黄昏一番星

更科二八

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3章 バーンデッドディザスター

353話 2573歳に聞く

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「な、なあ?普通に蘇生魔法の話してるけど、シャンデールだと普通なの?」

これまで俺とシモンの話について来られずに大人しくしていたラグナが聞いてきた。

「全然普通じゃないねー。世界中探しても使い手は何人もいないよ」
「そうだよね、ザーグは生き返るの?」
「やれるだけやる」
「無理そうなら僕がライかガルシアくんのところに運んで行ってもいいよ。タイガくんより腕いいから」
「ガルシアも蘇生魔法覚えたのか?」
「ライに習ってね。回復魔法に関しては天才すぎて、タイガくんの浄化魔法と同じレベルまで仕上がってるよ」
「まじ、すげえじゃん!」

俺の浄化の魔法というと、俺がコントロールしてなければ勝手に周囲に強力な浄化の魔法がかかり続け、勝手に綺麗になり、更に水は聖水になるし、そこらの草木も浄化の力を持ち始める。
俺の血やら体液も全部聖水だ。
氣にも浄化の力が宿っているので、意識するだけで対象が浄化される。
魔力消費は極小なのだが、正直なところ面倒な能力となっている。
ガルシアはこれの回復版なのか。
便利なんだろうか?
でもちゃんとした蘇生魔法覚えられたのは本当にすごいと思う。

「1日やってダメそうならプロに頼もう。いいか?」
「うん、わかった。ザーグを頼む」
「おう」

ずっと蘇生作業は続けてる訳だが、ちゃんと頼まれると気合は入る。
ラグナとザーグには無事な状態でグラスマルクの物騒な動きをどうにかしてほしい。

「蘇生する前にラグナくんの血をザーグくんに入れといてね」
「なんで?」
「ザーグくんもグール化してるからだよ。ラグナくんの眷属にしておけば暴れないでしょ」
「あー俺の眷属にならないのはそういう訳か」

鬼の眷属は人族限定で、対照的に魔人族は魔物限定で眷属化ができる。
グールになっているという事は魔物になっているという事で、だから俺の血を入れても眷属にできなかったわけだ。

「ザーグ・・・グールにならない為に自分で命を絶ったのに・・・」
「でも肉体はグールになってしまっているけど、魂まで魔物に変わっては無いよ」
「だろうなー他の死体の奴らよりもこいつの魂の感じはちゃんと人って感じだ」
「まあ、魔物になってしまってもグールなら大丈夫だよ。血をたくさん与えてやればレッサーヴァンパイアとかヴァンパイアになって人と同じように振る舞えるようになるから。始祖まで育てば血は必要なくなるしね」
「それ、生き返らせたところでちゃんと血をやらないとダメってことだろ。生の血を飲まなきゃ飢えて死ぬよな」
「そうだね。始祖にしようと思えば、定期的に直接吸血させる経験もさせないといけないけど、タイガくんやタイガくんの眷属になった人ならヴァンパイア系統の魔物に変化しないから大丈夫だよ。鬼とヴァンパイアは似た特性上上書きされないようになってるからね」
「俺が世話しろってことかー」
「生き返らせるならちゃんと責任持ってね」
「男に二言はねえ!」
「タイガ・・・」

正直こんなめんどくさいと思わなかったが言った手前はちゃんとやる。
なんか昨日から面倒が重なりすぎているぞ。
まあ別にいいのだが。
久しぶりに人と話すと、俺もちゃんと人である実感が持てるし楽しくもある。

「シモン、俺からも質問いいか?」
「なんだい?」
「あんた何もんだ?」

この国でもかなりの立場があり、凄腕冒険者ということは知ってるが、それにしても知識量がおかしいと思う。
蘇生魔法然り、魔物の知識も然り。そして当然のように魂を観測できる氣の技術もあり、どう判別してるのか知らんが分析力もすごい。

「この質問されると色々ありすぎて困るんだよね・・」
「じゃあどうやってその知識は身につけたんだ?」
「年の功だね。こう見えて今2573歳。あとは鑑定スキルのレベル最大だから見たものの情報は詳細にスキルシステムから得られる」
「2500!?」
「そう、前文明のころから生きてるよー」
「はー??前文明って神代とか言われてる?魔族と争って消滅したってやつ?」
「タイガくんは勉強家だね。まあ神なんていないけど、魔族とか君が倒した獣によって文明が滅ぼされたのは事実。僕はその時の生き残りの1人だ」

