって、後悔が無いといえば嘘になる。
でも、それ以上に満たされた気持ちがある。
――本当、二人を助けられて良かったよ
喜ぶ二人を見ながらヒカリに話しかける。
『――そうですね』
――最初は、本当に何も出来なくて。ただ怖くてさ。怖いのは今も変わらないけど。
『――はい。でも強くなりましたよ。気持ちの面でも』
――そうかな?でもこの世界に来て初めて、自分が無力じゃないんだって思えたよ。
『――そうであれば、もっと堂々としてください。あの子達にとっては、玄人さんは命の恩人であり、ヒーローなんですから』
――それは言い過ぎだよ
『――でも実際、2人ともそう思っていますよ』
――そうなのかな?
『――そうですよ」
――なら、もっと頑張らないと、だね
『――はい。頑張らないと、です』
――ありがと、ヒカリ
『お安い御用です』
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