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第2章 光と「ウール村」
36話 録画
しおりを挟む「クロードさん、もうそんなに落ち込まないでくださいよ」
恥ずかしさと前髪が焦げたことで落ち込んでる俺をアマリージョが慰めてくれていた。
「そうよ。下を向いていたら真っ直ぐに歩けないわ、それに、顔から炎を出すなんて並大抵の人間に出来る事じゃないわ。すごいじゃない!」
「・・・それは、褒めているのか、バカにしているのかは分からないけど、まぁ慰めの言葉として受け取っておくよ」
「姉さん、そんな言い方よくないわ。でも、クロードさんは魔法が使えなくても強いじゃないですか。それにまだ身体が魔素に慣れてないだけで、魔素量自体は多いんですから、そのうちきっとちゃんと魔法も使えると思いますよ」
『その通りです。それに、魔法に関しては、先程のアマリージョさんの話を聞きながら、私なりに考えられる選択肢をいろいろと精査してみましたので』
「おぉ、さすがヒカリ・・・頼りになるね」
『はい。それで改めて魔法の件ですが、いろいろ考えた結果、私自身も魔法が使えると思うのです。ただ、体内を流れる魔素というものが、機械なので感じることが出来ません。その辺りが解決できるか、魔法陣のような自動発動のものがあればと思うのですが・・・。ただ、使えるようになれば、私の魔素量から考えても、街を一つくらい消し去ることも可能なのでは? と考えています』
「じゃあ、その時はお願いしちゃおうかな」
口の周りが真っ赤なルージュが楽しそうに答える。
「えーと・・・俺の話は?」
『そのうちきっと使えますよ』
「なんか適当に言ってない?」
『そうですか? それと初めて魔法が使えた時の感動をいつでもご覧になりたいかと思いまして、勝手とは思いましたが、ちゃんと録画しておきましたよ』
「え!? 録画? それってさっきの? あんなの使えたとは言わないよね?」
『では、先を急ぎましょうか』
「・・・・! ヒカリ~!!」
♣
「クロードさん、もうそんなに落ち込まないでくださいよ・・・」
「そうよ。下を・・・向いていたら・・・真っ直ぐに歩けないわ・・プッ」
ルージュとアマリージョは、ヒカリが録画した〝クロード初めての魔法〟というタイトルが付けられた動画を見ながら歩いていた。
「二人とも、さっきも聞いたよ、その台詞・・・でも笑うのを堪えながら言われても・・・もう、そんな感じなら、いっそ笑われてる方が気が楽だよ」
「そんな・・笑うだなんて、一生懸命な・ふふふ・・わけでですからふふふ・・、そんなの失礼ですふふふふふ・・・」
「プッ!! きゃーははははははは はゎゎぁああははは。笑い・・すぎて・お腹痛い・・・ブフォっきゃーーはははははははははっははは。もうやめて・・私を、はははははは、殺す気なの? はははゲホッゲホッ、死ぬ、死ぬゲホッゲホッ、もうだめ、そんなのわははは、見せないで・・」
『そうですか。残念です。それでは、せめて声だけでも・・・もう一度どうぞ』
再度、先ほどの場面の音声が流れる・・・・・・
「ヒカリさん・・・ふふっ、それはクロードさんにふふふ・・しつふふふ・・れいふふふ」
「本当・・・お願い。死ぬ・・・お腹があははははは、きゃははははは・・・ははふーふーふー」
――全然、前に進まない・・・
「ほら、もう、いい加減、ちゃんと歩くぞ」
「はぁはは・・・そうね。いつまでもこんな事してたら笑い死にしてしまうわ」
「姉さん、笑いすぎよ・・・本当」
「でも可笑しいんだもの・・・結局、ちゃんとした魔法は出なかったけど、あれはあれで人を殺せるわ」
「もう、わかったよ。だからヒカリもそんなに遊ばないで。ほら水飲んで落ち着いたら行くよ」
『はい、ちゃんと秘密のフォルダに閉まっておきます』
「あっ・・・うん。そうしておいて。それで出来れば二度と開けないでほしいよ」
『秘密のフォルダの中に封印フォルダを作成しましたから問題ありません』
「・・そう。ありがとう・・・」
3人それぞれ湧き水を飲み、少し落ち着いたところで、また出発した。
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