成程、納得した。
知識量は年の功。分析力は鑑定スキルね。

「ご先祖様ってこと?」

ラグナが横から挟んできた。
まあ確かに、言われたことが事実ならそうなるのか。

「残念ながら、僕には子供がいなくてね。でも現人類の生みの親の1人ではあるかな。生き残った者たちと協力して作ったのが現人類だね。君たちと僕では生物的には少し別物だ。交配は可能だけどね」
「作った??」
「生き残った者たちで子孫を増やしていっても、基礎が弱っちいからね。魔族や獣を倒せる可能性を上げられるように、魂の力を引き出しやすく、魔力や氣を扱いやすくして強くなれる仕組みを持った人種を作ったんだ。1種類じゃつまんないから色んな人種もつくった」
「はえー。じゃあ今の人類にとっては創造主ってことか」
「そうなるね。40人で作ったけど、今存命してるのは12人だね。ライもその1人。あとはどこで何してるのかは知らないよ」

ライ。多分聖女倒してすぐの頃、シモンとトレイを含めた3人で俺の様子を見にきたやつだ。
伝説の冒険者とか言われて、ギルドの傭兵掲示板に名前が載ってる有名人。

「ライってさっきも言ってたけど、伝説の冒険者?」
「グラスマルクでも有名なのか?」
「そりゃまあ、ギルドの掲示板に名前あるし」
「世界中のギルドに勝負の依頼はってるはずだよ。高ランクの代表として、憧れとか標的になってワーカーの成長を促すようにね」
「やっぱりそいうい思惑か」
「いい試みでしょ。ライもたまに暇つぶしができるようだしね」

2500年も生きてりゃそりゃ暇もするか。
強いやつが戦い挑みにきてくれれば暇つぶしにはちょうどいい。
気配を感じただけだがめちゃくちゃ強そうだった。

「タイガくんはライの子孫だよ」
「は???」

シモンはさっきからとんでもない情報を次々に話すが、想像もしてない事を更にぶっ込んできた。

「タイガくんを鑑定できないから確実だね。ライは鑑定妨害スキル持ってるから、子孫である君も情報開示されなくなってるんだ」
「俺の先祖に他にもそのスキルがあるやつがいた可能性もあるだろ?」
「亡くなれば情報開示されるよ。君の血筋はいま生きてるの君ぐらいでしょ。他の証拠として、ライは朱夏国の建国に関わっているし、ライの子孫が神多羅木家と神宮司家だよ。あと何よりこの太刀を封印を維持したまま持っててくれたでしょ」

シモンはどこからともなく超見覚えのある太刀を取り出して俺に見せた。

「姉ちゃんの太刀!」
「君に返すよ。もう絶対に無くさないでね。無くせば10年後ぐらいには下手すれば世界が滅ぶかもしれないから」
「どういうこと??」
「やっぱり知らなかったんだね。この太刀には聖女以上に強力な獣の1体が封印されてる。そしてその封印を維持する為には、封印を施した神多羅木朱夏ちゃんの子孫が所有し続けることが条件なんだよ」
「朱夏って朱夏国の元になったやつ?俺と同じ苗字じゃん!」
「そう。そして朱夏ちゃんとライは夫婦だったからね。その子孫の中でも神多羅木家に伝えられていたのがこの太刀だよ」
「そんなヤバい太刀だったのか・・・」
「君が封印解いて中身を倒してくれればいいけど。君の代で倒さないならちゃんと子ども作って継承してね」
「重てえなー。俺の家そんな大変な家だったのか」

姉ちゃんもちゃんと説明してくれたら良かったのに。
状況が状況だけにそんな余裕はなかっただろが、俺を生かすためというか、この太刀の封印を守る為に俺を逃したということだろうか。
それをやってなければそのうち封印は解けて世界がやばいことになってた可能性あるんだな。恐!

幸い俺はそこそこ強くなれているし、鬼の寿命は長い。だからできれば俺の代で封印されてるやつを倒しておきたいな。
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